Vol.90 No.4 子供いもの教室in東京都市大学付属小学校

関東支部YFEでは,中学生以下を対象とした「子供いもの教室」,高校生を対象とした「鋳物体験教室」,ならびに大学生と大学院生を対象とした「学生講演会」などを企画し,鋳物に関する啓発活動をさまざまな若手世代に対して行っています.以下では,東京都市大学付属小学校で開催された子供いもの教室について紹介させて頂きます.

 

はじめに

 2017年12月16日土曜日に子供いもの教室が東京都市大学付属小学校で開催されました.寒さが厳しい折でしたが,当日は晴天に恵まれる中で,約80人の元気一杯な5年生(桐組と桜組)に参加いただきました.今回の子供いもの教室は,同年5月に東京都市大学世田谷キャンパスで開催された第169回全国講演大会にあわせて企画されたものです.諸般の事情により開催が遅れましたが,白木先生(東京都市大学)のご尽力により,急遽,上記日程で開催する運びとなりました.今回の実施に際しては,白木先生の研究室に所属する学生(15名),関東支部からは本保支部長,神戸顧問,茂泉総務担当,YFE委員(5名),ならびにいすゞ自動車(株)様から3名のみなさまにご参加ご支援頂く中で,成功裏に子供いもの教室を終えることができました.以下では,その概要について報告させて頂きます.

 

実習と座学

 今回は2クラスの生徒に参加して頂いたので,各クラスに分かれ,約80分間の実習と座学を並行して行い,それぞれが終了した時点でクラスを入れ替える形態を取りました.実習では,生徒ひとり一人が,生砂を利用して東京都市大学グループのコミュニケーションマークを型取った模型を鋳込むための砂型を作成しました.砂を振るい,突き固め,模型を取り出し,上下2対の砂型を合わせる造型作業は,上手にできる生徒や思い通りにできない生徒など様々でした.しかし錫の溶湯を注湯し,砂型から取り出した際には,歓喜や落胆の声が至る所から上がり,大変盛り上がりました.当然,仕上がりに納得できない生徒もいましたが,時間の許す限り熱心に作り直す姿には心を打たれました.

 他方座学では,「いもの」やその素材である「金属」に関するお話が導入教育として行われました.最初に,雰囲気を和らげるために,金属に関わる漢字をスクリーンに写し読んでもらうこととしました.「金」は「きん」,「銀」は「ぎん」などと読み進む中で,5年生では未学習の「亜鉛」,「鉛」,さらには「錫」などについても大声で答えて頂きました.また「金呂」や「金美」がアルミニウムやマグネシウムを表す漢字であることを説明すると,興味津々な表情を浮かべました.さらに物質の3態の説明に関連して,「水が凍ると体積はどうなりますか? 膨張しますか? 変わりませんか? それとも収縮しますか?」と尋ねた際には,「約1.1倍になります!」との大変感心する答えが返ってきました.この子たちが社会を担う時代は,希望に溢れ,明るく楽しい社会となることを確信しました.座学の後半では,YFE委員から各社の製品に関連する説明が,懇切丁寧かつ楽しく行われました.身近な鋳物の多さに子供達は目を丸くしていました.

おわりに

 限られた時間の中での準備でしたが,参加頂いた生徒に怪我がなく,笑顔に溢れ,何より製作した作品をうれしそうに手に持つ姿を見ることができたことが一番の収穫でした.

 最後に,今回の子供いもの教室の企画・実施にあたりご尽力頂いた白木先生,付属小学校の先生方,白木研究室の学生さん,ならびに関東支部,いすゞ自動車のみなさま方に深甚なる謝意を申し添えます.

連絡先

(公社)日本鋳造工学会 関東支部YFE 
中山栄浩
〒400-8511 山梨県甲府市武田4−3−11
山梨大学大学院総合研究部
Tel:055-220-8424
 E-mail:nakayama(a)yamanashi.ac.jp *(a)を@に変えてください.