Vol.88 No.12 中国四国支部YFE活動の紹介

高知県で行われた第168回全国講演大会でのYFE大会およびYFEこども鋳物教室,平成28年度の中国四国支部の活動について紹介します.

第168回全国講演大会YFE大会

牧野委員長の開会挨拶

 本年度は5月に第72回世界鋳造会議があったことから,例年春季の全国大会時に行うYFE大会を今秋季大会で行いました.

 新東工業鋳造技術研究奨励講演「多機能走査型プローブ顕微鏡による鋳鉄中の球状黒鉛の解析」(物質・材料研究機構増田氏),日下賞受賞記念講演「鋳鉄溶接時に発生するピンホール発生の原因解明とその防止技術」(㈱木村鋳造所水木氏),「球状黒鉛鋳鉄と軟鋼のMIG溶接継ぎ手の静的強度特性」(日之出水道機器㈱梅谷氏),「高張力鋼板を活用した高強度ダクタイル鋳鉄の溶解・鋳造技術の開発」(㈱センシュー竹内氏)の講演をいただき,多くの参加者のもと活発な質疑応答が行われました.

 球状黒鉛鋳鉄における黒鉛が機械的性質におよぼす影響,従来から期待されている溶接できる鋳物につながる成果,近年問題となっていた高Mnスクラップ利用でも一助となる結果が発表され,鋳鉄材料の適用分野の広がりが期待される講演でした.

YFEこども鋳物教室

鋳物教室の様子

 9月25日(日)の午前と午後の2回,高知市文化プラザかるぽーとの彫塑・陶芸室にて,こども鋳物教室を開催しました.合計34名のこどもに参加いただき,保護者や各支部から来ていただいた見学者も含めると総勢60人を越す人数で開催することができました.

 クイズ形式で鋳物についての紹介を行った後,OBBサンドと減摩合金2種(Sb:8.0~10.0%,Cu:5.0~6.0%,Sn:残部)を用いた,鋳型づくり,湯道切断,仕上げ(やすりがけ)作業を体験してもらいました.

 参加したこども達からは「上手に作れてうれしかったです.作り方が分かったしすごく面白かったです.」「切るのとか削るのとかは難しかったけど,とても楽しかったです.」「もっといろんなものを作ってみたいです」等々,苦労しながらも自分だけの鋳物を作ることで,ものづくりの楽しさを体感してもらうことができました.

鋳物教室作品例

中国四国支部「いいもの研究部会」

 技術者同士の忌憚のない意見交換・研究討論を行ういいもの研究部会を7月22日に開催しました。

 「繰り返し塑性加工を行ったマグネシウム系合金の開発」(近畿大学工学部信木氏),「製鋼プロセスシミュレーションと実操業の比較 第2回」(㈱宇部スチール宮本氏),「鋳鉄鋳造品のガス欠陥やひけ欠陥に対する鋳型ガスの影響」(㈱ツチヨシ産業枝根氏),「『アイワークス』システムの活用と現場改善」(㈲ビットワン小城氏),「砂型用三次元積層造形の開設及び新規開発技術の紹介」(群栄化学工業㈱永井氏)の講演,また参加企業からも5分程度のトピックス紹介をいただきました.

 鋳造技術の高付加価値化につながる講演,近年注目されるIOT技術に展開できるシステム紹介や3Dプリンタに関する講演で,終了時間を大幅にオーバーするほどの活発な研究部会となりました.

 今年度残りの期間では,12月8日(木),9日(金)に広島アルミニウム工業㈱において,1泊2日の中国四国支部YFE研究会を鋳造技士会と共催で行う予定です.広島アルミニウム工業㈱の工場見学や熟年技術者の講演,3Dプリンタや凝固制御した厚肉供試材の強度などについての研究発表会を行う予定です.また2月頃にも「いいもの研究部会」を行う予定です.ご興味ありましたら,お気軽に下記花房にお問合せ下さい.

連絡先

(公社)日本鋳造工学会 中国四国支部YFE 花房 龍男
〒721-0974 広島県福山市東深津町3丁目2-39 広島県立総合技術研究所東部工業技術センター 
Tel:084-931-2906 E-Mail:hanafusa@toubu-kg.pref.hiroshima.jp