公益社団法人日本鋳造工学会 九州支部

第176回九州鋳物研究会

平成18年7月27日(木)に東亞工機株式会社 谷田工場2階大会議室(佐賀県鹿島市)において、第176回九州鋳物研究会が開催されました。

はじめに大城桂作支部長(大分高専)から鋳造技術を取り巻く世界情勢,鋳造技術者としての方向性などについて挨拶があり、続いて東亞工機株式会社吉田博男代表取締役会長から、技術向上・技術伝承の重要性等について挨拶がありました。

引き続き、谷田工場の説明と見学が行われました。鋳造系、加工系等の工場を順番に見学し、適切な注湯・熱処理温度やコンピュータ端末システムをフル活用した製品管理等について活発に質疑応答がされていました。

再び、会議室へ戻り、講演会が行われました。

まず、東亞工機(株)山本裕文取締役製造部長により「キュポラ改造の現場事例」について講演がありました。現存の10t級のキュポラを12t級へ改造するため、キュポラ全体の形状の見直し、ガス通路の確保、羽口の構造、鋳鉄の受け方、接種等の問題点を指摘し、これらについて解決法を示しました。その結果、時間的な制約の中、適切な改造と製品の高品質が確保されたことを確認し、講演としました。キュポラの歴史、構造、改良に伴う問題点と解決方法について活発に討議されました。

さらに、長崎大学香川明男教授により「鋳造現場の中核人材育成プロジェクト」について講演がありました。国力として鋳造を含む基礎分野の技術開発が望まれている事、海外技術に太刀打ちできる高付加価値の実現、ベテラン技術者の技術伝承等について問題を指摘し、本プロジェクトの必要性を説明しました。全国で展開されているプロジェクトの特徴及び九州支部における特徴を概説し、大型部材鋳造技術者を育成するための目標と座学・実験・インターンシップ等の多様な教育方法の説明とその成果についても示されました。現在の問題点及びその解決方法について活発に質疑応答が行われました。

その後、簡単な懇親会を行い、鋳物研究会委員の親睦を深めました。