公益社団法人日本鋳造工学会 九州支部

久留米高専 こども鋳物教室レポート

2009年10月、長崎大学 小学生を対象としたこども鋳物教室

平成21年10月18日(日)、『~いもの博士からの挑戦~金属を溶かしてアクセサリーを作ろう』というタイトルのもと、小学生を対象としたこども鋳物教室を長崎大学の補助体育館において実施した。
この鋳物教室は今回の鋳造工学会の行事の一つとして、また①ものづくりの伝承、②地域交流、③大学生の創造力・指導力向上、④理科離れ改善など多くの事項を目的として行った。

今回の鋳物教室では午前、午後、夕方の3部において、保護者を含めて合計38名の参加者を対象に、大学院生4名と教職員2名が奮闘した。
まず始めに、準備したポスターを用いて今日使用する材料が「金属」であり、「溶かして型に流し込み冷やすことで様々な形のものが作れる」という説明を行った。その後、実際に実施する内容について大学院生に手本を示してもらい、小学生と保護者に実施する内容を理解してもらった。
なお、指導する大学院生には、小学生に親近感を抱いてもらうため鋳物博士とその助手たちという役柄を演じてもらった。実際に実施した内容は、まず約20cm四方のポリ容器内にオイルサンドを敷き詰めた後、アクセサリーにしたい玩具を砂の上から押し付け、砂型を作製した。
続いて砂型に溶かしたピューター(スズを主成分とする低融点合金)を流し込み固めてアクセサリーの完成とした。片面だけの注湯になるが、金属が固まる様子、溶湯表面においてデンドライトが成長する様子が肉眼で観察されるので、この方法を採用した。

製作開始の合図と同時に、戸惑うことなく皆さんが熱心に砂型作りに取り組んで頂けたのは幸いであった。
また、保護者と一緒に恐る恐る溶けた金属を鋳込んでいた子が、終了する頃に一人で溶けた金属の鋳込みを行っていた姿には、鋳物教室が目的とする成果が得られたのではないかと感じられた。
全員が作品を完成させたことを確認した後、この一連の作業が『鋳造』と呼ばれ、大学で熱心に研究されている旨を伝え、鋳物教室を終了した。
将来、今回の受講者の中から鋳造に興味を持ち、研究に取り組む研究者が誕生することを願うばかりです。

なお、今回は実際にさわってもらい、金属の重さ、粘性、動きや固まり方をその場で観察することが大きな目的であり、注湯作業も小学生に体験してもらった。
そのためにレクレーション保険の加入と注湯時のサポートを慎重に行い、無事、一人の怪我も無く終了できた。
YFE九州支部では、今後も引き続き、地域住民の方に『鋳造』という技術に親しんでもらう機会を、鋳物教室などのイベントを通じて提供していきたいと考えている。(成田、宮原)