公益社団法人日本鋳造工学会|Japan Foundry Engineering Society

第87巻シリーズ「自動車に使われている鋳物」

第87巻シリーズ「自動車に使われている鋳物

Vol. 87 No. 1「鋳物製プランター」

平成26年度Castings of the Year賞受賞作
金森メタル株式会社

Vol. 87 No. 2「LCD CASE」

平成26年度Castings of the Year賞受賞作
筑波ダイカスト工業株式会社

Vol. 87 No. 3「直冷鋳造製 ディーゼルエンジン用シリンダーヘッド」

水冷パイプを鋳包み、アルミ溶湯の冷却/凝固を制御することにより、指向性凝固の確保と、 従来のアルミ重力鋳造では不可能だった凝固速度の大幅向上による高品質化を実現した鋳造法(直冷鋳造)を適用したシリンダ-ヘット。

エンジン内の高い燃焼温度や圧力に、高次元で対応できる強度、信頼性を確保した。

又、本鋳造法は、同時に高い生産性も実現し、現在ではディーゼルエンジン用シリンダーヘッドの生産において、グローバルに適用されている。
(トヨタ自動車株式会社/写真提供:株式会社 豊田自動織機)

Vol. 87 No. 4「カムシャフト」

カムシャフトは,エンジンの吸排気弁の開閉時期や開度を制御する,

カム機能を備えた軸状の部品である.エンジンの出力・排出ガス浄化・燃費等に大きな影響を与え,昨今は,高精度・高強度化により軽量化が図られたものや,弁の作動時期や開度を可変する機構を備えるものもある.

本写真のカムシャフトは,生砂重力鋳造による球状黒鉛鋳鉄製で,加工代低減のため粗材寸法の高精度化が追求されている.

ダイカスト製ボア溶射シリンダブロック

又,耐摩耗性が要求されるカムノーズ部は,高周波焼入れが施され強化されている.
(写真:トヨタ自動車㈱)

Vol. 87 No. 5「ダイカスト製ボア溶射シリンダブロック」

通常のエンジンのシリンダブロックは,耐摩耗性確保のために鋳鉄のライナーを鋳包んでいる.このシリンダブロックは鋳鉄ライナーの代わりに溶射により薄い鉄膜を成形することで,部品重量を低減し燃費向上に貢献している.

ダイカストは巣などの鋳造欠陥ができやすい工法であるが,鋳造方案最適化,金型内高真空化,金型温度制御などの技術開発により量産化を実現した.
(写真:日産自動車㈱)

Vol. 87 No. 6「ガソリンエンジン用ピストン」

このピストンは、燃焼初期の火炎接触による熱損失を防止し、初期火炎の拡がりを阻害せず燃焼速度を高めることで高圧縮比を実現した、SKYACTIV-Gエンジン用の球形キャビティピストンです。

軽量かつ高強度な製品形状及び方案を追究し、従来にないレベルの薄肉化にチャレンジすると共に、製造条件や金型を厳密に管理し、バラツキを極限まで抑え、高い信頼性と低フリクションを実現しています。
(写真:マツダ㈱/コルベンシュミット㈱)

Vol. 87 No. 7「鋳鉄クランクシャフト」

(1.5L SKYACTIV-G ,FCD650鋳放し)

弊社では,背面金型シェルモールドラインを自社開発し,以降46年間,改善を積み重ね,品質・コスト・稼働を高めてきました.そして,押し湯や揚がり無しで引け巣レスを実現し,75~85%と高い鋳造歩留を達成しました.

また,全てのクランクシャフトを混流加工するフレキシブルラインでコストを抑えるとともに,ピン,ジャーナル径の徹底した小径化やカウンタウエイトの最適化により,軽量化や低フリクション,低振動を実現し,燃費とNVH向上に貢献しています.
(写真・コメント:マツダ㈱)

Vol. 87 No. 8「耐熱マグネシウム合金オイルパン」

この製品は,高剛性と軽量化を両立するために耐熱マグネシウム合金(MRI153M)を使用した日産GT-R用エンジン(VR38DETT V6-3.8L)のオイルパンです.左が加工完成品,右が鋳造素材です.

耐熱マグネシウム合金のダイカストは,通常のアルミニウム合金ダイカストよりも鋳造欠陥が非常に発生し易いため,専用離型剤を開発し,鋳造方案の最適化及び精密な金型温度制御と射出制御により鋳造欠陥の生成を防ぐことで量産化した製品です.
(写真:日産自動車(株))

Vol. 87 No. 9「タイミングチェーンカバー」

タイミングチェーンカバーは,クランクシャフトからカムシャフトへ動力を伝達するタイミングチャーンを覆い保護するカバーである.駆動するチェーンからの振動騒音を抑制し,自動車の快適性に寄与している.

またエンジン各部の潤滑するためのオイル供給ポンプや冷却水のポンプも一体化され,高精度・高気密化が追求されている.

昨今は軽量化の観点から薄肉化の要求もあり,超高速射出及び減圧法を付加したアルミダイカストで生産している.
(写真素材:アイシン精機㈱)

Vol. 87 No. 10「排気マニホールド」

排気マニホールドは,エンジンのシリンダヘッドから出る高温度の排気ガスを集合させる部品です.

実際に自動車が高速で巡航していると赤熱するほどの温度になるため,高温強度と耐酸化性を有する材料が必要なとなります.

高性能・省エネルギエンジンほど,排気温度が高い傾向にあり,耐熱鋳鋼と呼ばれるステンレス系合金の鋳物が使われます.
(写真:日立金属㈱)

Vol. 87 No. 11「フューエルデリバリパイプ」

フューエルデリバリパイプは,車のエンジンの燃料室まで燃料を運ぶための供給パイプのことで,エンジンが安定して運転する上で,大変重要な部品である.

軽量化,低コスト化を図った,アルミダイカスト品が多く用いられてきたが,近年では,燃料の高圧化に対応するため,スチール製の鍛造品を使用する場合も増えてきている(写真はダイキャスト品).

アルミダイカスト品では,アルコール混合ガソリンによる,ドライコロージョン(腐食)を防止するため,内面にNi-Pメッキを実施している.
(写真提供:㈱オティックス)

Vol. 87 No. 12「タービンハウジング」

ターボチャージャー(過給機)とは,エンジンからの排気ガスでタービンを回転させ,同軸のコンプレッサーで圧縮した空気をエンジンに送り込む装置です.

写真のタービンハウジングは,約1000℃にも達する高温度の排気ガスをタービンに導くために,高温強度と耐酸化性を有する材料が必要となり,耐熱鋳鋼と呼ばれるステンレス系合金の鋳物が使われます.
(写真提供:日立金属㈱)

PAGETOP
Copyright © 公益社団法人 日本鋳造工学会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.