北海道大学名誉教授の野口徹さんの鋳物製品の破壊事故調査結果では、7割は鋳造欠陥以外が起因だったが、「鋳物には原理的に必ず欠陥が存在し、破壊ではその部分が破壊していることを指摘されると、鋳物屋は鋳物が破壊の原因だと思い込み、すぐ責任を認め損害賠償に応じ不要な金額的損害が起こりやすい」と。
破壊事故発生の原因調査は、「破壊部分だけでなく、使用環境や、破壊したときの周囲の状況や使用履歴(疲労破壊)などを調査必要」だと。
無限に均一な弾性体の中の丸い穴(平面)でも応力集中は起こり、周囲の3倍の引っ張り応力が発生すると。古来の安全係数10倍説は、経験から生まれたものかも。しかし、最近は軽量化やコスト削減で限界設計が進み、肉厚がどんどん薄くなってきているために機械の強度が下がる傾向があると。
確かに、古い設備は、頑丈で振動もしなかったが、新設設備は軽く薄く振動しがちだとも言われます。
鋳物人は、製造委託されたものの強度にも目配り必要で、使用中の破損に対しては、設計の是非や使用環境を含めた真の原因を顧客と共に探求することが必要な時代となったようです。
そのためにも、「材料力学」「破壊力学」「破壊学」を勉強しましょう。

資料紹介

東北大学 破壊の基礎 PDF

ものづくり基礎講座(第53回技術セミナー)
 http://www.trc-center.imr.tohoku.ac.jp/_userdata/mono53_2.pdf
 『金属の魅力をみなおそう 第三弾 観察・分析編 第四回』
 東北大学金属材料研究所 正橋直哉 2018. Feb. 2 14:05~14:35
 セミナーで、破壊を解説した資料、多数の写真と解説がある30ページの力作

応力集中って何だ?
  

初心者でもわかる材料力学17 応力集中って何だ? (応力集中、形状係数、応力集中係数)kazubara Blogより

今までは一様な(同じ形状)断面での応力や変形を説明してきたが今回は、断面の形状が急激に変化する場合の応力の発生を説明する。

次に 破壊ってなんだ?

初心者でもわかる材料力学18 破壊って何だ?(破壊理論、主応力、ひずみ、歪みエネルギー、フォンミーゼス応力、転位)

破壊力学とは JFEスチール 田川哲哉 (溶接協会 溶接情報センター)

  https://www-it.jwes.or.jp/we-com/bn/vol_28/sec_1/1-1.pdf
  破壊力学の亀裂とは、隙間がない断面欠損(割れ)を想定。モデルが6ページに多数図解されわかりやすい。

北海道大学 破壊力学の基礎 PDF 92P

 https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/bridge/staff/matsumoto/FractureOfFiberComposite_Chapter3.pdf
 破壊が問題となった世界の事故例の紹介と、破壊力学の発展の歴史と数学を駆使した解説。少しレベルが高い。

 

CAEと強度計算の森 線形破壊力学と応力拡大係数

 https://www.fem-vandv.net/a15.html
 亀裂面では応力はゼロ、亀裂先端には応力集中があると。その計算式と解説がある。
 亀裂周辺の応力状況を、引っ張り・摩擦・ねじりなどいろいろな状況で概説。

 

J-Stage   き裂進展 の基礎 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hpi1963/9/6/9_6_2560/_pdf/-char/ja 
  ● き裂の先端で何がおこっているか?
  ● どの よ うにしてき裂は拡大するか?
   著者 George T. Hahn* の翻訳紹介