先日の支部講演会後の情報交換会で、「最近、世界の鋳造工学研究レベルが低下」との話がでた。日本でも、金属工学のあるところはほとんどなくなってしまった。
当支部には、現役の大学教員もいるので、大学の研究環境がどんどん悪化していることが話題になる。
それを象徴するのが、基礎的研究費が教員一人年額15万円で以前は雇えていた補助員や秘書も雇えないこと。教授が雑用もこなさなければいけない。秘書が雑用してくれる欧米とは大きな違いになってる。
そんなところに、日経新聞に掲題の記事がでた。有料会員限定記事ではあるが、一部をご紹介
【この記事のポイント】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC222D80S3A121C2000000/
・研究時間は2002年度の47%から18年度は33%に減少
・大学の生産性改革は逆に研究時間を減らす結果に
・研究と教育の分業や、研究支援員の拡充が課題に
日本の研究力が低迷する要因として、研究者の忙しさが指摘されている。大学の研究者は教育や診療、社会貢献も求められる。年間職務時間は若手では約2700時間にもなるが、研究できるのはそのうちの約3割にとどまる。事務などの代行者が求められるが、必要なところに手が届いておらず、研究に集中できる仕組み作りが急務だ。
実態調査などから比較すると、職務時間は官僚と同等以上とみられる。
そのうち研究時間は約33%で02年度の約47%から大幅に減った。残りは教育が3割弱、社会サービス活動が約2割、学内事務が2割弱だ。研究室の留学生のビザの手続きや、大学の運営に関する会議などもある。
政府が大学に配る運営費交付金から各教員に回る資金は「光熱費などでほぼ消える」(国立大学教授)ため、十分な研究費を得るには公募で選ばれなければならない。政府が優れた研究テーマに研究費を与える「競争的研究費」に複数応募するのが一般的だが、1つ出すのに約2週間、毎日2〜3時間とられるほど手間がかかる。この時間も研究業務に含まれる。
学内の雑務や手続きが増え、研究者から時間を奪うことになった。研究現場は実験の手伝いや事務などを担う研究支援員の増員などを求めるが、拡充は進んでいない。
政府は01年度以降、競争的研究費の比率を増やす「選択と集中」を進めた結果、研究力は低迷した。政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)関係者も弊害を認め、一定の基盤的な経費は必要という認識になっている。
(サイエンスエディター 松田省吾)
※かなり省略した引用です。できれば原文をお読みください。