鋳造では多様なセンサーを用いて、物質の測定を行っています。
その測定方法の検討のヒントに、最近医療でよく用いられるパルスオキシメーターをご紹介。オムロン社とコニカミノルタ社の解説ですが、考え方は参考になります。
名前が、オキシメータでなく、パルスオキシメータなのは、動脈血の酸素濃度測定に脈動(パルス)部分を利用しているから。さすが!
まずオムロン社の解説から
パルスオキシメータの原理は?
パルスオキシメータは指先に光を当てることで、酸素飽和度(SpO2)を測定しています。
パルスオキシメータは、赤色の光と赤色ではない光の2種類の光を指に当てて、センサーが受け取る光の量を測定することで酸素飽和度を見ています。
肺に取り込まれた酸素は、ヘモグロビンと結合することで全身に運ばれます。
酸素と結合したヘモグロビンと酸素と結合していないヘモグロビンでは、2種類の光の透過量に違いがあります。
その透過量の違いを機器で検出することで、酸素が多い血液なのかそうでないのかをパーセンテージで表示しています。
詳しい内容が、こちらにありました。コニカミノルタ社
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/principle.html
パルスオキシメータ知恵袋 基礎編
パルスオキシメータの原理
パルスオキシメータは血液の赤い色を見ています。
血液は一見赤い液体のように見えますが、液体成分の血漿は薄黄色で、血漿の中に無数の赤色の細胞(赤血球)が浮かんでいるため、肉眼では赤く見えるのです。この赤血球の赤色も赤血球の中のヘモグロビンという色素の色で、ヘモグロビンは酸素と結びつくと鮮やかな赤色になります。
パルスオキシメータは動脈血の赤色の度合いを見て、酸素飽和度(酸素に結びついたヘモグロビンの比率)を見ています。
右の図は、酸素と結びついたヘモグロビン(HbO2)と、酸素を離したヘモグロビン(Hb)において、どの光を多く吸収するかを示した吸光度曲線と呼ばれるものです。色は横軸の波長で表わされます。
2本のグラフはHbO2とHbがどの波長をよく吸収し、どの波長をあまり吸収しないかを表わしています。線が下に行くほど、その波長を吸収しない(良く通す)ことを意味します。
酸素と結びついたヘモグロビンは赤い色をしていますが、これは赤い色だけをあまり吸収せずに通してしまうからです。つまり、赤い色の吸光度が低いのです。一方、酸素を離したヘモグロビンは黒っぽい色になります。これは光をよく吸収するからです。赤色(R)を血液に当てると、ヘモグロビンと酸素がより多く結びついていると、それだけ多くの光が指を通り抜け、センサーが受け取る光の量が多くなります。赤外光(IR)はヘモグロビンと酸素が結びついていてもいなくてもどちらも、あまり変わらず血液を通り抜けます。
HbO2が増えHbが減れば、センサーが受け取る赤色光(R)は多くなり、赤外光(IR)はあまり変わりません。その逆では赤色光は少なくなり、赤外光はやはりあまり変わりません。
つまり、センサーが受け取るR/IRの比率が分かれば、HbO2とHbの比率、即ち酸素飽和度が分かる事になります。
パルスオキシメータは動脈血の変動を見ています。
生体に照射された光は、血液以外の組織層、動脈層、静脈層を通るなか、各層で吸収を受けセンサーに届きます。
心臓から拍出された動脈血は、脈波と呼ばれるように波のような形で血管内を移動します。
極く短い時間の中で、厚みが変化するのは脈動をしている動脈血だけです。皮膚や肉などの組織や静脈は、極く短時間では厚みは一定です。厚みが変わると透過する光の量も変わり、センサーの受け取る信号も変化します。
つまり、信号の変化成分は厚みの変わった組織だけの成分、すなわち動脈血だけの情報となります。
脈動(変化成分)を見ることで、動脈血だけの成分を見ることができ、R、IRの変化成分の比率から動脈血だけの酸素飽和度が求められます。
パルスオキシメータは脈拍数も表示しますが、それは、このように変動を見ることで、脈拍も同時に求められるからです。
R/IRの比率から校正定数によって%SpO2を求めます。
赤色光(R)と赤外光(IR)の透過光量の変動成分の比率とSpO2値の関係は、使用されるR、IRのLED波長によって異なり、両者の関係式を校正定数と呼びます。
校正定数は、パルスオキシメータと、同時に採血して得られたSaO2値との相関を、実験で求めることによって決定されます。
右図では、RとIRの比率が同じ場合にはSpO2は83%、RがIRの0.4の時にSpO2が 100%となるような校正定数を持つパルスオキシメータを例示しています。