工業用ダイヤモンドが、金属加工ではよく使われている。鋳物の仕上げでロボット利用でもツールはダイヤモンド粒を利用している。
工作機械でも、内径研磨などダイヤモンドツールが使われている。
その生産は、中国が圧倒的シェア(9割以上)と言われ、中国はレアアース同様にその供給を政治的恫喝に利用している。
日米協議の中で、日本は米国に中国依存脱却のためのインフラとして生産設備支援すると。
そこで、工業用ダイヤモンドについて調べてみた。
AI(Gemini)に関係解説を依頼した結果を以下報告する。
人工ダイヤモンドの生産方法、特徴と世界の生産シェアは?中国依存脱却の方法も?
Gemini Ans:
人工ダイヤモンドは、近年、宝飾品から半導体・量子コンピュータなどの先端技術分野まで急速に普及しています。
2026年現在の最新状況に基づき、生産方法、特徴、世界シェア、そして「中国依存」からの脱却に向けた動きについて解説します。
1. 人工ダイヤモンドの主な生産方法
主に2つの技術が主流です。
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HPHT法(高温高圧法): 地球内部のダイヤモンド生成環境を再現。炭素原料を金属触媒とともに超高圧・高温のプレス機内で溶解し温度制御を行って数日から数週間で種ダイヤモンド表面にダイヤモンド粒子として結晶化させる。主に中国が得意とする手法で、工業用砥石や、黄色味を帯びた小粒の石の生産に向いている。
圧力:5.5 GPa 〜 6 GPa(ギガパスカル)以上、 温度:1,400°C 〜 1,600°C 以上で鉄の熔解温度(約1,538°C)に近い高温が必要。
無酸素設備内の超高圧と鉄溶解する高温設備内で、炭素原料を金属触媒(鉄、コバルト、ニッケルなど)に溶かし込み、種石の上にダイヤモンドとして再結晶。酸素があると結晶したダイヤモンドは炭素同様に燃えてしまうので無酸素状態で行う。
注:これは当HPの鉄炭素平衡状態図 基本の理解 で解説したように、複数元素の混合高温溶解液から、温度が下がるとそれぞれの元素が純粋な結晶として晶出してくる現象を利用。通常の圧力では柔らかい黒鉛や硬いセメンタイト(Fe3C)が晶出するが、5.5GPa以上の超高圧ではダイヤモンドとして晶出してくる現象を利用したもの。HPHT法(高温高圧法)において、「ダイヤモンドが鉄に溶ける」という現象は、失敗ではなく「育成の鍵」として積極的に利用されています。
製鉄の常識と同じく、1,400°C〜1,600°Cの高圧下で溶けた鉄(金属触媒)は、炭素を非常に好んで取り込みます。このプロセスを詳しく紐解くと、以下のようになります。
1. 「溶かす」ことで「形を変える」
HPHT法の容器(セル)の中には、原料のグラファイト、金属触媒(鉄など)、ダイヤモンドの種石の3つが入っています。
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グラファイトが溶ける: まず、高温高圧下で液体になった鉄に、原料であるグラファイトがどんどん溶け込みます。
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飽和状態になる: 鉄の中に炭素が限界まで溶け込んだ状態(飽和)になります。
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種石への析出: ここがポイントです。装置内にわずかな「温度差」をつけ、種石がある側を少しだけ温度を下げます。すると、鉄に溶けていた炭素が「溶けていられなくなり」、種ダイヤモンドの表面にダイヤモンドの結晶としてくっつきます。
つまり、**「グラファイトを一度鉄に溶かし、ダイヤモンドとして取り出す」**というリサイクルに近い工程が行われているのです。
2. ダイヤモンドも条件次第で「溶けて消える」
「種石」として入れたダイヤモンドを、原料よりも高い温度の場所に置いておくと、種石自体が鉄に溶けて消えてしまいます。
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温度管理の重要性: 原料側を高温(溶けやすい)、種石側を低温(固まりやすい)に精密にコントロールしないと、せっかくのダイヤモンドが鉄のスープの中に溶け去ってしまいます。
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触媒の役割: 鉄、ニッケル、コバルトなどの溶解金属は、融点降下を利用し超高温で溶解する炭素を低温で溶解させ原子の結合を一度切り離し、ダイヤモンドの構造へ組み替えるための「仲介役」をしています。
3. なぜ「鉄の中」でダイヤモンドになれるのか?
製鉄(常圧)の場合、鉄に溶けた炭素が固まると「セメンタイト(Fe3C)」や「グラファイト(炭素鋼中の黒鉛)」になります。
しかし、HPHT法では5.5GPa以上の超高圧がかかっているため、鉄の中から出てきた炭素原子は、グラファイトよりも密度の高いダイヤモンドの構造をとるしか道がないのです。
豆知識:
ちなみに、完成した人工ダイヤモンドを鉄から取り出す際は、周りの鉄を酸(王水など)で溶かして洗浄します。表面には鉄に溶けかかった跡(エッチピット)が残ることもあります。
4. CVD法(気相成長法)
ちなみに、もう一つの方法であるCVD法では、鉄などの金属を一切使いません。
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メタンガスをプラズマでバラバラにし、炭素原子を直接種石の上に「ふりかけ」のように積もらせます。
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そのため、「鉄に溶ける」という心配がなく、より高純度なダイヤモンドを作ることができます。
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CVD法(化学気相成長法): 真空装置内でメタンガスなどの炭素を含むガスをプラズマ化し、ダイヤモンドの「種石」の上に炭素原子を積層させる方法です。HPHT法よりも低い圧力で、不純物の少ない純度の高い大型結晶を作ることができます。インドやアメリカ、日本が強みを持つ、ハイテク産業向けの次世代技術です。
2. 特徴:天然との違いは?
人工ダイヤモンドは「偽物」ではなく、化学的・物理的・光学的に天然ダイヤモンドと全く同一です。
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品質とコスト:天然よりも不純物が少なく、かつ価格は天然の20〜30%程度まで下がっています(2025-2026年時点)。
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サステナビリティ:環境破壊や紛争(コンフリクト・フリー)のリスクがないため、Z世代などの若年層から支持されています。
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産業用途:熱伝導率が極めて高いため、AIサーバー用の次世代パワー半導体や量子コンピュータのチップ素材として期待されています。
3. 世界の生産シェアと中国の現状
現在、世界の人工ダイヤモンド市場はアジアが牽引しています。
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中国の圧倒的シェア: 中国(特に河南省)は、世界の人工ダイヤモンド生産量の**約50%〜90%(工業用含む)**を占めるとされています。長年のHPHT技術の蓄積と、安価なエネルギー・人件費により「規模の経済」を実現しています。
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インドの台頭: 「カット・研磨の世界拠点」から「生産拠点」へとシフトしており、政府によるCVD法への投資支援により、宝飾品向けシェアを急速に拡大しています。
4. 中国依存を脱却する方法
中国が2024〜2025年にかけて人工ダイヤモンドを含む超硬材料の「輸出規制」を強化したことで、サプライチェーンの多角化が急務となっています。
① サプライチェーンの多角化(チャイナ・プラス・ワン)
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インドとの連携:中国に次ぐ生産国であるインドを、代替の供給源として活用する動きが強まっています。
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日米での生産拠点整備:2026年1月には、日本が米国へ人工ダイヤモンドの生産拠点を整備する計画が報じられるなど、民主主義諸国内での完結型サプライチェーン(フレンド・ショアリング)構築が進んでいます。
② 国産技術(CVD法)の高度化
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中国が得意なのは「大量生産のHPHT法」です。一方、日本などは「高品質・高付加価値のCVD法」に注力しています。
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半導体・量子技術への転用:単なる「宝石」としてではなく、国防や先端産業に直結する**「ダイヤモンド半導体」**の技術を自国で囲い込むことで、戦略的な自律性を確保する狙いがあります。
③ 認証と透明性の強化
ブロックチェーンなどを用い、中国産ではないことを証明するトレーサビリティ(追跡可能性)を導入し、ブランド価値で差別化を図っています。
2つの方法の生産性の違いは?
Gemini Ans:
HPHT法とCVD法では、生産性(コスト・速度・拡張性)の面で大きな違いがあります。
結論から言うと、**「大量生産と低コストのHPHT法」に対し、「高品質と技術的拡張性のCVD法」**という構図になっています。
HPHT法 vs CVD法の生産性比較
| 項目 | HPHT法(高温高圧法) | CVD法(化学気相成長法) |
| 成長速度 | 早い(数日から数週間) | 比較的遅い(数週間〜1ヶ月以上) |
| 設備コスト | 非常に高い(巨大なプレス機と強固な基盤が必要) | 比較的低い(真空チャンバーなどの精密装置が主) |
| 運用コスト | 高い(膨大な電力と熱を使用) | 比較的低い(エネルギー効率が良い) |
| 得意な製品 | 工業用小粒、色付き(黄・青)、大量一括生産 | 宝飾用大粒(無色透明)、半導体用基板 |
| スケーラビリティ | 低い(装置が巨大で場所を取る) | 高い(並列稼働や自動化が容易) |
1. HPHT法の生産性:中国の「物量作戦」
HPHT法は、巨大なプレス機の中で一度に多数のダイヤモンドを「炊き上げる」イメージです。
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メリット: 工業用の研磨剤や、1カラット未満のメレダイヤを数万個単位で一気に作るのに適しています。中国が世界シェアを握っているのは、この大規模な工場設備への初期投資と、安価な電力によるコストダウンを徹底したためです。
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デメリット: 装置が数十トンという重さになるため、工場の床を強化する必要があり、物理的な拡張には限界があります。
2. CVD法の生産性:次世代の「精密工場」
CVD法は、真空装置の中で炭素を雪のように降り積もらせる「積層」の技術です。
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メリット: **「高品質・大型化」**に強く、半導体チップなどのウェハー(基板)として大面積で成長させることも可能です。装置自体がHPHTに比べて小型で軽量なため、自動化されたクリーンルームで並列稼働させやすく、ハイテク産業への転用が容易です。
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デメリット: 結晶が成長するスピードがHPHTより遅いため、短期的な「量」では劣る場合があります。
なぜCVD法が「中国依存脱却」の鍵なのか?
中国がHPHT法の巨大設備で圧倒的なシェアを持っていますが、日本や欧米、インドが注力しているのはCVD法です。
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設備投資のハードル: CVD法はHPHT法ほど巨大な土地や物理的基盤を必要としないため、都市近郊のラボでも生産可能です。
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付加価値の高さ: 宝飾品だけでなく、パワー半導体や量子センサといった戦略物資としての価値はCVD産の方が高く、先端技術での自律性を確保しやすいのが特徴です。
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エネルギー効率: 2026年現在のエネルギー価格高騰下では、HPHT法よりも電力効率が良いCVD法の方が、中長期的な運用コスト面で有利になりつつあります。

