中国の輸出規制で、暴騰と。レアアース族の中でも生産量が多く利用先も多いと。
金属の切断に用いられることが増えたレーザー切断機も、イットリウムを利用しているという。AIで調べた結果を紹介する。

1. 基本情報

 英文名: Yttrium(イットリウム) 元素記号: Y

2. 精製法

 イットリウムは他のレアアースと性質が似ているため、単体で取り出すには高度な化学的プロセスが必要です。

  • 溶媒抽出法 (Solvent Extraction): 最も一般的な工業的精製法です。水相と有機相の間で各元素の分配係数の差を利用し、何百回もの工程を繰り返すことで高純度のイットリウムを分離します。
  • イオン交換法: 溶媒抽出法よりもさらに高純度(99.999%以上など)を求める場合に用いられます。
  • 金属化工程: 分離された酸化イットリウムを、フッ化物に変えた後、カルシウム金属などで還元して金属イットリウムを得ます。(フッ素FがCaとはYより強く結合することを利用)

3. 生産量と世界の現状

 世界全体の生産量: 酸化イットリウム(Y2O3)換算で年間約10,000〜15,000トン程度と推定されています。

4.資源国と精製国

項目 主要国 特徴
主要資源国(採掘) 中国、ミャンマー 世界の供給の大部分を占めます。特に中国南部のイオン吸着型鉱床に豊富に含まれます。
主要精製国(分離・加工) 中国 **世界の精製能力の90%〜99%**を中国が独占していると言われるほど集中しています。
その他(わずかな生産) タイ、ベトナム、マレーシア、インド 微量の副産物として生産されますが、精製は中国に依存する場合が多いです。

5.用途

 イットリウムは、そのユニークな化学的・物理的特性から、私たちの身近なハイテク製品から最先端の医療、エネルギー分野まで幅広く活用されています。

主な用途をカテゴリー別にまとめました。

1. 電子機器・ディスプレイ
 かつてはブラウン管の赤色発色剤として有名でしたが、現在はさらに高度な分野で使われています。

  • LED・蛍光体: 白光LEDの黄色蛍光体(YAG: Ce)として欠かせない存在です。
  • 液晶パネル: ガラス基板の耐久性を高める添加剤として利用されます。

2. 光学・レーザー技術
 イットリウムを用いた結晶は、レーザー技術の心臓部です。

  • YAGレーザー: イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Y3Al5O12)の結晶を用いたレーザーです。
  • 工業: 金属の切断や溶接。
  • 医療: 歯科治療、眼科手術(白内障など)、美容皮膚科(シミ取り)。
  • カメラレンズ: 高屈折率・低分散の特殊ガラスの原料となります。

3. セラミックス・特殊合金
熱や衝撃に強い「タフな材料」を作るために使われます。

  • ジルコニアの安定化: 酸化ジルコニウムに酸化イットリウムを混ぜることで、極めて割れにくい「イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)」になります。
  • 用途: 人工関節、セラミックナイフ、歯科用インプラント(差し歯)、酸素センサー。
  • 耐熱合金: ジェットエンジンのタービン刃などに添加され、高温下での腐食を防ぎます。

4. エネルギー・最先端科学
 高温超伝導体: 液体窒素温度(ー196度C)以上で超伝導を示す「YBCO(イットリウム・バリウム・銅酸化物)」の主成分です。送電ロスを減らす次世代送電線として期待されています。

  • 燃料電池: 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電解質層に使用されます。

5. 医療(放射性同位体)
 がん治療: 放射性同位体であるイットリウム90(90Y)は、肝がんや悪性リンパ腫の放射線療法(RI内用療法)に用いられ、体の中からがん細胞を攻撃します。

 

レアアース「イットリウム」、価格が1年で140倍 対日規制で急騰

日経新聞 商品ニュース 2026年3月4日 11:00

イットリウムはレアアースのなかでも特に幅広い製品で使われている=ロイター
レアアース(希土類)の一種で、半導体や防衛用途で使われるイットリウムの価格急騰が鮮明だ。中国がレアアースに対する輸出規制を発動して1年近くたつが、イットリウムへの影響は甚大で1年で価格は約140倍に達した。2026年に入って打ち出された対日輸出規制が一段と供給懸念を強め、価格高騰に拍車がかかっている。

英調査会社アーガス・メディアによると、中国外での指標となる欧州価格でイットリウムは2月26日時点で1キログラム850ドル。データが遡れる2012年以降の最高値で推移している。1年前は6ドル程度に過ぎなかったが、急速に水準を切り上げている。

数あるレアアースのなかでもイットリウムは幅広い用途で使われるのが特徴だ。例えば発光ダイオード(LED)や医療用のレーザー装置に活用される。半導体製造装置内の部品をコーティングする材料になる。防衛用途では航空エンジンの耐熱性を高める材料としても使われる。

価格高騰の起点になったのは1年前の中国による輸出規制だ。中国政府は25年4月、電気自動車(EV)向けのモーター磁石に使われるジスプロシウムなど7種類のレアアースの輸出規制を発表した。レアアースの中でも希少性の高い重希土類に分類され、中国が生産の大半を占めるイットリウムも対象品目に含まれた。

輸出規制が課されたレアアースのなかで、とりわけイットリウムの供給懸念が深刻化しているのは消費量の多さに起因する。

アーガスによれば25年の世界のイットリウム需要は約1万3800トンだった。同じく輸出規制が発動されているジスプロシウム(3200トン)やテルビウム(530トン)よりも多い。ジスプロシウムの欧州価格も1年で4倍強と急上昇しているが、イットリウムほどの急騰ではない。

イットリウム価格は26年に入り上昇基調が一段と強まっている。きっかけは1月に打ち出された中国による対日輸出規制の強化だ。

中国政府は1月、軍民両用(デュアルユース)品目に関して日本向け輸出の規制を厳しくすると発表。軍事用途でも使われるイットリウムの市場での供給懸念が一段と強まった。

アーガスの担当者は「1月の対日規制をきっかけに日本の需要家が欧米市場での原料確保を進めている」と足元の変化を指摘する。中国商務省は2月下旬、三菱造船など日本の20企業・団体を明示し、軍民両用品の輸出を禁止する方針を打ち出した。

輸出規制の影響は中国からの輸出量にすでにみられる。中国の税関データによれば、25年の酸化イットリウムの世界向け輸出は前年比で30%減少した。

イットリウム高騰は需要家の負担につながりかねない。日本国内でイットリウム製品を取り扱う企業からは「他の材料に代替するのは難しく、現時点で買い控えの動きは限られている」との声が聞かれる。

日本半導体製造装置協会(SEAJ)は「現時点で半導体製造装置の生産に直接影響が出ているとは聞かないものの、イットリウムの価格高騰や品不足は懸念の一つ」と指摘する。

最近では小笠原諸島の南鳥島沖でレアアースを含む泥を採掘する動きが進む。イットリウムも泥に含まれる元素だが、商業化に向けては時間を要する。供給懸念を測るバロメーターとして価格動向を注視する重要性は高まっている。

(山田周吾)