2025年4月22日に鋳造工学会中国四国支部の総会が広島市工業技術センタで開催され、近くの「久里川」で交流会があり、多数参加で盛会でした。
交流会に参加された板村様から、新技術の紹介文献を教えてもらい、解説していただきましたが面白い話を聞けたのでご紹介します。
アルミダイカストの半凝固鋳造についての知見ですが、アルミダイカストでは常識外れの低温である固液共存温度で圧入すると「定温状態が維持され、流動性も維持されてきれいに充填できるのだと」。
原因は、個体の金属が溶解するときには溶解熱が必要で、逆に溶融金属が個体に凝固するときに同量の熱が放出され温度が下がらないことを利用するのだと。
銑鉄溶解現場で成分測定する方法では、時間と温度の冷却曲線で凝固始まると温度が上がったりする部分が発生する、あの現象がアルミの凝固でも存在する。
その領域を半凝固鋳造(圧入)で利用すると、従来法では充填できなかった薄肉でもしっかり充填でき、表面がきれいで、結晶粒度が一桁小さいミクロ組織ができるのだと。
素晴らしい発見・発明ですね。
ちなみに、板村さんは「幸学博士」を自称し、人生に必要なのは「感動・幸福・貢献」だそうです。この世が素晴らしいことに充ちているという事実に目覚め、感動することで幸福になり他を幸せになるように貢献することが、人生の幸福を実現する方法で、笑顔が手段になると。板村さんは、ほんとに笑顔が素敵な人でした。
東北大学の紹介サイトから彼の特許概要を引用でご紹介します
https://www.t-technoarch.co.jp/data/anken_h/T12-102.html
粒径2~4µMの球状結晶を有する半凝固ダイカスト品
既存設備で、格安・高品質な半凝固ダイカストを製造可能!
概要
従来のダイカスト成形品は全体的に表面品質が半凝固ダイカスト品に比べて良くないだけでなく、先端部分の薄肉部分(厚み0.1mm)の充填性が悪く、未充填であるなどの課題があった。また、半凝固法は既存の設備だけでは製造できなく製造コストが大となるといった課題があった。
本発明では、最適固相率の選定及びスリーブ内溶湯温度分布の均一化と核発生と成長の最適化を温度コントロールにより適用することにより、半凝固を既存のスリーブ内で効率良く生成させる技術であり、薄肉部においても充填可能で表面品質が良く、既存のダイカストメーカが保有する設備にて対応ができる事が最大の特長である。
【物クレーム】を取得済。


性能・特徴等

応用例
・自動車用部品
・携帯用部品
・精密機器部品
知的財産データ
知財関連番号 : 特許5825583(日本)、特許9,038,705(米国)、特許10,384,262(米国)
発明者 : 板村 正行、安斎 浩一、ほか
技術キーワード: ダイカスト、半凝固、鋳造