鋳造品は、いろいろな立体形状を製造できますが、できたものが設計通りかどうかを計測するのは大変な作業。
定盤の上に、基準面を水平になるように鋳物品を乗せ、次にいろいろな計測具を使って白いケガキ線を入れて、寸法計測し記録していく。
神経をすり減らすような作業が必要でした。三角関数を使った測量方式の計算が必要な場合もありました。
次いで、センサーを手で操作し接触させて3次元位置を計測する機器が登場しました。
最近は、これに加えてレーザー方式などの新しくより簡単に計測し測定データを記録できる3D形状測定機が誕生し、いろいろ実用に使えるようになりました。
ここでは、そうした事例をいくつかご紹介します。(各題名は紹介元サイトへリンク)
1.「大物鋳鋼品の三次元測定機による定盤フリー寸法測定作業」
宇部スチール (PDF 2ページ)
概要:大物の鋳鋼品の寸法計測は、準備・計測が大変な作業で安全上のリスクもあった。有接触式かつ広範囲の測定ができるレーザートラッカー+プローブ方式を適用し、実施例では作業工数が3240分・人から730分・人に減少。
効果の確認: 三次元測定機の導入および使用方法の工夫によるリスク低減と作業能率改善を行った結果、以下の効果を得ることができた。
1)定盤フリーでの寸法計測作業により、従来よりも早く、精度の良い測定ができるようになった。
2)作業の安全性が高まり、災害発生のリスクが減少した。
2.大型鋳物製品の光学式三次元測定(丸紅情報システム)
アメリカの鋳造メーカー:Bradken社は大きな鋳造品には光学式三次元測定技術を活用することで、検査工数の削減、品質の向上、修正工数の削減の業務改善を図ることとなった。
最大1600万画素の高解像度なカメラを搭載している光学式3DスキャナであるGOM社製ATOS Triple Scanを選定した。選定要因は以下4点である。
- 正確なデータ取得できる
- 高解像度(最大1600万画素CCDカメラ搭載)
- 測定範囲に関し柔軟性に富んでいる(小物から大物まで1システムで測定可能)
- 作業が簡単
- ブルーライト技術(低帯域のブルーライトは外部光の影響を受けにくく、また低反射の為光沢面の測定精度も良い)
Bradken社はATOS Triple Scanに加えてTRITOPというフォトグラメトリシステムを活用し大きな鋳造品やタービンハウジング等アッセンブリ品の正確な座標取得を行っている。フォトグラメトリシステムとは複数方向から撮影した画像を解析することで3D座標や3D変位分析ができる技術である。
以上からBradken社はGOM製測定システムを導入したことで以下4点の検査工程改善ができた。
- 大きく複雑形状の製品を測定できる
- 完全な全体形状測定ができる
- 厳しい公差に対応できる
- 検査工数の削減
ATOSに投資した費用対効果は期待以上であり、また外注へのコストカットも実現した。
鋳造品を誰でも簡単・正確に測定する方法(Keyence)
対象物の3D形状を非接触で、かつ面で正確に捉えることができます。また、ステージ上の対象物を瞬時に3Dスキャンして3D形状を高精度に測定する3Dスキャナ型三次元測定機「VLシリーズ」を開発
メリット1:「面」で対象物全体の3D形状を一括取得
「VLシリーズ」は、面データ(ワンクリックで1600万点のデータ)を取得
メリット2:簡単操作で、誰が測っても測定値がバラつかない
対象物をステージの上に置き、ワンクリックするだけの簡単操作で、3D形状の測定を実現
メリット3:3D-CADデータとの差分をカラーで見える化
設計した3D-CADデータと取得したデータを照合