錫は融点が232度と低く、容易に溶解することができる金属です。
鋳造しやすく古来錫合金は青銅器として利用され、現代でも家庭でできる鋳造法として利用されたり、高級食器として販売されたりしています。
錫・鉛合金 はんだ(融点 180-230度)
錫・銅合金 青銅(融点 970度-1080度)
鋳造の実際を 大阪錫器株式会社さんがHPで製作工程を写真付きで紹介しています。その一部を引用でご紹介します。
完成した錫銚子
作り方
http://www.osakasuzuki.co.jp/koutei.html
大阪錫器の商品はどのような作り方をしているのか
「銚子 イブシ 駒形」を例にご紹介いたします。
1.材料
材料は「錫」という金属です。
「錫石」(Cassiterite)という鉱石から精錬され、青銅器の材料として古代から使われていたこともあり日本でも盛んに採掘されていました。
2.鋳造
錫を溶かし、液体になった錫(湯と呼びます)を型に流し込んで必要な形に作り変えます。
3.ロクロ削り
鋳造で作ったもので丸い形のものはろくろを使って形を整えます。
4.焼き合わせ
熱したこてで上下に分けて作った部品を、共付け溶接で接合させます。
5.ロウ付
ロウ材という錫よりも低い温度で溶ける金属を接着剤にして、そそぎ口と持ち手の基部を取り付けます。
6.絵付
塗り残しや薄い部分がないように注意しながら絵の具で模様を描いていきます。
7.くさらし
酸に浸けることで錫の表面を侵食させて凹凸をつくります。
絵付で描いた場所は侵食されないので一段もり上がり、豊かな風味が生まれます。
8.漆塗り
くさらしでできた凹みに漆を塗りこんでいきます。
塗り残しが無いよう丹念に、塗りむらができないよう慎重に。
9.最終仕上げ
余分な漆をふき取り全体のつやを出した後、持ち手を取り付けます。
10.完成
最後に傷がついていないか、持ち手がぐらついていないか、などを確認して完成となります。