鋳造工場で利用する動力のほとんどは電気モーターを使っています。

その動作原理は、大学の電磁気学教科書の数式解説では磁界(磁場)を通る電流に働くローレンツ力だと。
しかし直流モータの解説図ではほとんどが回転子(ローター)に鉄心に電線を巻き付けたコイルが使われ、コイルが棒磁石として周囲に配置された固定磁石との反発力と引き付け力で回転するというように描かれて、ローレンツ力がどのように働くかの解説は少ない。

ネット解説から代表的な図を利用して直流モーターが回転する仕組みを考えてみた。

図の引用元 モーターが回転する仕組みとは? コーティングMagazine 株式会社吉田SKT

ローレンツ力らしい直流モーター図(この形式のモーターは少ないようだ)

ローレンツ力になりそうな上の図例では、固定磁石から出る磁界に対して直角に流れる電流に働く力はベクトルの外積で表され

F=I x B

で、電流の向きと外部磁界に直角方向で、回転力となることは直感的にも理解できる。

 

 

よくある解説図

一方、ローターが棒磁石に思える直流モーター図は下記のようなものが代表例(実際は3つのローターと電流の向きを次々に切り替えるブラシを利用し連続して回転させる)

 

モーター内部は、ステーターのNS磁石で磁界は左から右方向。
電磁石の引き合い力・反発力モデルで考える場合は、電磁石になっているローターは、このコイルでは上がN局で下がS極で、N-Nは反発しS-Sも反発するので右回転トルク発生(下図参照)。

 

ローレンツ力モデルで考える場合は、コイルの電線の
ステイター(固定磁石)の磁界方向に平行な表裏の電線部分ではローレンツ力は発生せず、
図の左側部分は紙面の裏から表への電流で磁界と直交するので上方向の力が発生し、
図の右側部分は紙面の表から裏への電流で磁界と直交するので下方向の力が発生する
ので、全体としては右回転トルクとなる。

棒磁石が回転して水平方向になるとNとSが引き合って回転が止まってしまう。
ローレンツ力でみると、コイルの接線方向に流れる電流と外部磁界で発生するローレンツ力は、コイルの外か内かに向き(棒磁石の中心線に直角方向)、棒磁石の回転トルクにはならない。
そのため、電流の向きを逆転させN・S極を逆転させることで回転を続けさせる必要がある。(回転方向は動き始めた慣性で定まる)

 

マブチモーターの直流モータの解説(代表的な3極ローター型)

マブチモーターの解説図