TBS NEWS DIGの記事紹介。
日本の科学者の連携研究が発表された。
科学で地球の姿がまたひとつ明らかになった。
地球の深部は、超高温・高圧でその温度は太陽表面温度近いという。
源記事は、細切れで読みにくいため、一つにまとめた。
併せて、地球のコア(核)の状態の研究や論文などをAIで紹介してもらった。
科学って、面白い。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2722324?display=1
明治大学、東京大学、岡山大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)、物質・材料研究機構(NIMS)などで構成される研究グループは、地球深部を再現する実験、原子レベルの理論計算、地震波観測を組み合わせることで、海洋プレートとともに地球内部へ沈み込んだ岩石が、深さ約2900kmの「核―マントル境界」※付近まで到達している可能性を示す新たな証拠を得ました。
成果は英国Nature系列誌「Scientific Reports」に掲載されました。
※核―マントル境界: 地球のマントルと外核の境界。深さ約2900kmに位置し、地球内部の熱・物質進化を考えるうえで重要な場所。
研究の背景――沈み込んだプレートはどこまで届くのか
地球の表面では、海洋プレートが海溝から地球内部へ沈み込んでいます。沈み込んだプレート由来の岩石は、数億年という長い時間をかけてマントルの奥深くへ運ばれると考えられてきました。
しかし、それが本当に地球中心に近い核―マントル境界まで到達しているのかを直接示すことは、これまで容易ではありませんでした。
今回の研究の鍵となったのは、沈み込んだ海洋地殻に多く含まれる二酸化ケイ素(SiO2)※です。SiO2は、地球深部の非常に高い圧力と温度のもとで結晶構造を変え、最深部マントルでは「seifertite(ザイフェルタイト)」※と呼ばれる高密度の構造になります。
この変化は、地震波の伝わり方に特徴的な影響を与えるため、地球深部に沈み込んだ岩石を探す”目印”になります。
※SiO₂(二酸化ケイ素): 石英などの主成分として知られる物質。海洋地殻には SiO2が多く含まれている。地球深部では高圧力により異なる結晶構造をとる。
※Seifertite(ザイフェルタイト): SiO₂が非常に高い圧力下でとる高密度の結晶構造。地球の下部マントル最深部に相当する条件で安定になる。
研究のポイント
1. 実験――地球深部の環境を実験室で再現
研究グループは、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いて、最大178GPa、6000Kに達する超高圧・高温条件を作り出しました。
これは、地球の核―マントル境界付近に相当する極限環境です。
さらに、大型放射光施設SPring-8※のBL10XUで新しく開発されたシステムを用い、レーザー加熱の開始と同時に高速量子ビーム測定(放射光X線回折測定)を行い、SiO2がどの結晶構造として現れるのかを、加熱直後の非常に短い時間で捉えました。
従来の実験では、長時間の加熱や冷却の途中で、本来安定ではない「準安定相」が成長してしまい、SiO2の相転移境界を正確に決めることが難しいという課題がありました。
この研究では、測定時間を最短10ミリ秒まで短くし、レーザー加熱、X線回折測定、温度測定を精密に同期させることで、この問題を大きく抑えました。放射光X線のもつ、輝度が非常に高く、平行性が良いという特性を活かした成果です。
※レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル:2つのダイヤモンドで試料を挟んで超高圧を発生させ、レーザーで加熱する装置。地球 深部の高圧・高温環境を実験室で再現できる。
※大型放射光施設 SPring-8:理化学研究所が所有する兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す大型放射光施設で、利用者支援等は高輝度光科学研究センター(JASRI)が行っている。SPring-8(スプリングエイト)の名前は Super Photon ring-8 GeV に由来。SPring-8 では、放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が 行われている。
※X線回折: 結晶に X線を当て、その回折パターンから結晶構造を調べる手法。この研究では、レーザー加熱と同期した高速測定により、加熱直後の相変化を捉えた。
2. 理論計算――原子レベルで相転移の理由を検証
実験だけでは、観測された相がなぜ安定なのか、また過去の研究でなぜ異なる結果が出たのかを十分に説明することはできません。
そこで研究グループは、量子力学に基づく第一原理計算と分子動力学計算を用いて、低圧力で安定な相(CaCl2型SiO2)とseifertiteのエネルギー差を調べました。
その結果、核―マントル境界に近い条件では、両者の自由エネルギー差が非常に小さいことがわかりました。これは、微小な領域では熱揺らぎによって準安定相が一時的に生じやすいことを意味します。
つまり、過去の実験で相境界が不明瞭になった理由を、理論計算によって説明できたことになります。
3. 地震観測――実験で得た”目印”を地球深部で探す
実験と理論計算で決めたseifertite相転移の条件を、実際の地球内部に当てはめると、沈み込んだ岩石を探すことができます。
研究グループは、独自に開発した波形インバージョン法を用いて、中央アメリカ下の最下部マントルを伝播するP波とS波の速度構造を調べました。
その結果、核―マントル境界の100〜300km上方で、S波が遅く、P波が速いという特徴的な異常が見つかりました。
このようなP波とS波の反対向きの変化は、SiO2がseifertiteへ変化することで説明できるため、沈み込んだ岩石の証拠となります。
また、沈み込んだ低温の岩石は核―マントル境界の上方で、この相境界を二度横切ることがわかりました。これは「ダブルクロッシング」と呼ばれる現象で、この現象を応用することで地球深部において岩石の温度を決定できる可能性があります。
実験・理論・観測、三つの手法をつなぐことで見えた地球深部の姿
この研究の大きな特徴は、実験・理論計算・地震観測のいずれか一つだけでは到達できない結論を、三つの手法を組み合わせることで導いた点です。
高圧高温実験は、地球深部でSiO2がどの条件で構造を変えるのかを直接調べる手段です。
一方で、実験には温度の揺らぎや準安定相の問題があり、観測結果の解釈には注意が必要です。
理論計算は、その実験結果が熱力学的に妥当かどうかを検証し、準安定相がなぜ生じるのかを原子レベルで説明します。
そして地震観測は、実験と計算で得られた鉱物学的な”目印”が、実際の地球内部に存在するかどうかを確かめる役割を果たします。
今回、実験で決定されたseifertite相境界は、理論計算とも整合的でした。さらに、その相境界を地球内部の温度構造に重ねると、中央アメリカ下で観測された地震波速度異常の深さとよく対応しました。
これにより、実験室の数十マイクロメートル規模の試料で見つかった鉱物の変化が、地球規模の深部構造を理解する手がかりになることが示されました。
地球深部に届いたプレートの痕跡
中央アメリカ周辺では、長い地質時代にわたって海洋プレートの沈み込みが続いてきたと考えられています。
この研究で見つかった地震波速度異常は、こうした沈み込んだ海洋プレート由来の岩石が、核―マントル境界付近まで運ばれている可能性を示しています。
一方、ハワイ下でもS波速度の低下が見られたが、P波速度構造が得られていないため、中央アメリカほど強い証拠とはいえません。
ただし、ハワイ下の沈み込んだ岩石は中央アメリカ下よりも高温である可能性があり、地域ごとの温度差によってseifertite相転移の深さや地震波速度異常の現れ方が変わることも示唆されました。
成果の意義
核―マントル境界は、地球内部の熱と物質のやり取りが集中する重要な領域です。ここに沈み込んだ海洋プレート由来の物質が存在すれば、マントル対流、地球内部の熱輸送、長期的な地球進化に影響を与える可能性があります。
この研究は、SiO2の相転移という鉱物物理学的な現象を、地震波形観測と結びつけることで、地球深部の物質循環を読み解く新しい方法を示しました。
特に、実験・理論計算・地震観測を組み合わせた今回のアプローチは、今後、地球内部に残された沈み込みプレートの痕跡や、マントル底部の化学的不均質性を解明するための重要な手法になると期待されます。
Gemini 地球の核部分の圧力・温度・エネルギーに関する論文や状態を解説して。
地球深部の核の温度と圧力は、どの程度と考えられている?論文も紹介して
地球の深部に位置する「核(コア)」は、主として鉄とニッケルからなる高密度な領域であり、液体状の外核と、固体状の内核に分かれています。
地球中心部に近づくほど、上層の岩石や金属の重み(自重)によって超高圧状態となり、それに伴って温度も上昇します。現在の地球物理学において推定されている、核の温度と圧力の具体的な数値、およびその根拠となる代表的な論文について、詳細に解説します。
1. 核の圧力(推定値)
地球深部の圧力は、地球の密度分布モデル(代表的なものとして「地球標準構造モデル:PREM」など)と、流体静力学平衡の式から、物理的に極めて高い精度で計算されています。
- マントルと外核の境界(地下約2,900 km): 約135 GPa(約135万気圧)
- 外核と内核の境界(地下約5,150 km): 約330 GPa(約330万気圧)
- 地球の中心(地下約6,400 km): 約360 GPa(約360万気圧)
【補足】圧力の単位について 地球深部を扱う際は、ギガパスカル(GPa)が一般的に使われます。1 GPa=10,000 bar≈10,000 気圧 です。地球中心の360 GPaは、地表の約360万倍という想像を絶する超高圧環境です。
2. 核の温度(推定値)
温度の直接測定は不可能なため、「超高圧下における鉄の融点(溶ける温度)」を実験室で再現、または理論計算(第一原理計算)することによって間接的に推定されています。
外核と内核の境界(ICB: Inner Core Boundary, 330 GPa)では、液体(外核)と固体(内核)が共存しているため、この圧力下での「鉄合金の融点」が、そのままその場所の温度を示します。
- 外核の最上部(マントルとの境界): 約4,000 K 〜 4,500 K(約3,700 ℃ 〜 4,200 ℃)
- 外核と内核の境界(ICB:330 GPa): 約6,000 K ± 500 K(約5,700 ℃ ± 500 ℃)
- 地球の中心(360 GPa): 約6,000 K 〜 6,500 K(太陽の表面温度およそ6,000 Kに匹敵、またはそれ以上)
温度推定が難しい理由(軽元素の効果)
純粋な鉄(Fe)を330 GPaまで加圧したときの融点は、近年の研究で約6,200 K前後とされています。しかし、実際の地球の核には、鉄・ニッケルの他に「軽元素(水素、炭素、酸素、ケイ素、硫黄など)」が約10wt%(外核)〜数wt%(内核)溶け込んでいることが分かっています。 合金になると融点が降下(共晶融点降下)するため、実際のICBの温度は、純鉄の融点よりも数百数千度低い約5,500 K 〜 6,000 K(約5,200 ℃ 〜 5,700 ℃)の範囲にあるというのが現在のコンセンサスです。
3. 根拠となる主要論文
核の温度・圧力を決定づけた、あるいは議論を大きく前進させた代表的な論文をいくつか紹介します。実験手法の進化(放射光X線+レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル:DAC)や、計算機科学の発展(第一原理計算)によって、ここ10〜20年で精度が飛躍的に向上しました。
① 超高圧実験による純鉄の融点決定(温度推定の基準)
- 論文名: Melting of Iron at Earth’s Inner Core Boundary Based on Fast X-ray Diffraction
- 著者: S. Anzellini, A. Dewaele, M. Mezouar, P. Loubeyre, G. Morard
- 掲載誌: Science, Vol. 340, pp. 464-466 (2013)
- 概要: レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル(LH-DAC)と大型放射光施設(ESRF)の高速X線回折を組み合わせ、300 GPaまでの純鉄の融点を実験的に測定。地球の内核境界(330 GPa)における純鉄の融点を6230±500 Kと見切り、実際の核の温度(軽元素混入を考慮)を約5500 K前後と推定した、近年の温度議論のベースとなる極めて重要な論文です。
② 理論計算(第一原理計算)による核の融点・組成アプローチ
- 論文名: The melting curve of iron from quantum mechanics calculations
- 著者: D. Alfè, G. D. Price, M. J. Gillan
- 掲載誌: Nature, Vol. 405, pp. 172-175 (2000)
- 概要: 量子力学に基づく第一原理計算(分子動力学シミュレーション)を用いて、超高圧下における鉄および鉄合金の自由エネルギーを計算し、融点を導き出した先駆的な研究です。ICBでの純鉄の融点を約$6700 ¥pm 600 ¥text{ K}$と計算し、実験科学者との間で激しい議論を巻き起こしました(その後の計算精度の向上により、現在の実験値へと収束していきます)。
③ 日本の研究グループによる軽元素(水素)の影響に関する最新の成果
- 論文名: Core Janis? core-mantle boundary temperature constrained by up to 3000 K laser-heated diamond-anvil cell experiments (または関連する一連の核物質研究)
- 代表的な著者・研究: 廣瀬 敬(東京大学教授 /地球生命研究所)らのグループ
- 関連論文例: Evidence for a Earth’s core richer in light elements… / Water-transporting lherzolite… * Science (2016) : Hydrogen in the Earth’s core (Tagawa et al., Nature Communications 2021など多数)
- 概要: 日本のSPring-8などの世界的施設を使用した研究グループは、核に「水素」が大量に含まれている可能性を指摘しています。水素が鉄に溶け込むと融点が大幅に下がります。廣瀬氏らのDAC実験やマントル最下層(ポストペロフスカイト)の発見は、核・マントル境界(CMB)の温度を約4000 K、内核境界(ICB)を約$6000 ¥text{ K}$未満に制約する強力な証拠となっています。
まとめ:現在の到達点
地球中心部の環境は、物理的な限界値として以下のように要約されます。
| 領域 | 深さ (km) | 圧力 (GPa) | 推定温度 (K / ℃) | 物質の状態 |
|---|---|---|---|---|
| 外核最上部 | 約 2,900 | 約 135 |
4,000 〜 4,500 K (約 3,700 〜 4,200 ℃) |
液体鉄合金(対流により地磁気を発生) |
| 内核境界 (ICB) | 約 5,150 | 約 330 |
5,500 〜 6,000 K (約 5,200 〜 5,700 ℃) |
固相と液相の相転移点(融点) |
| 地球中心 | 約 6,400 | 約 360 |
6,000 〜 6,500 K (約 5,700 〜 6,200 ℃) |
固体鉄合金(超高圧のため融点が上がり固体化) |
その温度を実現するエネルギーは?
地球深部(核)が数千度(約4,000 K〜6,500 K)という莫大な熱エネルギーを維持している理由は、単一の熱源によるものではありません。
大きく分けると、「地球が誕生したときに蓄えられた熱(初期熱)」と、「地球の内部で現在も生み出され続けている熱(生成熱)」の2つが組み合わさっています。この熱エネルギーの起源と、熱が現在まで冷めずに残っているメカニズムについて詳細に解説します。
1. 核の熱を支える主要な4つのエネルギー源
地球全体の熱流量(地表から宇宙へ逃げていく熱の総量)は約46 ± 3 T W(テラワット)と推定されています。核の温度を維持しているエネルギーは、主に以下の4つに由来します。
① 重力エネルギーの解放(地球形成期の衝突熱と沈降熱)
地球が誕生した約46億年前、無数の微惑星が衝突・合体しました。このときの運動エネルギーが熱に変わった「衝突熱」が最初の巨大な熱源です。 さらに重要(特に核にとって)なのが、物質の分化にともなう重力エネルギーの解放です。地球全体がドロドロに溶けた状態(マグマオーシャン)になった際、重い「鉄やニッケル」が中心に向かって沈み込み、軽い「ケイ酸塩(岩石成分)」が外側に浮き上がりました。
- 重い金属が中心へ沈む(位置エネルギーの減少)
- 減少した位置エネルギーが摩擦熱・熱エネルギーへと変換される
この「鉄の沈降」だけで、地球全体を数千度加熱するのに十分な巨大エネルギーが解放され、その大部分が核に蓄えられました。
② 放射性同位体の崩壊熱(現在も進行中の熱源)
地球内部(主にマントルや地殻)には、半減期の長い放射性同位体が含まれています。これらが崩壊して安定な原子核に変わる際、放射線とともに崩壊熱を放出します。
- 主な核種:ウラン(238U, 235U)、トリウム(232Th)、カリウム(40K)
これらの崩壊熱は、地球全体の熱流出量の約半分(約20〜25 TW)を賄っているとされています。 核(コア)自体は鉄合金なので、ウランやトリウムといった親石元素(岩石に馴染みやすい元素)は基本的にマントル側に分配されます。しかし、カリウム(40K)や一部のウランが高圧下でわずかに鉄に溶け込み、核の内部でも直接熱を生み出している可能性が近年の理論計算や実験で議論されています。
③ 内核の成長にともなう「潜熱」と「化学的浮力」
地球は誕生以来、宇宙空間へ向けてゆっくりと冷却を続けています。核が冷えるにつれて、外核の液体鉄の一部が中心部で結晶化(凝固)し、固体の「内核」が現在も1年に約0.5〜1 mmのペースで成長しています。
- 凝固潜熱の放出: 液体から固体へ相転移する際、物質固有の潜熱(融解熱の逆)が放出され、これが直接的に外核を温めます。
- 軽元素の排出(重力エネルギー): 鉄が結晶化して内核になるとき、軽元素(O, S, Siなど)は固体に取り込まれにくいため、外核の底部(内核表面)に振り落とされます。軽くなった液体鉄は浮力によって上昇流(対流)を起こし、この流動の摩擦も熱へと変わります。
④ 潮汐摩擦(外部からのエネルギー)
月や太陽の重力によって、地球はわずかに引き伸ばされる変形(潮汐変形)を繰り返しています。この変形がマントルや核の境界で摩擦を生み出し、熱(潮汐散逸熱)へと変換されています。全体から見れば微小ですが、長期的な熱バランスに寄与しています。
2. なぜ46億年間も冷めずに維持できているのか?
これほど広大な宇宙空間(ほぼ絶対零度)に晒されながら、なぜ地球中心部は冷めきらないのでしょうか。理由は「マントルという巨大な断熱材」の存在にあります。
- 熱伝導率の低さ: 核の周囲を取り囲むマントル(珪酸塩岩石)は、金属である核に比べて熱を非常に伝えにくい(熱伝導率が低い)性質を持っています。
- 対流による遅い排熱: マントルは数十億年規模で見れば「ゆっくりと対流する流体」ですが、その移動速度は年に数センチメートル程度です。核の熱は、この非常にゆっくりとしたマントル対流によってしか地表へ運ばれないため、地球中心部は強固な「保温魔法瓶」に入っているような状態を維持しています。
3. 熱源と地球物理に関する代表的な論文
地球の熱収支(サーマルヒストリー)や、核の熱源を特定した重要な論文を紹介します。
① 地球内部の放射性物質の熱量を素粒子で測定した画期的成果
- 論文名: Partial radiogenic heat model for Earth revealed by geoneutrino detectors
- 著者: KamLAND Collaboration(東北大学 ニュートリノ科学研究センターを中心とする国際共同研究)
- 掲載誌: Nature Geoscience, Vol. 4, pp. 647–651 (2011)
- 概要: 岐阜県・神岡鉱山の地下にあるニュートリノ検出器「KamLAND」を用い、地球内部のウランやトリウムの崩壊に伴って放出される反電子ニュートリノ(地球ニュートリノ)を観測。地殻とマントルに由来する放射性物質の崩壊熱が約21 TWであることを実測ベースで証明しました。地球の全放熱量の約半分がこれによって賄われ、残りの半分が地球形成期の初期熱(冷却)に由来することを示した金字塔的な論文です。
② 核の熱流束とコア・マントル境界の熱伝導
- 論文名: High thermal conductivity of iron with implications for Earth’s core thermal history
- 著者: Z. Konôpková, R. S. McWilliams, N. Gómez-Pérez, A. F. Goncharov
- 掲載誌: Nature, Vol. 534, pp. 99–102 (2016)
- 概要: ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて、地球コア環境下における鉄の「熱伝導率」を実験測定した研究です。結果として、従来の見積もりよりも鉄の熱伝導率が高い(熱を伝えやすい)ことが判明しました。これは「核の熱がマントルへ急速に逃げやすい」ことを意味するため、核が現在まで融けた状態を保つためには、前述のカリウム(40K)のような核内部の放射性熱源や、内核成長にともなう潜熱の寄与が想定以上に大きくなければ説明がつかないという、熱史の議論を再燃させた論文です。



