金属溶解に使われる電気炉は、大きく重い装置で、さらに溶解された金属が入る重量物。
それを傾動させて出湯します。傾動には、一般的に油圧(油圧シリンダー式)が利用されます。
油圧装置は、油圧ポンプ・油圧バルブ・油圧シリンダー(直動式)・油圧配管・油圧ホースが使われています。
解説でもわかるように、油圧は油圧バルブという精密な(ミクロン単位)スプールと穴を使い、ごみ(コンタミという)があると、詰まって動作できなくなります。
漏れても・滲んでも・ゴミが入ってもダメなのが油圧です。
油圧回路とゴミ問題の解説は、下記サイトをご覧ください。
作動油の管理(ゴミによるトラブルと浄化対策) | ジュンツウネット21
https://www.juntsu.co.jp/qa/qa0528.php
常時運転のモーターで油圧ポンプを動かし一定の圧力の油圧状態とし、一定の温度範囲で利用するため、動作中は冷却や、バルブのスプールにゴミが詰まらないようコンタミ防止のフィルタリングが大切です。
上記サイトでは、油圧の回路図全体が解説されています。
油圧バルブは、数ミクロンの隙間のスプールが油圧バルブの中の穴を動くことで油の流れの方向を切り替え。
数ミクロンのごみでも嚙みこむと動作不良を起こします。
そのため、ポンプの入口にサクションフィルタ(吸い込み口フィルタ)がついています。
トラブル例では、サクションフィルタが目詰まりし、油が流れなくなり、ポンプが過熱し軸が破損することも。
油圧を使うときは、フィルターの目詰まりチェックや湯温(水冷循環)確認なども欠かせません。
油圧バルブは、スプールが左右に動く動作を電磁気で動作するソレノイドバルブで行っています。
では、ソレノイドバルブとは?
電流をコイルに流し発生する磁界を鉄芯で強い磁力とし、スプリングで離されている可動鉄心を引き寄せ、連結されているスプールを動かし、油の流れを変えて油圧機器を動作させるというもの。
※電磁石には、直流と交流両方使えますが、交流ではsin波形のため磁力は直流の半分になります。
大きなエネルギーを小さな力(小電力)で制御し利用する考え方を機器にしたもの。
油圧回路の説明図は、機器の動作を回路図で表現するものが多く、機器そのものの解説が少ないのですが、代表的な例を油圧機器メーカー「ダイキン」の解説サイトをご紹介。
https://www.hyd.daikin.co.jp/seminar/seminar_05から部分引用でご紹介
2. 方向制御弁1(切換弁)
油圧回路内で油の流れる方向を切換える、もしくは油の流れを止めるために使用します。
使用条件によって多くの種類に分かれます。
- 手動操作・電気操作(ソレノイドを使用した電磁式)
- 切換位置2ヶ所・3ヶ所
- 切換え前の状態に戻る(バネ付き)・切換えた状態を保持する
- 油の流れる方向・停止 等々
これらの組み合わせにより、多くの種類に分かれます。
〔油圧JIS記号(例):電磁操作弁〕
- 両側にソレノイドがついた電磁操作弁を表します。
- 切換位置は3ヶ所あります。
- バネが両側に付いており、電源を切ると中央に戻り油の流れを停止させます。(P・A・B・Tポートはすべてブロックしています)
- 油の通路が4か所あり
主に油圧ポンプと接続:P(ポート)
主に油タンクと接続 :T(ポート)
主にシリンダ等のアクチュエータと接続 :A・B(ポート)
2-1. 電磁切換弁
- ソレノイドを使用して油路の切換えを行うバルブです。通常遠隔操作で使用できるため、一般的には電磁操作形の切換弁が多く使用されています。
- ソレノイドの吸引力で直接油路の切換えを行うタイプの「電磁操作弁」と、電磁操作弁をパイロット操作用の切換弁として使用し、主弁を切り換えることで、より多くの流量を流す事が可能な「電磁パイロット切換弁」があります。
油圧バルブ写真例
電磁パイロット切換弁外観とJIS記号
- 電磁操作弁+主弁部で構成され、電磁操作弁をパイロット操作用の切換弁として使用し、油圧の強い力で主弁のスプールを操作するタイプです。
- 通常油の流量が多くなると、こちらの電磁パイロット切換弁を使用します。
以下省略
機器そのものの分かりやすい解説サイト(空気圧)を以下紹介します。空圧も油圧も考え方は同じです。
違いは、油圧は圧力が高いのでパイロットの動作機構もメインバルブと同じ、「スプールのスライド」方式となります。
空圧では、大気を利用できますが、油圧では油の回収と回収タンクやポンプによる加圧循環があることも大きな違い。
空圧では使えるスプールのパッキンが油圧ではパッキンなしで、ミクロン単位の精密嵌めあいで油を遮断します。
このため油圧では、油の清浄度が重要で、ごみは禁物。
ソレノイドの動作原理
このサイトがわかりやすいので、ポイントを引用でご紹介
ある電機屋のメモ帳
から、「電磁弁とは」https://elec-tech.info/denjiben/
電磁弁の基本動作
上図が電磁弁の内部
概要図の一例です。
流体の入口と出口がありますが
この図では遮断されています。
ここで電池(電源)のスイッチを
入れます。
今度は、入口と出口が
繋がり、流体が導通します。
動作を解説すると
ソレノイド(電磁石)に電気を
通電することで
ソレノイドが磁力を持ちます。
その磁力が、バネの力に勝って
一般に可動鉄心と呼ばれる
可動部を吸着します。
その動きに連動し
可動部内で塞がれていない箇所が
入口・出口部へ移動し
そこを通って流体が流れます。
電源を切ると、
磁力がなくなるので
バネの力で元の位置に戻ります。
これで流体をON/OFFできます。
これが電磁弁の
基本的な仕組み・動作です。
具体的な油圧回路では、流量方向を切り替える必要があります。これはスプールとバルブ内の穴位置との関係で行われます。
そのわかりやすいイメージがこちらです。
空気圧機器メーカーに12年勤務の元社員が監修 空気圧機器の匠 空気圧機器業界の総合情報サイト から
ソレノイドバルブの仕組みを分かりやすく解説!基本原理から動作種類まで
https://punjabisongspb.com/?p=1693
ソレノイドバルブの仕組みを分かりやすく解説!基本原理から動作種類まで
ソレノイドバルブは、電気信号を受け取って圧縮空気の流路を切り替える機構を持つ空気圧機器の一種です。方向制御バルブ、電磁弁、など色々な呼称で呼ばれることがあります。
空気圧システムでの制御を担う重要な機器であり、多種多様な用途で使用されています。ソレノイドバルブは、電気的に制御されるため、高度な自動化を実現することができます。本記事では、ソレノイドバルブの仕組みについて、基本原理から動作種類までを詳しく説明します。
また、本記事は「内部パイロット式」の「方向制御用」のソレノイドバルブに関する説明を記述してますので、「直動式」や「単純な開閉用途」のバルブの説明をお求めの方は対象外ですのでご承知置きください。
ソレノイドバルブの構成
ソレノイドバルブの部品構成は、主にソレノイド部、スプール部、ポート部に分けられます。それぞれがどのような役割を果たしているのか説明します。
ソレノイド部
ソレノイドは、電気信号により圧縮空気の流路を開閉させる役割をもち、ソレノイドバルブの流路を切り替えるきっかけとなる部品です。ソレノイド部には、コイルが巻きつけられた固定された鉄心と、可動する鉄心があります。
注:図では可動鉄心が上側にひきつけられた状態となっていますが、コイルに通電前は スプリングで下側に押し下げられ、弁体が穴を塞いでる状態のはず。
コイルに通電することによって鉄心に磁力が発生し、可動鉄心が固定鉄心に引き寄せられます。可動鉄心は弁体と連結されており、磁力発生で固定鉄心に引き寄せられ動くことで弁体が開き、圧縮空気を二次側へ流すことができます。
通電が切られると磁力はなくなり、スプリングの力で可動鉄心は元の位置に戻り、圧縮空気の流れが閉ざされます。このような電気を流すことにより磁力を発生させる構造体は電磁石と呼ばれます。
スプール部
スプールはソレノイドバルブ内部にある軸で、圧縮空気の流れ方向を切り替えるための役割を持ちます。スプールには部屋を隔てるパッキンが備わっており、スプールの位置によって、圧縮空気の流れ方向を変えることができます。
このようにスプール位置によってパッキンが隔てる箇所も変わるため、圧縮空気の流路を切り替えることができるのです。
ポート部
ポートとは空気を流すための穴であり、方向制御用のソレノイドバルブでは、3ポートタイプ、4ポートタイプ、5ポートタイプなどタイプによりポートの数が異なります。スプールの位置によりどのポートとどのポートが導通するのかが変わり、空気の流れ方向が切り替えられます。
ソレノイドバルブの動作原理
前項で各部分の働きについて説明しましたが、これらの働きによりどのようにソレノイドバルブとしての役割を果たすのか、その基本的な動作原理について解説します。
まず初期状態は、加圧用のポート(Pポート)から圧縮空気を入力し、Bポートへ流れていきます。Aポートは排気ポート(R1ポート)と繋がっています。
では、ソレノイド部から出ているリード線に電圧を印加します。そうすると内部の鉄心に電磁力が発生しソレノイド部の弁体が開きます。
すると加圧用ポート(Pポート)からパイロット流路に分岐されて流れてくる圧縮空気がソレノイド部からスプール部に流れていきます。
スプールに圧縮空気の力が加わることにより、スプールの位置が動き、メイン流路の流れ方向が切り替わります。
このようにして、ソレノイド部への通電によりソレノイド部の弁体を開き、スプール位置を動かすことによって、ソレノイドバルブは圧縮空気の流路の方向を切り替えているのです。
上記の動作原理は「パイロット式」といい、ソレノイド部の弁体を開けて圧縮空気の力でスプール位置を切り替えていますが、可動鉄心とスプールを一体化させて電磁力で直接スプール位置を動かす「直動式」も存在します。
しかし、スプールを動かすとなると大きな電磁力が必要となり、ソレノイド部を大きくする必要があることと、消費電力が大きくなるデメリットがあります。そのため、このような方向制御用のソレノイドバルブはパイロット式が採用されることが一般的です。
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ソレノイドバルブの動作種類
ソレノイドバルブには、2位値シングルソレノイド、2位値ダブルソレノイド、3位値クローズドセンタ、3位値エキゾーストセンタ、3位値プレッシャセンタがあります。それぞれの種類と動作について、以下に説明します。
2位値シングルソレノイド
2位値シングルソレノイドは、圧縮空気がPポートからBポートに流れる状態と、PポートからAポートに流れる状態の2ポジションがあり、ソレノイドの数が一つのソレノイドバルブです。ソレノイドに通電することでポジション(スプール位置)が切り替わり、通電を切ることでポジションが戻ります。
2位値ダブルソレノイド
2位値ダブルソレノイドは、圧縮空気がPポートからBポートに流れる状態と、PポートからAポートに流れる状態の2ポジションがあり、ソレノイドの数が二つのソレノイドバルブです。片側のソレノイドに通電することでポジションが切り替わり、もう片方のソレノイドに通電することでポジションが戻ります。
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エアシリンダ、エアオペレイトバルブの動作に使用する3ポートもしくは5ポートの電磁弁(ソレノイドバル …
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3位値クローズドセンタ
3位値クローズドセンタは、ソレノイド通電時はダブルソレノイドと同じ動きをし、非通電時はバルブが閉じた状態を保ちます。合わせて三つのポジションを有しています。
3位値エキゾーストセンタ
3位値エキゾーストセンタは、ソレノイド通電時はダブルソレノイドと同じ動きをし、非通電時はA,Bポートがどちらも排気ポートと繋がった状態になります。合わせて三つのポジションを有しています。
3位値プレッシャセンタ
3位値プレッシャセンタは、ソレノイド通電時はダブルソレノイドと同じ動きをし、非通電時はA,BポートがどちらもPポートと繋がった状態になります。合わせて三つのポジションを有しています。
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まとめ
本記事では、方向制御用ソレノイドバルブの基本的な仕組みや動作原理を分かりやすく解説しました。ソレノイドバルブは、圧縮空気の流れを電気信号によって制御する空気圧機器であり、様々な用途で幅広く活用されています。
主要な構成要素であるソレノイド部、スプール部、ポート部がそれぞれ特定の役割を担い、圧縮空気の流れを切り替えることが可能です。さらに、ソレノイドバルブにはいくつかの動作種類があり、システムに応じて最適なタイプを選択することができます。これらの知識をもとに、ソレノイドバルブの理解をより深めていきましょう。