静電気同士では距離の2乗に反比例する反発力が働き、同種の電気を狭い場所に押し込めるためには大きな仕事が必要でその結果、電位が上がります。空気を圧縮すると圧力が上がるのと同じですね。
帯電した導電体の球に無限遠から電気を近づける仕事量が、無限遠に対するその球の電位になります。

導体と静電気の基礎知識
1.導体内部には電界と電気は存在しない
  同種電気は相互に反発し、かつ導体内では電界を打ち消すように電気が移動する

2.球の導体表面では電気は同じ電位で存在し同じ電気密度で分布(凸凹があると変化=>避雷針はその応用)
  異なる大きさの導電球体が導線で結ばれると同じ電位となり、それぞれの電気量は直径に比例する。表面積は直径の2乗に比例するためその表面帯電密度は直径に反比例し、避雷針のようにとがった先端では高い帯電密度により高レベルの電界が発生し雷を呼び込む。

3.帯電した導体球に無限遠から単位電気を近づける仕事量が帯電した導体球の電位
  電気が電界から受ける力 f=QE (f:力、 Q:電気量 E:電界)
  電気素子同士に働く力は、距離の2乗に反比例する(ガウスの法則)
  点電荷Qが距離rに作る電界は、半径rの球面の面積に一様であるから、
  E=Q/(4πεr^2) 
  これを、無限遠から半径rまで積分すると無限遠からの電位が求められる
  V=Q/(4πεr)   3.1式 (電荷Qが半径rの球にある時の電位) 
  (π:円周率、V:電位、Q:電気量 ε:誘電率、r:球の半径)

3.1式から、球の半径が0になると電位は無限大に発散。
小さいところに電気を押し込めるのは大変な仕事(エネルギー)が必要だ。

ところで、原子は陽子と中性子でできている原子核と、負の電気を持つ電子でできている。陽子と電子は符号反対なので引き付けあうが、陽子同士は同じ符号の電気なので反発する。

原子核の大きさは、原子の大きさに比べるととても小さく、原子の直径の10万分の1程度。
原子の寸法はだいたい 0.1nm(1E-10m)、原子核の半径は 1E-15 ~ 7E-15 m
原子が野球場の直径100mとすると、原子核は1mm程度でほぼ砂粒1個。まさにスカスカです。

小さな原子核内に陽子同士を押し込める力(電圧)は大きく、3.1式で計算すると、10個の陽子がある原子核の場合は1千万ボルトレベルで、雷の100万ボルトの10倍にもなると。

導電球体での電気量と電位の関係式 V=Q/(4πεr)
Q:電気量 陽子1個の電気量は 1.6E-19
π(パイ:円周率) 3.14
ε(導電率) 8.85E-12
d:原子核の大きさ(約) 3.00E-15
r:原子核の半径 1.50E-15
10個の陽子を持つ原子核の電位 1.0E+07

しかし、原子核という近接する世界では、電気力を10倍?上回る核力が働いて陽子の電気反発力を押さえこんでいるとのこと。

核融合(鉄より小さな原子同士が融合するとエネルギーを放出)、核分裂(鉄より重い原子が分裂するとエネルギーを放出)などにもこの電位の話は関係してくるようです。

物理学って、面白い!