鋳造設備では、金枠などの移動には、大きな力が必要な油圧や位置決め精度が必要な場合に電動式の押し出し装置などが利用されています。
油圧装置は、油圧ポンプを利用して圧力を発生させ、シリンダ径を大きくすることで大きな力を引き出すことができ、電動では歯車の減速比で大きな力を引き出すことができます。
いずれも、粉塵環境下で使われるために、機械が摩耗し性能劣化が急速に進みます。
設備補修するころには部品製造終了しているとか、高額の設備費用が必要になるケースも。
一方、工作機械では、摩擦部分が少なく摩耗しにくく、しかもバックラッシュがなく、高い速度・位置精度で長期に安定して動作するリニアモーターが普及しはじめています。
そこで、工作機械のリニア利用例と特徴をわかりやすい解説サイトから引用でご紹介します。
超精密・ナノ加工センター.com の記事より (一部 文章を編集しています)。
リニアモーターが超精密加工に必要な理由とは?
超精密・ナノ加工センター.comでは、東芝機械社製のリニアモーター付き超精密立形加工機UVM-450D(H)を用いて、光学レンズ用金型や超精密部品加工を行っています。ここでは、実際に当社が感じているリニアモーターが超精密加工に必要な理由と、UVM-450D(H)の特徴、実際に装置を使った事例をご紹介していきます。
(NDAの関係上、当サイトに実績として載せることができない事例も多数ございますので、あらかじめご了承ください。)
1.リニアモーターとは?
一般的なモーターが回転運動をするのに対し、直線状に引き延ばし直線運動をするものをリニアモーターと言います。
リニアモーターの原理
リニアモーターには、主に3つの原理があります。
推進の原理
N極、S極が交互に配置され、電流を流すことにより発生するN極・S極との間で、N極とS極の効き合う力とN極どうし・S極どうしの反発する力。
浮上の原理
超電導磁石が高速で通過すると地上の浮上・案内コイルに電流が流れ電磁石となり、物体を押し上げる力(反発力)と引き上げる力(吸引力)。
案内の原理
左右の浮上・案内コイルは、電力ケーブルにより結ばれ、物体が中心からどちらか一方にずれると、自動的に物体の遠ざかった側に吸引力、近づいた側に反発力が働き、物体を常に中央に戻します。
2.リニアモーターの使用用途
リニアモーターは、主に精密さを求められる機械に使用されます。
・工作機械
・リニアモーターカー
・半導体製造装置
・宇宙船
など様々なものに使用されています。
3.リニアモーターが超精密加工に必要な理由とは?
従来のボールねじ駆動方式では、直進運動する際に機械的な接触が生じるため、長期間使用した際に摩耗が発生し、本来のモーターの回転力が正確に伝わらなくなることが多くありました。このことを、バックラッシと言い、運動方向の逆転時に送りねじとナットの間に隙間があることにより機械の動きにガタが発生し、位置決め誤差を大きくする原因となります。
それに比べ、リニアモーター駆動方式は、リニアモーターの原理でも説明したように、磁石のN極とS極が引き合ったり、反発する力を使って、非接触を可能にしています。そのため、バックラッシ自体が存在せず、超精密な加工の仕事をする工作機械に最適な駆動方式になっています。
4. 当社のリニアモーター付き工作機械 「UVM450」3つのポイント!
3つのポイント
1.機械のバックラッシュを気にすることなく、鏡面加工が可能!
この超精密立形加工機UVM-450D(H)は、X, Y, Zの全軸がリニアモーター駆動のため、機械のバックラッシュを気にすることなく、なめらかな加工面が実現できます。また、通常は回転工具を用いた加工のための工作機械ですが、治具を追加することで固定工具を使用した加工にも対応可能となります。
2.自動工具交換装置による昼夜連続加工も可能!
また超精密立形加工機UVM-450D(H)は、精度だけではなく高効率な加工も同時に実現できます。それが、自動工具交換装置(ATC)です。このATC内に100本以上もの工具が収容できるため、長時間を要する加工ワークであっても、刃物を自動で交換しながら加工を行うことでき、加工面全域で高品質な加工が可能となります。(刃物収容数については弊社仕様)
このATC装置のおかげで、最長4〜5日もの加工時間が必要とされるワークにおいても、昼夜連続加工にて対応を行うことができます。その間は、次の加工プログラムの作成をしたり、検査をしたり、他工程に時間を費やすことができるため、非常に生産性高く仕事をすることができます!
3.加工ステージの高さが低く、ワークセッティングがやり易い!
非常に細かい部分ですが、この超精密立形加工機UVM-450D(H)は加工ステージの高さが通常の工作機械と比べると数十センチ低く、作業性の面で扱いが良くなります。また、工作機械の加工室内もスペースが広くなり、扱いやすいだけでなく、メンテナンスも行いやすいことが特徴です。
一般的に超精密加工機は、加工精度を上げるために加工室内が狭い場合が多いのですが、UVM-450D(H)では加工精度も保ちつつ、さらに加工ステージが低い分だけ加工スペースが広くなるため、加工方法の幅が広がります。
YouTubeにて加工動画を公開していますので、ぜひご覧ください!