鉄は人体の必須成分の一つで、特に血液で酸素交換に役立っています。
なので、鉄フライパンや鉄鍋で調理すると鉄が溶けだして鉄分補給に役立ちます。

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)

下表のように「日本人の食事摂取基準(2020年版)」内で、1日に摂取する鉄分の推奨量や耐容上限量が策定されています。

対象 鉄分摂取の推奨量
(1日当たり)
平成 28 年国民健康・栄養調査における
日本人成人(18 歳以上)の
鉄平均摂取量(1日当たり)
耐容上限量
(1日当たり)
成人女性
(18歳以上)
月経なし:6.0~6.5mg
月経あり:10.5~11.0mg
7.3±2.7mg 40mg
成人男性
(18歳以上)
7.0~7.5mg 8.1±2.9mg 50mg
製鉄企業の備忘ブログから部分引用でご紹介。
https://iron-pro.jp/iron-supplementation1/

とくに強調しておきたいのが、鉄のフライパンや鉄の鍋(なべ)から補給できる鉄分は、からだへの吸収率や利用率が高い「ヘム鉄」という点です。

鉄分は、からだへの吸収率や利用率が高い「ヘム鉄」と、どちらも低い「非ヘム鉄」の2つに分類されます。

からだへの吸収率や利用率が高い「ヘム鉄」は主に、レバーやカツオ、マグロなどの動物性の食物に多く含まれています。

これに対して、からだへの吸収率や利用率が低い「非ヘム鉄」は、ほうれん草や小松菜、大豆製品(豆腐、豆乳、納豆など)などの植物性の食物に多く含まれています。

鉄のフライパン・鍋で調理すれば、鉄分を多く含む食材選びに迷ったり時間をとられたりすることなく、手軽で簡単にからだへの吸収率や利用率が高い「ヘム鉄」を補給できます。

たとえば、調理中に鉄フライパンからの料理に溶け出す鉄分の量を下の表にまとめたので参考にしてください。

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メニュー
(1人分)
料理への溶出量 調理時間 鉄分の溶出を促進する要素 鉄分の溶出を阻害する要素
野菜炒め 約0.15mg 5分
酢豚 約0.35mg 30分 食酢
引用:調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化

上表の各メニューの「1人分の料理への溶出量」を見ても、この量が妥当なのか判断しにくいと思います。

調理時間が長くなる鉄鍋では溶出量は増えると。

ビーフシチューを調理中に鉄の鍋から溶け出す鉄分の量を、下の表にまとめたので参考にしてください。

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メニュー 1人分の料理への溶出量 調理時間 鉄分の溶出を
促進する要素
鉄分の溶出を
阻害する要素
ビーフシチュー 約1mg 120分
引用:調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化

食品製造工程で、鉄鍋とステンレス鍋の比較例ではこんなのも。

加工過程で鉄鍋(鉄釜)とステンレス鍋(ステンレス釜)でゆでられた「ひじき」で、鉄分の含有量に約9.4倍のひらきがあることがわかっています。

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ひじきのゆで加工方法 鉄分の含有量
(100gあたり)
乾燥ひじき(鉄釜) 58mg
乾燥ひじき(ステンレス釜) 6.2mg
引用:文部科学省「食品データベース」乾燥ひじき(鉄釜)乾燥ひじき(ステンレス釜)