電磁気学から光は電磁波ということが分かりました。

光は、工業の現場では作業場の照明、光を利用した距離計や近接スイッチ、金属組織を調べる顕微鏡など幅広く使われています。
照明も昔のろうそく・白熱電球・水銀灯から、最近は省エネ効果の大きなLED照明が広く採用されるようになりました。
ソーラーパネルによる太陽光発電も光を利用。
さらに、レーザー光が出現してから、鉄など金属の溶接や切断など加工にも使われるようになりました。

じゃ、光ってどうやってできるのか?、レーザー光はどうやってつくるのか次の課題。
その解説がありましたので、下記ご紹介

 

以下は、東北大学 吉澤雅幸教授の「出前授業」サイトの「光」の解説です

光の性質とレーザーの基本原理」
https://web.tohoku.ac.jp/sspp/yoshizawa/hikari.htm

  1. 光とは

光の時代

 19世紀以前は光は灯りとしての役割を持つだけでしたが、光の応用は20世紀にレーザーの発明ともに大きな発展をとげ、21世紀に入るとますます幅広い分野で応用され るようになってきています。

 光の応用の第1番目としては、情報化社会への貢献があります。既に、大容量の通信には光ファイバーが用いらており、高密度記録にはCDやMO, DVD,ブルーレイが実用化されています。さらに、直接光で情報処理を行う光コンピュータの開発も行われています。

 第2番目としては、エネルギーとしての光の利用があります。これは、地球温暖化とも密接に関係した問題です。現在の私たちの生活は、植物が過去に光合成によって光から貯えたエネルギー(化石燃料)の上に成り立っています。化石燃料以外のエネルギー源としては原子力もありますが、将来的には太陽エネルギーの効率的な利用が重要になると思われます。そのために、植物の光合成の研究や太陽電池の高効率化が行われています。

 この出前授業を通じて自然科学(特に光)への興味を一人でも多くの人に持ってもらえれば幸いです。

光の研究の歴史

紀元前 窓からさしこんだ太陽光がほこりで散乱される様子などの日常現象の観察から、光の直進性、屈折、反射などが知られていました。
17世紀 日常の観察だけでなく、実験により確認する実験的手法が物理に取り入れられるようになりました(参考 ニュートン力学)。これにより、屈折、干渉、回折、分散などの現象が明らかにされました。この時代に明らかにされた原理には、フェルマー(Fermat)の「最小時間の原理」や「ホイヘンス(Huygens)の原理」などがあります。しかし、光が波(波動説)であるか粒子(粒子説)であるかについては論争が行われていました。万有引力の発見で有名なニュートンは光学の研究も行っていましたが、彼は粒子説を支持していました。
19世紀 フレネル(Fresnel)とキルヒホッフ(Kirchhoff)により波動光学が確立されました。さらに、マックスウェル(Maxwell)の電磁理論により光が電磁波の一種であることが示され、光が波であることが確立されました。通常、光学とよぶ場合には波動光学を基礎としたいわゆる古典光学をさします。
20世紀 アインシュタイン(Einstein)の光量子仮説が発表され、光は波動性だけでなく粒子性も持つことが明らかにされました。アインシュタインは、相対性理論ではなく光量子仮説により1905年にノーベル賞を受けています。光の粒子性を基礎とした光学は量子光学と呼ばれ ています。メイマン(Maiman)によるレーザーの発明(1960年)は量子光学の輝かしい成果の一つです。

 

波動性と粒子性

 光が波であるか粒子(光子)であるかは、古くから大きな論争が行われてきました。現在では、光は両方の性質を持っていることがわかっています。

 波としての性質(波動性)は、屈折や干渉などの光が伝播する様子に関連しています。日常の光に関連する現象は、ほとんどすべて波動性により説明することができます。波動光学の応用には、各種の光学機器(顕微鏡、望遠鏡など)や光ファイバー、ホログラフィなどがあります。

 粒子としての性質(粒子性)は、光と物質が関わる場面で重要となります。これは、物質中の1個の電子と1個の光子(複数の場合もある)が相互作用をすることで、吸収や発光が起きるからです。光を光子として扱う光学は量子光学とよばれ、その応用としてはレーザー、各種物性測定、非線型光学 、光情報処理などがあります。

電磁波と光

 マックスウェルの電磁理論により、光もラジオやテレビの電波と同じ電磁波であることがわかっています。しかし、その周波数が大きく異なるため、日常生活ではまったく違うものとして扱われます。下表に、電磁波の波長と周波数の関係を示します。

波長(m) 周波数(Hz) 名称 特徴
10-12

10-9

10-6

10-3

1

103

1018

1015

1012

109

106(1MHz)

γ線(原子核からの放射線)
X線

紫外線
可視光(0.4-0.8μm)
赤外線

ミリ波(衛星放送)
UHF(テレビ)
VHF(テレビ)、FM放送
AM放送(ラジオ)

 

  1. レーザー

光と物質の相互作用
 光と物質の基本的な相互作用には以下の3種類があります。 (1905年、アインシュタインの光量子仮説)。

吸収
 周波数νの光が、電子状態のエネルギー間隔がhνである物質に入射すると、光が吸収され電子は電子状態1から高いエネルギーの電子状態2に遷移 します。 (hはプランク定数)

図2-1 光の吸収

・自然放出(発光)
 電子が高いエネルギー状態(エネルギー差hν)にあるとき、一定の確率で低いエネルギー状態に遷移して周波数νの光を発します。


図2-2 光の自然放出

・誘導放出(増幅)
 電子が高いエネルギー状態(エネルギー差hν)にあるときに周波数νの光が入射すると、電子は低いエネルギー状態に遷移して入射した光と同位相、同エネルギーの光を発生 します。

図2-3 光の誘導放出

 

レーザー(LASER)
 レーザーとは Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation (輻射の誘導放出による光の増幅)の略であり、光が増幅されることが本来の意味です。通常は共振器を含めたレーザー発振器全体を意味します。レーザーは1960年にメイマンにより最初のレーザー発振(ルビーレーザー)が報告されて以来、大きな発展をとげてきてい ます。
 下図はレーザー共振器の構成を示したものです。レーザー媒質は光や電流などにより外部からエネルギーを与えられ(ポンピング)、誘導放出による増幅が可能となります。共振器中の光はレーザー媒質で増幅され、一部が出力光として取り出され ます。


図2-4 レーザー共振器

 

レーザー光の特徴と応用
 レーザー光の大きな特徴はコヒーレンス(可干渉性) です。一般の光は自然放出光であるため、光子それぞれの位相、エネルギーはランダムであり、干渉することはありません。しかし、レーザー光は誘導放出により発生する光であるため、光子の位相、エネルギーがそろっており干渉 します。
 コヒーレンスには、空間と時間のコヒーレンスがあります。空間的コヒーレンスとはレーザー光の広がりの異なる部分でも干渉することで、時間的コヒーレンスとは異なる時間にレーザーを発した光同士でも干渉することをい います。このため、レーザー光は以下のような特徴を持っています。


図2-5 光のコヒーレンス

  • 指向性(空間コヒーレンス)
    長距離を伝播しても広がらないため、測量や距離測定(月との距離など)に用いられます。
  • 集光性(空間コヒーレンス)
    非常に狭い領域に集光が可能(CD、レーザー加工、レーザーメス、レーザー顕微鏡など)
  • 単色性(時間コヒーレンス)
    完全な単色光は、無限に連続する光 sin(ωt) です。
    実際にはレーザーの変動による幅があります。幅~10-8nm(数kHz)
  • 超短パルス(時間コヒーレンス)
    モード同期により超短パルス発生が可能
    可視光の世界最短光パルスとしては 3.9フェムト秒が報告されています。
  • 高い輝度、高いピークパワー(時間、空間)
    強い超短パルスを狭い領域に集光することにより非常に高い輝度を得ることができます。
    例 1mJ,100fs(10GW)を0.1mm径に集光 → 130TW/cm2

 

※コヒーレンスとは ネット解説引用紹介
一般の光は自然放出光であるため,光波の位相,エネルギーはランダムであり,干渉することはありません。 しかし,レーザー光は誘導放出により発生する光であるため,光波の位相,エネルギーがそろっており干渉します。 波は条件が整えば重ね合わせることができます。 これが干渉です。