2023年12月14日(木)に、日本鋳造協会中国四国支部の講演会が対面開催で行われた。会場の広島市工業技術指導センター3Fの大会議室には多数が参加し、講演会後に行われた情報交換会では、支部としては初めての着席形式でご馳走とともにあちこちで話が弾んだ。

小生がご挨拶できた、板村正行さんからは、持参しておられた自著「私のダイカストロマン」(カロス出版:初版) を進呈いただき、今日一読してびっくり。こういう出会いの場があることが、対面開催のすばらしさですね。

「私のダイカストロマン」(カロス出版)2017年3月16日第一刷発行
ーーー「光輝くダイカストへの挑戦」
   日本列島を鋳造技術の宝石箱に ! ーーー
168P

1952年岩国市生まれ、1970年岩国工業高校卒、同年宇部興産中央研究所に入社、1974年山口大学工短部機械工学科卒業、1977年九州工業大学機械第Ⅱ工学科 派遣研究課程修了(2年間)。宇部興産主任研究員、1996年東北大学にて博士学位取得、2002年宇部興産退職、その後も鋳造工学関係の支援事業に携わる。(内容多数のため省略)
日本発明協会・日本ダイカスト協会・日本鋳造工学会・宇部興産からの各種表彰受賞多数の、70歳台に突入しながらも今なお熱血の鋳造技術者でした。

巻頭前書きには、ダイカストの巨大な?巣に驚き、鋳巣のないダイカスト作りに取り組み、高速で押し込まれるアルミ溶湯と型の中の空気との関係などを考察して型内を真空にする必要に着目し数々の発明で巣の無いダイカスト作りを実現したと。

目  次

 板村正行君の研究の総括報告に寄せて 1
 まえがき 2
 目  次 11

第 1 章 ダイカストの巣との出会い 1

第 2 章 ダイカストの自動計測システムの開発 3

第 3 章 金型内の残存ガス量算出プログラムの開発 5
 3.1 ダイカスト金型内残存ガス量解析近似式の導出 5
 3.2 金型内ガス圧の計測と推定値の比較 10
 3.3 実鋳造への適用事例 10
 3.4 新鋳造法の基本概念の導出 15
 3.5 傾転式竪鋳込み構造 (HVSC 法) と大型エアベント構造 (GF 法) の開発 17
  3.5.1 傾転式竪鋳込み構造 (HVSC 法) の開発 17
  3.5.2 大型エアベント構造 (GF 法) の開発 18

第 4 章 可視化実験による湯流れ解析ソフトの解析精度検証 23
 4.1 金型内の可視化湯流れ計測方法の確立 23
 4.2 湯流れ解析ソフトの解析精度検証 25
 4.3 「STEFAN」 との出会いで竹嶋さんとの夢が実現 25

第 5 章  データベースの構築 39
 5.1 Al-Si 潜熱線図の提唱 40
 5.2 熱流動解析結果に及ぼす潜熱分布の影響 43

第 6 章 ダイカスト金型内の湯流れ最適技術 45
 6.1 臨界速度 0.5 m/s の提唱 45
 6.2 キャビティ打ちの提唱 47
 6.3 湯流れ最適化線図の提唱 49
 6.4 湯流れ最適化線図の検証 50
  6.4.1 鋳造実験方法 51
  6.4.2 鋳造実験結果 52

第 7 章 高品質アルミニウムの製造技術の確立 55
 7.1 鋳造実験方法 55
 7.2 試験片 56
 7.3 品質評価試験方法 57
 7.4 品質評価試験結果および考察 58
 7.5 SC 法の機械的性質 (A 合金 B 合金の T4、 T6 材)  62
 7.6 硬さと引張強さとの相関 64
 7.7 普通ダイカスト法と SC 法の疲労特性の比較 66
 7.8 普通ダイカスト法と SC 法の破壊靭性値の比較 67
 7.9 高品質スクイズホイールの製造技術 67
  7.9.1 シミュレーションによるアルミホイール鋳造条件の最適化の検討 68
  7.9.2 スクイズホイールの機械的性質 72
 7.10 小活 74

第 8 章 半凝固ダイカストの研究 77
 8.1 はじめに 77
 8.2 NRC 法による半凝固ダイカスト 81
 8.3 カップ法による半凝固ダイカスト 82
 8.4 2軸電磁撹拌法 (NanoCast 法) による半凝固鋳造 86
  8.4.1 2軸電磁撹拌法の原理と適用事例 86
  8.4.2 亜鉛からアルミへの材料置換 87
  8.4.3 アルミからマグネへの材料置換 89
  8.4.4 展伸材への適用 89
 8.5 スリーブ法による半凝固ダイカスト 90
 8.6 小活 94

第 9 章 光り輝くダイカスト組織の実現 (湯流れ解析、 残存ガス量)  97
 9.1 残存ガス量と製品の要求機能および各鋳造法の比較 97
 9.2 高真空ダイカスト法による残存ガスの低減 98
 9.3 半凝固ダイカスト法による残存ガスの低減 101
 9.4 従来法と半凝固ダイカスト法の湯流れ・凝固挙動の比較 103
 9.5 高真空ダイカスト法と半凝固ダイカスト法の残存ガス量の比較 105
 9.6 半凝固ダイカスト法の適用事例 107

第 10 章 東北復興とダクタイルダイカストプロジェクト 115

第 11 章 川内村復興とダイカスト (福島県双葉郡川内村)  131
 11.1 川内村復興とダイカスト 131
 11.2 東北モノづくりシンポジウム 基調講演 (日刊工業新聞社主催) 137

第 12 章 ダイカスト 21 世紀の夢 日本列島を鋳造技術の宝石箱に! 141
 12.1 新山先生のダイカスト 21 世紀の夢 141
 ダイカスト 21 世紀の夢 143
  1. 夢と希望のダイカスト人生 143
  2. データが私に語りかける 144
  3. 金型内残存ガス量算出プログラムの開発 144
  4. 可視化実験と市販湯流れ解析ソフトの検証 148
  5. 「ダイカスト 20 世紀の夢」 と 「宝物のワイン」  151
  6. ダイカスト 21 世紀の夢 153
 表:新山英輔先生・竹嶋孝彦さんと歩んだ板村の鋳造技術の歴史 158
 表:東北大学工学研究科 安斎研究室 国プロ・産学連携関係 (2006~17 年) 162
 表:東北大学工学研究科 安斎研究室 共同研究 (2009~17 年) 163
 表:NPO ものづくり工学リサーチセンター (2014 年 8 月~2016 年 6 月)  164

あとがき 165