電磁気のマクスウェル方程式は、わず4行で美しい形になっている。そこでは電界・磁界・時間・空間だけで記述されている。 一方、特殊相対性理論を構築したアインシュタインはこの方程式と、「光の速度がどこの慣性系でも同じ」という通常世界とは異なる観測事実から、時間と空間が相互に関係していて独立ではないことを発見したという。そしてこの関係から、エネルギーと質量が等価であり相互に変換される(E=mc2)を導き出し、これが核エネルギーの利用を可能として現代の原子力発電や核兵器の開発利用につながった。

 一方、光が粒子でありかつ電界・磁界の振動だという矛盾から出てきた量子力学が発展して、遺伝子解析や化学構造解析や素粒子論が大発展した。しかし量子力学とニュートン力学・相対性原理は相いれないのだと。

 また、これまでの物理学の重大な矛盾と認識されてきはじめたのが、電気の反発力・引力で分母に相互の距離があり、点(距離がゼロ)では反発力が無限大に発散するため原子核内部の陽子の反発力はとても強く、核力というより強い力が必要となったことや、さらに小さい帯電素粒子の考察などでも反発力無限大問題が付きまとって困っているのだと。そしてすべての物質に働く重力の説明(ニュートン力学と宇宙の動きやアインシュタインの相対性原理)と、原子核の中の電子や陽子中性子の挙動説明する量子力学が、相互に相いれない問題があったんだと。

 この難問を突破する可能性があるのが、最近登場した「超ひも理論」だという。

 物理学は、簡素化が特徴だ。世界の多様な物質は元が少ない元素からできてる(はず)。探索すると、元素を発見、しかし発見された元素は水素から始まって100種類を超えた。もっと簡素になるはずだ。元素は電子と原子核があり、原子は電子・陽子・中性子の3種類で作られてることが分かった。ところが、電気のゼロ問題で原子核の中に押し込める強い力の説明がつかない。原子を壊す実験したら素粒子が見つかった。これも続々と見つかった。数が多すぎる。日本人岡田先生が「ひも」説の原型発表。バイオリンの多彩な音は弦の振動モードだ。弦という1つだけなのに振動モードの違いが多彩な音を作る。その発想の延長で現代最新物理学では、「超ひも」の振動モードで、素粒子・電気・重力・電磁力・核内の強い力・弱い力など世界の全てを説明できる(かも)なんだと。

 ミチオ・カク氏の「アインシュタインを超える」には、このあたりの物理学の次々に出てくる新しい壁と新しい突破の話が出てきて、驚きの連続だ。

 Geminiに、相対性理論とマクスウェル方程式の関係を聞いたら、相対性理論発見経緯を要領よく解説していたのでご紹介

Q:相対性理論と電磁気の基本方程式の関係を教えてください。アインシュタインがなぜこの部分から発見できたのでしょうか?

 相対性理論と電磁気の基本方程式(マクスウェルの方程式)の関係は非常に深く、特殊相対性理論の誕生において中心的な役割を果たしました。アインシュタインがこの関係性に着目し、そこから重要な発見に至った背景には、当時の物理学における矛盾と、彼自身の鋭い洞察力がありました。

 

電磁気の基本方程式(マクスウェルの方程式)の概要

 

相対性理論以前の問題点

 19世紀末、物理学者は光が波であると考えており、波が伝わるためには媒質が必要であると考えられていました。この仮想的な媒質は「エーテル」と呼ばれていました。しかし、マイケルソン・モーリーの実験をはじめとする数々の実験によって、地球がエーテルに対して運動している証拠は見つかりませんでした。これは、当時の物理学における大きな矛盾でした。

 また、マクスウェルの方程式は、ガリレイ変換(古典的な速度の合成則)の下でその形を変えてしまうという問題がありました。つまり、異なる慣性系で観測すると、マクスウェルの方程式の形が異なってしまうのです。これは、物理法則は全ての慣性系で同じ形でなければならないという当時の物理学の基本的な考え方と矛盾していました。

アインシュタインの洞察

 アインシュタインは、1905年に発表した特殊相対性理論において、以下の2つの原理を基本的な仮定として採用しました。

  1. 相対性原理: 全ての慣性系において、物理法則は同じ形式で記述できる。
  2. 光速度不変の原理: 真空中における光の速さは、光源の運動状態や観測者の運動状態によらず常に一定である。

 この2つの原理を前提とすると、時間と空間の概念を絶対的なものとして捉えるのではなく、観測者の運動状態に依存する相対的なものとして捉える必要が出てきます。

 アインシュタインは、マクスウェルの方程式が真空中の電磁波の速さ、すなわち光の速さを予言していることに注目しました。もし光の速さが全ての慣性系で一定であるならば、マクスウェルの方程式は、その形を変えないような変換規則(ローレンツ変換)に従うべきだと考えました。

相対性理論による解決

 アインシュタインは、ガリレイ変換の代わりにローレンツ変換を用いることで、マクスウェルの方程式が全ての慣性系で同じ形を保つことを示しました。ローレンツ変換は、時間と空間を独立したものではなく、互いに結びついた時空として扱うことを示唆しています。

 さらに、相対性理論は、質量とエネルギーが等価であるという有名な関係式 を導き出しました。これは、電磁場のエネルギーも質量を持つことを示唆しており、電磁現象と力学現象の根源的な結びつきを明らかにしました。

アインシュタインがこの部分から発見できた理由

 アインシュタインが相対性理論を電磁気学との関連から発見できた背景には、以下の要因が考えられます。

  • 矛盾への強い意識: 当時の物理学におけるエーテルの問題や、マクスウェルの方程式がガリレイ変換で不変でないという矛盾点を深く認識していました。
  • 物理法則の普遍性への信念: 物理法則は全ての観測者にとって同じ形でなければならないという強い信念を持っていました。
  • 数学的な洞察力: ローレンツ変換の数学的な構造を理解し、それが物理現象を記述する上でより自然な枠組みであることを直感的に捉えていました。
  • 光の特別な地位の認識: マクスウェルの方程式が予言する光の速さが、他の物理現象とは異なる特別な性質を持つのではないかと考えていました。

 このように、アインシュタインは、当時の物理学の矛盾とマクスウェルの方程式の持つ特別な性質を深く考察することで、時間と空間の新しい概念を導入し、特殊相対性理論という画期的な理論を構築したのです。相対性理論は、電磁気学の基礎方程式が持つ対称性を明らかにし、物理学の根幹を揺るがす大きな変革をもたらしました。

 

 ローレンツ変換とは、異なる慣性系で観測された時空の座標間の関係を表す線形変換です。特殊相対性理論の根幹をなす重要な概念であり、以下の2つの原理を基礎として導かれます。

  1. 相対性原理: 全ての慣性系において物理法則は同一である。
  2. 光速度不変の原理: 真空中の光の速さは、光源の運動状態や観測者の運動状態によらず常に一定である。

 ガリレイ変換は、低速の世界では近似的に成り立ちますが、光速に近い速度では実験結果と矛盾するため、ローレンツ変換が用いられます。ローレンツ変換を適用することで、時間の遅れローレンツ収縮といった、我々の日常的な直感とは異なる相対論的な効果を説明することができます。

 

ローレンツ変換の重要な帰結: ローレンツ因子  γ=1/(1-v2/c2)1/2

  • 時間の遅れ: 運動している系の時間は、静止している系から見ると遅れて進みます。
  • ローレンツ収縮: 運動している物体の長さは、その運動方向に静止している観測者から見ると短く縮んで見えます。
  • 同時性の相対性: ある慣性系で同時に起こった二つの出来事が、別の慣性系では同時に起こるとは限りません。
  • 速度の合成: 異なる慣性系での速度の変換は、単純な足し算ではなく、ローレンツ変換に従った合成則になります。
  • 質量とエネルギーの等価性 で表されるように、質量とエネルギーは等価であり、互いに変換可能です。

 ローレンツ変換は、電磁気学と古典力学の矛盾を解消するために導入され、アインシュタインの特殊相対性理論の基礎となりました。現代物理学において、素粒子物理学、宇宙論など、様々な分野で不可欠な概念となっています。

相対性原理との関係

  マクスウェル方程式が導く電磁波の速度が一定であるという事実は、古典的なニュートン力学における速度の合成則と矛盾していました。もし光が何らかの媒質(エーテル)中を伝播する波であるならば、観測者の運動状態によって光の速度が異なって観測されるはずです。
 しかし、マイケルソン・モーリーの実験をはじめとする多くの実験によって、光速は光源や観測者の運動状態によらず常に一定であることが示されました。
 この光速不変の原理は、アインシュタインが提唱した特殊相対性理論の二つの基本的な仮定の一つとなりました(もう一つは相対性原理、すなわち全ての慣性系において物理法則は同じ形を持つという原理です)。

  特殊相対性理論では、時間と空間は絶対的なものではなく、観測者の相対的な運動状態によって変化します。ローレンツ変換と呼ばれる座標変換を用いることで、異なる慣性系における物理現象を矛盾なく記述することができます。
 驚くべきことに、マクスウェル方程式はローレンツ変換に対してその形を変えない(共変である)ことが示されました。これは、マクスウェル方程式が相対性理論と整合性を持つことを意味し、電磁現象の記述が全ての慣性系で等しく成り立つことを保証します。そして、その方程式から導かれる光速

  

   は、どの慣性系においても不変な普遍的な定数となるのです。

  このように、マクスウェル方程式は電磁波の伝播速度を光速として予測し、その光速不変性は相対性原理の重要な基礎となっています。相対性理論の登場によって、光速が絶対的な普遍定数であることが理解され、物理学の根幹が大きく変革されました。