ナトリウムイオン電池が次世代電池として有望だという。原理、開発現状、将来を調べた

 

電池の基礎理解勉強なら、電気化学の教科書が一番 推奨

「電気化学の基礎」 京都大学大学院工学研究科 邑瀬邦明
 http://www.echem.mtl.kyoto-u.ac.jp/documents/20150915r.pdf

 

動作原理図 (株式会社吉田SKT 説明図を引用)

リチウムイオン電池は、正極にリチウム(元素記号:Li)をあらかじめ含ませた金属化合物負極にはリチウムイオンの貯蔵ができる黒鉛を使用します。
リチウムイオン電池を大まかに説明すると、電池内の正極負極間を、リチウムイオンが行き来することで放電・充電を行う仕組みを持つ二次電池。
黒鉛(グラファイト)は、「炭素原子が平らな網目状に結びつき、それが層のように積み重なったもの」。
 相間の結合が弱く、柔らかく鉛筆の芯などにも使われる。

 

黒鉛の構造図(炭素原子が面を作り層間の結合は弱い)、ダイヤは立体結晶で硬い

 

ナトリウムイオン電池原理図(中国の電池メーカー?の解説図)

 

AI(Gemini) の回答

ナトリウムイオン電池(NIB)は、現在主流のリチウムイオン電池(LIB)に代わる、あるいはそれを補完する次世代電池として、2026年現在、大きな転換点を迎えています。

特に「脱リチウム」によるコスト削減と、資源リスクの回避という文脈で、世界的に実用化が加速しています。


1. 原理:リチウムの「兄弟」のような仕組み

基本的な仕組みはリチウムイオン電池とほぼ同じ「ロッキングチェア型」です。

  • 動作: 充電時にはナトリウムイオンが正極から負極へ移動し、放電時には負極から正極へ戻ります。この移動に伴って電子が流れ、電気が発生します。
  • 材料の違い: リチウムの代わりに、食塩の主成分でもあるナトリウムをキャリア(運び手)として使います。
  • 技術的課題だった点: ナトリウムイオンはリチウムイオンよりもサイズが大きく重いため、電極材料の隙間に出入りしにくく、電池の寿命や容量を確保するのが難しいとされてきました。しかし、近年の材料工学(特に「ハードカーボン」という負極材の進化)によってこれが克服されつつあります。

2. 開発の現状:2026年の立ち位置

2026年現在、ナトリウムイオン電池は「研究室」を飛び出し、「工場での量産」フェーズに入っています。

主な特徴とメリット

  • 低コスト: ナトリウムは海水中などに無限に存在するため、リチウムに比べて原材料費を圧倒的に抑えられます。
  • 低温に強い: -20°C以下の極寒環境でも性能が落ちにくく、冬場のEV走行距離減少という弱点をカバーできます。
  • 安全性: 熱安定性が高く、発火リスクがリチウムイオン電池より低いとされています。また、電圧をゼロにして輸送できるため、物流面でも安全です。
  • 急速充電: リチウムイオン電池よりも速く充電できる特性を持っています。

プレイヤーの動向

中国のCATLBYDといった大手メーカーが、すでに第2世代のナトリウムイオン電池の量産を開始しており、航続距離300〜500km程度の小型電気自動車(EV)や、家庭・産業用の蓄電システムへの搭載が始まっています。


3. これからの予想:リチウムとの「棲み分け」

今後、すべての電池がナトリウムに置き換わるわけではなく、用途に応じた使い分けが進むと予想されます。

用途 推奨される電池 理由
高性能EV・スマホ リチウムイオン 軽さとエネルギー密度(長持ち)が最優先。
小型EV・低価格車 ナトリウムイオン 車体価格を抑えることが最優先。
定置型蓄電所 ナトリウムイオン 重さは関係なく、安さと寿命・安全性が重要。
寒冷地向け機器 ナトリウムイオン 冬場でも安定して動作するため。

今後のロードマップ予想

  1. 2026〜2028年: 鉛蓄電池(自動車の始動用バッテリーなど)のリプレイスが進み、低価格EV市場でのシェアが急拡大。
  2. 2030年以降: エネルギー密度がさらに向上し、中距離EVやドローンなど、より広い分野でリチウムイオン電池の強力なライバルへ。
  3. サプライチェーンの変革: リチウム資源を特定国に依存するリスクが減り、より持続可能なエネルギー社会へ移行。

「より安く、より安全に」というニーズに対し、ナトリウムイオン電池は非常に現実的な解となりつつあります。

 

 

炭素(カーボン)の電気化学的位置を教えて、なぜリチウムイオン電池やナトリウムイオン電池の電極に使われるの?

 

Gemini の回答

炭素(カーボン)は、電池の世界において「いぶし銀」のような、極めて重要な役割を担っています。

結論から言うと、炭素が電極に使われる最大の理由は、その**「電位の低さ(リチウムに近い)」「構造の柔軟さ」**にあります。


1. 炭素の電気化学的位置

リチウムイオン電池などの負極として使われる炭素(主にグラファイト/黒鉛)の電位は、非常に**卑な電位(低い電位)**にあります。

  • 標準電極電位: グラファイトにリチウムが取り込まれた状態()の電位は、金属リチウム()に対してわずか 0.1V〜0.2V 程度です。

なぜ「電位が低い」といいの?

電池の電圧は「正極の電位 - 負極の電位」で決まります。 負極である炭素の電位がリチウム金属に近いくらい低ければ低いほど、電池全体の電圧を高く(パワフルに)できるのです。


2. なぜリチウム/ナトリウムイオン電池に使われるのか?

主な理由は以下の3点です。

① インターカレーション(層状構造の活用)

グラファイトは炭素のシートが積み重なったような「層状構造」をしています。この層の隙間にリチウムやナトリウムのイオンが入り込むことができます。これをインターカレーションと呼びます。

  • メリット: イオンが出入りしても構造が壊れにくいため、何千回という充放電(サイクルの寿命)に耐えられます。

② 高い導電性と安全性

炭素は電気をよく通すため、電子の受け渡しがスムーズです。 また、金属リチウムそのものを負極に使うと、充電時にトゲ状の結晶(デンドライト)が発生してショートし、発火する危険がありますが、炭素の中にイオンを収納する形にすれば、このリスクを大幅に抑えられます。

③ コストと資源量

炭素(石炭や石油ピッチ、天然黒鉛)は地球上に豊富に存在します。特にナトリウムイオン電池は「安さ」が最大の武器なので、安価なハードカーボン(難黒鉛化性炭素)との相性が抜群に良いのです。


まとめ:炭素の役割

特徴 効果
低い動作電位 電池を高電圧にできる
層状構造 イオンを安全・安定に貯蔵できる
高い導電性 素早い充放電が可能
化学的安定性 電解液と反応しにくく寿命が長い

ちなみに、ナトリウムイオン電池ではグラファイトよりも、構造がランダムで隙間が大きい「ハードカーボン」という種類の炭素が主に使われます(ナトリウムイオンはリチウムより少し大きいためです)。

次は、具体的に**「グラファイトとハードカーボンの違い」や、「次世代のシリコン負極」**について詳しくお話ししましょうか?

 

リチウムやナトリウムイオン電池で、カーボンの対極に使われる材料は、どういう特性が必要で、どんなのが使われるの?

 

Gemini の回答

炭素(負極)のパートナーとなる**「正極(カソード)」**材料ですね。

負極が「イオンを低い電位で保持する」役割なのに対し、正極は**「高い電位でイオンを安定して出し入れする」**役割を担います。


1. 正極材料に求められる4つの特性

炭素と組み合わせて高性能な電池を作るには、以下の条件が必須です。

  • 高電位であること: 負極(炭素)との電位差を広げ、電池の電圧を高くするため。

  • イオンの通り道(ホスト構造)があること: 炭素同様、イオンがスムーズに出入りできる結晶構造が必要です。

  • 高い電子伝導性: 電気化学反応を助けるため、電子が流れやすい必要があります。

  • 構造の安定性: イオンが抜けた状態(充電時)でも、結晶が崩れず安全であること。


2. リチウムイオン電池で使われる主な正極

リチウムイオン電池では、主に**「リチウム遷移金属酸化物」**が使われます。金属の種類によって特性が変わります。

種類 特徴 主な用途
コバルト系 () バランスが良いが、コバルトが高価。 スマホ、PC
三元系 (NMC/NCA) ニッケル等を混ぜて高容量化。 電気自動車 (EV)
リン酸鉄系 () 安価で熱安定性が極めて高い(燃えにくい)。 電動工具、バス、蓄電池
マンガン系 () 資源が豊富で安価だが、寿命に課題。 一部の旧型EV、家電

3. ナイトリウムイオン電池で使われる主な正極

ナトリウムイオン () はリチウムよりサイズが大きいため、より「ゆとり」のある構造を持つ材料が選ばれます。

  • 層状酸化物: リチウム電池に似た構造ですが、ナトリウム専用に設計されています。

  • ポリアニオン系: リン酸鉄ナトリウムなど。構造が頑丈で長寿命です。

  • プルシアンブルー類似体: ジャングルジムのような広い空間を持つ化合物。大きなナトリウムイオンを高速で出し入れするのに適しています。


まとめ:なぜこれらの材料なのか?

結局のところ、電池は**「イオンの椅子取りゲーム」**です。 炭素(負極)という「低い場所にある椅子」と、遷移金属酸化物(正極)という「高い場所にある椅子」の間をイオンが行き来することで、私たちは電気を取り出しています。

正極に高価なコバルトやニッケルが使われるのは、それらがリチウムを「高いエネルギー状態」で安定して保持できる数少ない優秀な「椅子」だからです。