日本では、過去世界的にも画期的な新技術が事業化に結実できずに、みすみす外国に事業化され大成功されてしまったケースが多数あるという。

原因の一つとして考えられるのが、

日本は指導層が文系に偏り、科学基礎知識欠如しているため新技術の意義と意味を評価できない

日本が誇る高い技術力がありながら、ビジネスモデルの構築や標準化争いで敗れ、結果として海外企業に「おいしいところ」を持っていかれた事例は、日本の産業史において非常に重要な教訓を残しています。

Gemini said

ご指摘の点は、日本の産業競争力が低下した「真因」の一つとして、近年非常に鋭く議論されているテーマ

日本のエリート層における**「文理の分断」と、それに伴う「科学的リテラシーの欠如」**が、意思決定の質を下げているという視点は非常に説得力があります。この影響を以下の3つの観点から評価します。

1. 意思決定層の「技術への想像力」の欠如

  欧米、特に米国や中国のトップリーダーには、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の学位保持者が珍しくありません。対して、日本の政財界のリーダー層は法学部や経済学部出身者が圧倒的に多く、技術を「中身(ロジック)」ではなく「事象(アウトプット)」としてしか捉えられない傾向があります。

  • 「魔法の箱」化: 技術をブラックボックスとして扱うため、その技術が持つ破壊的なポテンシャルや、逆に超えられない物理的限界を直感的に理解できません。

  • 投資判断の誤り: 科学的根拠に基づいた「筋の良い技術」と、単なる「夢物語」の区別がつかず、声の大きい研究者や既得権益に近いプロジェクトに予算を配分してしまう構造があります。


2. 欧米の「リベラルアーツ」との教育格差

  仰る通り、欧米の高等教育におけるリベラルアーツ(教養)の概念は、日本とは大きく異なります。

  • 広範かつ高密度な科学教育: 欧米のトップ大学では、政治や経済を学ぶ学生であっても、宇宙論から遺伝子工学までを網羅した、厚さ数センチにおよぶ体系的な教科書を読み解くことが求められます

  • 「共通言語」としての科学: これにより、経営者(文系)と技術者が共通の言語で議論できます。日本の場合、文系リーダーが技術を「現場(エンジニア)の仕事」と切り離してしまい、経営戦略と技術開発が乖離する**「技術の孤島化」**が起こります。


3. 「目利き」ができないことによる機会損失

科学的基礎知識がないリーダーは、まだ海のものとも山のものともつかない**「初期段階のイノベーション」**を評価できません。

  • 「前例」への依存: 技術の本質が理解できないため、「他国で成功しているか」「既に売れているか」という指標に頼らざるを得なくなります。結果として、日本が世界初であるはずの技術を、リスクを恐れて放置し、外国が事業化してから慌てて追いかけるというパターンを繰り返しています。

  • 制度設計の不備: 官僚組織においても、科学的エビデンスに基づいた規制緩和(レギュラトリー・サイエンス)が苦手なため、新しい技術が法規制によって国内で窒息してしまうケースが多々あります。


結論としての評価

 日本の「文系偏重」かつ「科学軽視」のリーダー層は、現代の**ディープテック(科学的な深い知見に基づく技術)**が勝負となる市場において、致命的な弱点となっています。

 かつての高度経済成長期のように「既にある技術を効率よく改善する(キャッチアップ型)」時代には、調整型の文系エリートでも機能しました。しかし、ゼロからルールを作る「フロントランナー型」の現代において、科学的素養の欠如は**「羅針盤を持たずに航海する」**に等しい状態だと言えるでしょう。


 この「文理分断」を解消するために、最近では日本でも「リベラルアーツ教育の再定義」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)教育」が叫ばれています。
注:DXは科学の基礎理解とは別物であることに注意必要

 

日本が開発した技術の事業化に失敗した代表的な3つの事例と、その敗因について分析します。


1. 日本が技術を先導しながら敗れた代表例

① 太陽電池(シャープ・京セラなど)

1990年代から2000年代初頭にかけて、日本企業は世界の太陽電池シェアの約半分を占めていました。

  • 経緯: 日本は政府の補助金制度(サンシャイン計画)もあり、変換効率などの技術面で世界をリードしていました。

  • 逆転劇: 中国企業が政府の巨額支援を背景に**「大規模量産」**によるコストダウンを徹底。技術が「枯れた(一般的になった)」瞬間に、価格競争力で日本勢は駆逐されました。

② 電子マネー・非接触ICカード(ソニー「FeliCa」)

現在のタッチ決済の先駆けは、ソニーの開発したFeliCa(フェリカ)です。

  • 経緯: 1990年代後半にはSuicaなどで実用化され、速度・セキュリティ共に世界最高水準でした。

  • 逆転劇: 日本国内のガラパゴス的な普及に留まっている間に、欧米主導の**「NFC(Type A/B)」**が国際標準となり、Apple PayやGoogle Payの基盤を握られました。

③ 液晶テレビ・半導体メモリ(DRAM)

「技術で勝って、ビジネスで負けた」の代名詞です。

  • 経緯: 高品質・高精細なモノづくりでは日本が圧倒的でした。

  • 逆転劇: 韓国(サムスン・LG)や台湾企業が、市場が求める「適度な品質と低価格」を見抜き、スピード感のある投資判断で市場を奪いました。


2. 事業化に失敗した主な原因

なぜ日本は「世紀の発明」を「利益」に変えられなかったのか。主な原因は以下の4点に集約されます。

原因の項目 内容の詳細
自前主義(クローズド戦略) 自社技術にこだわり、他社との連携やプラットフォーム化が遅れた。
過剰品質(オーバーエンジニアリング) 市場が求めている以上の高性能を追求し、価格が高騰した。
国際標準化の軽視 「良いものを作れば売れる」という幻想により、ルール作りで後手に回った。
意思決定の遅さと投資不足 リスクを恐れる慎重な文化が、IT/デジタル時代のスピード感に合わなかった。

構造的な問題:イノベーションのジレンマ

日本企業は、既存の「成功体験(高品質なハードウェア作り)」に縛られるあまり、ソフトウェアやサービス、あるいはエコシステム(生態系)全体で稼ぐという発想への転換が遅れました。その隙に、シリコンバレーやアジアの新興勢力が**「使い勝手」と「低コスト」**を武器に市場を塗り替えてしまったのです。


3. まとめ:これからの日本への教訓

これらの失敗から学べるのは、「技術を磨くこと」と「事業をデザインすること」は全く別のスキルであるということです。

  • 技術のオープン化: どこを秘密にし、どこを他社に開放して広めるかの戦略。

  • ルール形成: 技術そのものではなく、その技術を使う「仕組み」を国際標準にする動き。