世界で「地上に太陽」の研究開発が進行中。日本は2030年代に実現を目指すと開発加速を表明と。
鋳造は、金属を溶解するために大きなエネルギを必要とするので、安価で安定した豊富な電力が必要だ。

そこで、日本では研究開発の第一人者である東芝の紹介サイトから引用で、その技術概要を紹介する。

この中で最も核心になるのは、核融合反応が起こる1億度以上のプラズマを「真空中で物質に接触させずに閉じ込めておく」こと。
このために、ドーナツ状コイル(環状ソレノイドコイル)が使われる。

プラズマは超高温で原子の+電気を持つ陽子でできている核とー電気の電子が分離した状態。高温のために高速で運動し電流としても存在する。
超高温のガスとは同時に超高圧でもある。超高温・超高圧のプラズマを地上で容器内に閉じ込めることができる方法を以下にご紹介。

環状ソレノイド(ドーナツ型のコイル)の内部に、一方方向の閉じたドーナツ状の強い磁界を発生させ、その磁界が+とーの電気を帯びたプラズマ粒子を閉じ込めているのだという。

装置内にプラズマを送り込むには、高い高圧を掛けた作った電場に気体を圧力かけて送り込むとプラズマになるのでそれを吹き込む。
Copilotの回答をご紹介

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Q: 強い電場に気体を送るとプラズマになるという。なぜですか?できた陽子と電子は電極にくっつかないの?

Ans: 素晴らしい質問ですね!

まず、プラズマとは、電離した気体であり、陽子(正電荷を持つ)と電子(負電荷を持つ)が自由に動き回る状態のことを指します。強い電場を気体にかけると、電場のエネルギーによって気体の原子や分子が電離し、陽子と電子に分かれます。このプロセスは「電離」と呼ばれます。

さて、陽子と電子が電極にくっつかない理由についてですが、プラズマ内では電場と磁場の影響でこれらの粒子が激しく動き回ります。その結果、陽子と電子はお互いに引き寄せられたり、反発したりするため、すぐに電極に向かって一方向に移動することはありません。

さらに、プラズマは通常、高温の状態にあるため、粒子の運動エネルギーも非常に高く、これにより粒子の自由な運動がさらに促進されます。これが、プラズマ状態が持続する理由の一つ

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プラズマの電子・陽子ともにその動く方向は磁界方向と磁界に直角な方向にベクトル分解される。
磁界方向に動く電気には、ローレンツ力は発生しないが、磁界に直角な方向に動く電気には
 F=i x B 
で表される運動方向(=電流)と磁界に直角な右ねじの法則のローレンツ力が働き、結果として円運動を行わせる。
さらにドーナツ方向に動く陽子と電子はそれぞれ電流なので、電流を囲む円周状の回転磁界を作る。

この力の働き方は、回転するコマが倒れず歳差運動を行うのと同じで、大きなドーナツの磁界方向に投射されたプラズマの運動は、環状ソレノイド方向の運動とソレノイド断面内の円運動が合成され、磁界の方向に巻き付くらせん状の運動(ラーモア運動という)を行う。磁界が強く重量が軽いほどらせん半径は小さくなる。
この概念を理解するために、大きなドーナツをトロイダル、ドーナツ断面をポロイダルというのだそうだ。

注: 回転するコマは、倒れる動きに対し回転するコマの慣性力が左右で反対方向に働き、倒れる方向に直角の方向に倒す力が発生するため倒れずに歳差運動を行う。
注: 電子と陽子の質量比は約1/1840
注: 帯電粒子が磁界方向に動くラーモア現象は、北極・南極にオーロラが出現する原因だという。地球の大きな磁場で太陽から来たプラズマが誘導され極地方に集中する。

このため、高速で運動するプラズマの電子はコイルの外側に飛び出すことができず、コイルの内部を高速らせん運動することになる。 軽い電子はらせん半径が小さくコイルの中心側に、重い陽子(核)はらせん半径が大きく外側に集まり、ドーナツ状のコイルの内部を高速で運動しながらも閉じ込められる。

一方、同じ方向に動く+とーの帯電粒子は、電流の方向では反対方向になる。隣接する反対方向の電流では、相手の電流が作る磁界により発生するローレンツ力は反発力だ。
この問題を解決するために、さらにドーナツのなかにねじれ磁界をつくるのだそうだ。(このあたりになると小生の理解限度を超えてくる)

以下は、東芝のサイトから引用紹介する

https://www.global.toshiba/jp/company/energy/topics/nuclearenergy/clip-nuclear-fusion.html

地上に太陽を作り出す!?
夢のエネルギー・核融合の最前線

燃料は無尽蔵にあり、原発よりも安全――核融合発電のしくみとは

核融合発電とは、太陽の内部で起きている「核融合反応」を地上で再現するものだ。まずは、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下QST)で核融合発電を研究する若月琢馬氏にかみ砕いて解説していただこう。

「万物を構成する原子の中には原子核と電子があります。その原子核を高速でぶつけ合うことで、また新たな原子核が生まれます。これが核融合反応というものです。耳慣れない方も多いかもしれませんが、みなさんもこの核融合反応のエネルギーを享受しています。それは、さんさんと降り注ぐ陽の光のもと――太陽です。太陽の中では水素の原子核による核融合反応が起きていて、その熱、光が地球上の私たちに届けられています。

太陽からも分かるように、核融合反応では膨大な熱エネルギーが発生します。その熱エネルギーを活用して行うのが核融合発電なのです。燃料に用いられるのは水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)。燃料1gで石油8トンを燃やした時と同等のエネルギーを生みだすことができます。発電の方式にも様々ありますが、少量の燃料でこれほどのエネルギーを生み出せるのは原子力発電、核融合発電を置いて他にありません」(若月氏)

核融合反応のしくみ

原子力発電は福島第一原子力発電所の事故以来、安全性が懸念されている。しかし、核融合発電は原子力発電に比べて極めて安全性が高いという。

「原子力発電は核分裂反応で発生する熱を利用して発電を行うものです。原子炉の中では核分裂反応が連鎖的に起こるため、制御棒などを用いて、暴走しないよう制御しながら運転をしていく必要があります。原子炉内には数年分の燃料が入っており、それを制御しながら少しずつ発電を行っていきます。

一方核融合発電の場合は、炉の中にある燃料は核融合反応を持続させるのに必要な量だけで、供給を止めればすぐに反応は止まってしまいます。また、たとえ大量の燃料が炉内に導入されたとしても、燃料自体がプラズマ(※)を急激に冷却することで自発的に反応が止まるため、核分裂のような連鎖的な反応は起こりません。核融合発電は、原理的に暴走が起こらない仕組みになっているのです」(若月氏)

※プラズマとは…

プラズマは、固体・液体・気体に続く物質の第4の状態である。一般的に数千度以上では、どんな物質も原子核に捕捉されていた電子が自由に運動できるようになりプラズマ状態となる。核融合炉では一億度以上の高温プラズマを生成し、それを固体等の容器に触れることなく閉じ込める(保持する)必要がある。

参照:量子科学技術研究開発機構HP (https://www.qst.go.jp/site/jt60/5108.html

 

以下、東芝のサイトを引用紹介する。
https://www.global.toshiba/jp/company/energy/topics/nuclearenergy/clip-nuclear-fusion.html

燃料は無尽蔵にあり、原発よりも安全――核融合発電のしくみとは

若月氏

核融合発電とは、太陽の内部で起きている「核融合反応」を地上で再現するものだ。まずは、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下QST)で核融合発電を研究する若月琢馬氏にかみ砕いて解説していただこう。

「万物を構成する原子の中には原子核と電子があります。その原子核を高速でぶつけ合うことで、また新たな原子核が生まれます。これが核融合反応というものです。耳慣れない方も多いかもしれませんが、みなさんもこの核融合反応のエネルギーを享受しています。それは、さんさんと降り注ぐ陽の光のもと――太陽です。太陽の中では水素の原子核による核融合反応が起きていて、その熱、光が地球上の私たちに届けられています。

太陽からも分かるように、核融合反応では膨大な熱エネルギーが発生します。その熱エネルギーを活用して行うのが核融合発電なのです。燃料に用いられるのは水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)。燃料1gで石油8トンを燃やした時と同等のエネルギーを生みだすことができます。発電の方式にも様々ありますが、少量の燃料でこれほどのエネルギーを生み出せるのは原子力発電、核融合発電を置いて他にありません」(若月氏)

しかも、原子力発電で発生する高レベル放射性廃棄物にあたるものが核融合発電では発生しない。また、発電時には二酸化炭素を排出することがなく、クリーンなのも特徴だ。

燃料の重水素は水を電気分解することで得ることができ、実質的に無尽蔵。もう一つの燃料である三重水素(トリチウム)は自然環境から採取されているが、核融合炉の中で人工的に作ることが可能とされており、サプライチェーンの面からも懸念はない。

世界7極の技術、英知が集結するプロジェクト「ITER」とは

高効率で安全性が高く、環境にやさしい上に燃料枯渇の心配もない。核融合発電はまさに夢のエネルギーだ。しかし、まだ開発の途上にあり、実現されていないのはなぜか――?

それは、核融合炉が人類史上かつてない複雑な構造体であり、最先端技術の粋を集めて開発が進められているものだからである。たとえば、核融合では燃料になる元素の電子、原子核を分離して「プラズマ」という状態にする必要がある。そのプラズマを生成するためには真空容器が、さらに核融合反応で発電を行うにはプラズマを1億度以上に加熱する装置が必要だ。また、核融合炉では磁場を利用してプラズマを炉の中に浮かべ、安定した状態で維持する。この強力な磁場を安定して作り出すために用いられるのが超伝導体のコイルだ。これらの核融合関連機器は巨大でありながらミリ単位の精度を求められる。まさに、核融合炉は最先端技術の集合体とも言える存在なのだ。

核融合発電のしくみ

 

現在、核融合発電の実現に向けて本格化している世界的プロジェクトがITER(国際熱核融合実験炉)だ。日本をはじめEU、ロシア、アメリカ、韓国、中国、インドの7極が連携し、フランス南部のサン・ポール・レ・デュランスで実験炉の建設を進めている。

 

出典:文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021/005.htm

 

日本が担当するのは、核融合発電で必須のプラズマを閉じ込めるために必要な強力な磁場を生成する超伝導コイルの開発・組み立てだ。QSTの梶谷秀樹氏、東芝エネルギーシステムズの石井氏に、国際プロジェクトの一端を聞いてみよう。

「ITERでは、各極が分担してITER建設に必要となる機器を調達し、現在は2025年のファーストプラズマ(運転開始)に向けて、各機器の開発・製作を行っています。その中でも、私たちは、核融合炉において、非常に重要な機器である超伝導コイル『Toroidal Field(TF)コイル』の製作を東芝とともに進めています。このコイルは高さ16.5m、幅9m、総重量300トンという、これまでに類を見ない巨大な構造物。しかし、私たちに求められるのは誤差数ミリ以下という製作精度です。その製作工程は多岐にわたり、工程一つとっても、非常に複雑。例えば、コイル材のニオブ3スズ超伝導線は650度の熱処理を100時間以上かけ、ようやく完成するものです」(梶谷氏)

「東芝は1970年代から核融合技術の開発に参画しています。設計段階から関わり、設計・製造の実績を重ねてきました。QSTの核融合装置JT-60(臨界プラズマ試験装置)、後継のJT-60SA(Super Advanced)建設にも携わっています。そこで投入してきた超伝導技術を磨きつつ、ITERのTFコイルでも導体を高精度で熱処理する技術、大型構造物の計測、機械加工技術などを磨き、製作に取り組んでいます」(石井氏)

物理学、理工分野とものづくりが融合して立ち上がる新たな開発フィールド。TFコイルの組み立ては高度な次元で進む。加速器など、様々なところで超伝導コイルが導入されてきたが、これほどのスケールと精度は例を見ない。

 

JT-60SA模式図提供:QST

「TFコイルの製作では、超伝導の知識はもちろん、ITERで要求されるコイル性能を達成するための電気工学や電磁気学の知識、コイル内部の冷媒の流体特性を把握するための流体力学や熱力学などの知識も求められますし、ものづくりの観点からは、各種材料の材料工学的な知見も必須。コイル組み立てに際しては高度な溶接技術や機械加工技術も求められます。各分野の高度な技術が総合的に求められるという意味で、このTFコイルは人類が初めて挑んでいる製作物ではないでしょうか」(梶谷氏)

核融合の電気が灯る日を目指し、技術の研鑽、継承は続く

ITERの研究開発を補完する役割を持ち、日本とEUが協力して開発を進めているのがJT-60SAだ。1970年代から設計・開発が進められたJT-60、80年代のJT-60Uに続く核融合実験装置である。

核融合では燃料の元素を電離した状態のプラズマが必要だが、反応を起こすためには1億度以上のプラズマが求められる。JT-60SAは超伝導体の磁場によってプラズマを操り、高温・高圧力という理想的な環境で研究が進められるという。

「核融合反応でエネルギーを取り出すためには、プラズマの温度・密度・閉じ込め時間という3つのパラメーターが重要になります。プラズマの密度を高めながら、より高い温度で長時間閉じ込めておけるかが現在の課題です。ITERは重水素と三重水素を用いた燃焼プラズマの実現を必ず成功させることが使命であるため、すでに高い信頼性が実証されている運転手法で実現できるプラズマの性能に基づいて設計されています。しかし、JT-60SAではより高性能なプラズマを実現するためのチャレンジングな実験が行える設計となっています。磁場に対するプラズマの圧力をより高くすることができ、実用的な核融合炉の設計に役立てる、より魅力的な実験を行うことができるのです」(若月氏)

2020年に実験をスタートするJT-60SA。プラズマを安定させ、維持していく実験が進められれば、「発電ができる核融合炉」の足がかりになる。国際プロジェクトとして進むITERだけではなく、日本で進む先端研究に大きな期待がかかるゆえんだ。

JT-60SAによって高度な研究が進み、2025年の運転を目指すITERの組み立ても進んでいくだろう。その先には、実際に核融合発電を行う原型炉、そして実際に送電網に電気を供給する商用炉へ続くロードマップが見える。前線で開発に携わる3人も長期的な視点に立ち、核融合技術の継承を強調した。

図:「今後の核融合研究開発の推進方策について」(平成17年10月原子力委員会核融合専門部会)を基に作成(写真・資料提供:QST)

「『夢の技術』ではなく、現実に見えている技術になってきた核融合ですが、現在のところ、発電として実用化されるのは21世紀半ば、つまり2050年ごろの見込みです。そこで、この研究を加速させるためには優秀な人材が欠かせません。世界を変える研究に新しい力が入ってきてくれることを願ってやみません」(若月氏)

「核融合技術に携わっているメンバーには『未来のエネルギーの実現に貢献したいと思う人』、そして『高度な技術を学び、新たな領域にチャレンジしていきたい人』の2タイプがいます。東芝には、ライフワークとして核融合技術に向き合ってきたベテランもたくさんいます。この資産を若い力と融合させ、息の長いプロジェクトに取り組んでいければと思います」(石井氏)

「メーカーと協力しながら、TFコイルの製作を進めています。2021年の全TFコイル納入を目指して全力で進めていますが、やはり見すえるべきはその先にあります。東芝は若いスタッフが多く現場に投入されており、ものづくりの経験、先端技術の承継にも意欲的です。ITERは人類史上最大の国際プロジェクトであり、ここでの経験は、他では決して味わうことのできない、稀有なものです。若いスタッフは、ITERで培った経験を、是非今後に活かしてほしいと思います。私たちQSTと東芝が二人三脚で進めている技術開発、そこで得られた知見は原型炉以降の研究・開発にも発揮されていくでしょう」(梶谷氏)

ITER、そしてJT-60SAを通して幾多の実験、研究は今後もたゆみなく積み上げられていくはずだ。研究者、技術者の熱き志の先には、人類の未来を握るエネルギーの地平が見える。

若月氏、梶谷氏、石井氏

【出典】TOSHIBA CLIP (http://www.toshiba-clip.com/detail/7981)(株式会社東芝)

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参考:図の中にある用語 トロイダルとポロイダル について Copilotの回答をご紹介

トロイダル (toroidal) と ポロイダル (poloidal) は、主に磁場や流体力学に関する用語で、特定の形状や方向性を示します。

  1. トロイダル (toroidal):
     形状:ドーナツ形(トーラス)や円環形を指します。
     方向:トーラスの主な輪の方向、すなわち円環の周囲に沿った方向です。
      例:トロイダル磁場は、トーラス型の装置で、中心の穴を取り囲んで発生するドーナツ型の磁場。

  2. ポロイダル (poloidal):
     形状:トーラスの断面、つまりトーラスの小さい方向(例えば断面の円)を指します。
     方向:断面内の循環方向で、トーラスの中心を通過する平面内の円周方向です。
      例:ポロイダル磁場は、トロイダル磁場とは直交するドーナツの断面方向の磁場。

このように、トロイダルとポロイダルは、特定の方向や形状を指すための用語で、特に物理学や工学の分野で重要です。

日本工学辞典トカマク [JSME Mechanical Engineering Dictionary]から引用

上図では、トロイダル磁場コイルが環状ソレノイドのコイルに相当し、流れる大電流がソレノイド内部のトロイダル磁場を作る。
トロイダルの中をトロイダル磁場方向に動くプラズマは、+電気の陽子とー電気の電子として流れ、それぞれがポロイダル磁場を作る。