プラズマは、金属の表面溶射や鋳物の切断にも使われ、鋳造で必要な電力のための核融合発電にも利用されるという。
地球では北極・南極に近い地域で観測されることがあるオーロラは、太陽の核爆発で発生するプラズマが地球にやってきて地球周囲の磁場に誘導されて磁力線が集中する北極・南極に集まってくることで発生するんだと。

生活に身近な蛍光灯は、真空内に封入したアルゴンガスと水銀蒸気にフィラメントで加熱し水蒸気がプラズマとなり発生した紫外線を蛍光塗料に当たり発光させると。

意外に身近な存在だったプラズマは、鉄鋼関係では、鉄の溶断や表面処理にも活用されています。
そして、今はプラズマ利用の核融合発電が注目を浴びていますが、1億度が必要という核融合をどのように地上で実現するのか?

そこで、トカマク型の核融合炉研究資料から、プラズマを地上に閉じ込める方法のイメージ例をご紹介。
その前に、磁場の中を動く荷電粒子の物理学の知識が必要だ。荷電q粒子の磁場方向運動成分は影響を受けないが、磁場B方向に垂直な運動成分はローレンツ力により磁場と運動V方向に直角方向の力 F=qVxB を受ける。ネットで調べると、天文学辞典に

ラーモア運動
磁場中を運動する荷電粒子は、速度と垂直の向きにローレンツ力を受けるので、軌道は磁力線に巻きつくようならせんを描く。これをラーモア運動という。MKSA単位系で物理量を測るとき、磁束密度がB で荷電粒子の質量が m、電荷が q、磁場に垂直な速度成分が v⊥ のとき、らせんの半径は mv⊥/qB となる(荷電粒子の速度が相対論的なときにはローレンツ因子を乗ずる)。これをラーモア半径という。

よくわかる核融合炉のしくみ

第2回 核融合炉設計のためのプラズマの性質 ―トカマク炉心プラズマに必要な総合性能
 日本原子力研究所 鎌田 裕
http://www.aesj.or.jp/~fusion/aesjfnt/jp/publications/rensai1/rensai02.pdf

から、一部を引用して紹介します。

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Ⅰ.炉心プラズマの基本構成
核融合炉の炉心は数億度のプラズマです。プラズマは電磁流体であり,流れや分布,構造が存在します。核融合炉ではこれを効率的に閉じ込めて,思うように制御する必要があります。

プラズマの構成粒子はイオンと電子です。これらの荷電粒子は,磁場の中では磁力線に巻き付くラーマー運動をするので,磁力線に捕捉されます。この性質を利用して,真空容器の内部に高温のプラズマを閉じ込めるのが磁場閉じ込めの原理です。

単純なドーナツ磁力線でも荷電分離と呼ばれる現象でプラズマが逃げてしまうため,磁力線をらせん状にします。この「ドーナツ&らせん」方式の一つがトカマク方式です。

トカマクでは,ドーナツ状に並べたトロイダル磁場コイルで強いトロイダル方向の磁場 Bt を作ります(第 1 図(a))。
さらに,プラズマ中に電流(プラズマ電流 Ip)を流し,この電流が作るポロイダル方向の磁場と上記のトロイダル磁場とを合わせてらせん磁場を作ります(第 1 図(b))。

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※ トロイダルは、ドーナツ形状を表す言葉。トロイダルコイルで作られる内部磁界はトロイダル内に閉じ込められています。
  ポロイダルは、ドーナツの断面の円を表す言葉。トロイダル内部磁界で外に出られず閉じ込められる電流は、電流の周りに円周状の磁界(=ポロイダル磁界)を作ります。
  上記の図は、トロイダル磁界とポロイダル磁界が合成され、らせん状の磁界ができ、プラズマはその中に閉じ込められるのだと。