銑鉄鋳物では、ダクタイルの球状化の補助材料としてレアアース(特にセリウムとランタンを多く含むミッシュメタル)が利用されているということです。下記は紹介した下記のサイトから部分引用しました。
https://spaceshipearth.jp/rare-earth/#%E5%9F%8B%E8%94%B5%E9%87%8F%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0

主なレアアースの用途(世界)

元素 主要用途
Ce(セリウム) 研磨剤、自動車用排ガス触媒、鉄鋼・Al添加剤、ガラス添加剤(UVカット他)、FCC触媒、蛍光体、ニッケル-水素電池
La(ランタン FCC触媒、光学レンズ、ニッケル-水素電池、鉄鋼・鋳造添加剤、蛍光体、研磨剤、セラミックコンデンサー
Nd(ネオジム) ネオジム磁石、FCC触媒、ガラス添加剤、ニッケル-水素電池、セラミックコンデンサー

最大産出の中国が、国際政治の道具として利用するようになり、その供給に不安が生じています。特にネオジムは、EV(電気自動車)用モーターに、リチウム・コバルト・ニッケルは充電利用する電池に使われ、需要急増しその重要性が大きく意識されるようになりました。
中国依存を軽減するために、世界で鉱山開発や代替技術開発が進められているということですが、実際に成功したという話はまだ少ないようです。

レアアースとは?レアメタルとの違い、使い道、世界の現状と産出国・今後の展望

2023年9月27日年掲載のこのサイトでは、レアアースとは何か、その用途や主な産出国、課題、今後の展望、そしてSDGsとの関係について解説しています。

目次

 


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 ロイター アングル:EVモーター「脱レアアース」加速、中国リスクを低減
 


下記に紹介する文献によると、鋳造で使う球状化処理の安定化に使われるレアメタルは、主としてミッシュメタル(セリウム Ce と、ランタン La のほぼ2:1混合物)だそうです。ランタノイド族の元素ですね。

技術文献 球状化材中のレアアース

 鈴木勇佑 鈴木孝夫 
鋳造工学 第84巻(2012)第12号 p671-674 「特集 注鉄の溶解とレアアース低減溶湯技術」
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfes/84/12/84_671/_pdf/-char/ja

1.はじめに
 2010年の尖閣諸島の問題を起点として中国よりレアアースの輸入が滞る事態が発生した。そのためレアアースはダクタイル鋳鉄用球状化剤には欠くことができない元素であることから鋳造業界に大きな危機感を招くこととなった。
 しかし未だ、レアアースを約97%供給している中国の輸出規制が継続されており、供給の安定、価格の高騰等の問題が残されたままとなっている。その対策として、レアアースの低減あるいはレス化に向けて鋳造業界を挙げて取り組んでいる最中にある。

<中略>

12.最後に
 ・・・
 現状の球状化剤は、試行錯誤の末に各社の鋳造特性に合った成分、固有の機能を持っている。したがって、球状化剤の成分・仕様を変更することは大きな困難を有するので、球状化剤ばかりでなく溶湯処理全般にわたっての総合的な判断が必要である。

引用終わり

レアアースとは

レアアースは、31鉱種あるレアメタルの一種で、17種類の元素(希土類)の総称。

Sc スカンジウム Y イットリウム La ランタン Ce セリウム
Pr プラセオジム Nd ネオジム Pm プロメチウム Sm サマリウム
Eu ユウロビウム Gd ガドリニウム Tb テルビウム Dy ジスプロシウム
Ho ホルミウム Er エルビウム Tm ツリウム Yb イッテルビウム
Lu ルテチウム

 

下記の周期律表は https://www.gadgety.net/shin/trivia/ptable/ から引用しました

元素の周期表 (The periodic table of the elements)


  1A 2A 3A 4A 5A 6A 7A 8 1B 2B 3B 4B 5B 6B 7B 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1 1
H
水素
  2
He
ヘリウム
2 3
Li
リチウム
4
Be
ベリリウム
  5
B
ホウ素
6
C
炭素
7
N
窒素
8
O
酸素
9
F
フッ素
10
Ne
ネオン
3 11
Na
ナトリウム
12
Mg
マグネシウム
  13
Al
アルミニウム
14
Si
ケイ素
15
P
リン
16
S
硫黄
17
Cl
塩素
18
Ar
アルゴン
4 19
K
カリウム
20
Ca
カルシウム
21
Sc
スカンジウム
22
Ti
チタン
23
V
バナジウム
24
Cr
クロム
25
Mn
マンガン
26
Fe
27
Co
コバルト
28
Ni
ニッケル
29
Cu
30
Zn
亜鉛
31
Ga
ガリウム
32
Ge
ゲルマニウム
33
As
ヒ素
34
Se
セレン
35
Br
臭素
36
Kr
クリプトン
5 37
Rb
ルビジウム
38
Sr
ストロンチウム
39
Y
イットリウム
40
Zr
ジルコニウム
41
Nb
ニオブ
42
Mo
モリブデン
43
Tc
テクネチウム
44
Ru
ルテニウム
45
Rh
ロジウム
46
Pd
パラジウム
47
Ag
48
Cd
カドミウム
49
In
インジウム
50
Sn
スズ
51
Sb
アンチモン
52
Te
テルル
53
I
ヨウ素
54
Xe
キセノン
6 55
Cs
セシウム
56
Ba
バリウム
L
ランタノイド
72
Hf
ハフニウム
73
Ta
タンタル
74
W
タングステン
75
Re
レニウム
76
Os
オスミウム
77
Ir
イリジウム
78
Pt
白金
79
Au
80
Hg
水銀
81
Tl
タリウム
82
Pb
83
Bi
ビスマス
84
Po
ポロニウム
85
At
アスタチン
86
Rn
ラドン
7 87
Fr
フランシウム
88
Ra
ラジウム
A
アクチノイド
104
Rf
ラザホージウム
105
Db
ドブニウム
106
Sg
シーボーギウム
107
Bh
ボーリウム
108
Hs
ハッシウム
109
Mt
マイトネリウム
110
Ds
ダームスタチウム
111
Rg
レントゲニウム
112
Cn
コペルニシウム
113
Nh
ニホニウム
114
Fl
フレロビウム
115
Mc
モスコビウム
116
Lv
リバモリウム
117
Ts
テネシン
118
Og
オガネソン
  アルカリ金属 アルカリ土類金属 希土類 チタン族 土酸金属 クロム族 マンガン族 鉄 族(上3元素)
白金族(中6元素)
銅族 亜鉛族 アルミ
ニウム族
炭素族 窒素族 酸素族 ハロゲン 不活性ガス
L
ランタノイド
57
La
ランタン
58
Ce
セリウム
59
Pr
プラセオジム
60
Nd
ネオジム
61
Pm
プロメチウム
62
Sm
サマリウム
63
Eu
ユーロピウム
64
Gd
ガドリニウム
65
Tb
テルビウム
66
Dy
ジスプロジウム
67
Ho
ホルミウム
68
Er
エルビウム
69
Tm
ツリウム
70
Yb
イッテルビウム
71
Lu
ルテチウム
 
A
アクチノイド
89
Ac
アクチニウム
90
Th
トリウム
91
Pa
プロトアクチニウム
92
U
ウラン
93
Np
ネプツニウム
94
Pu
プルトニウム
95
Am
アメリシウム
96
Cm
キュリウム
97
Bk
バークリウム
98
Cf
カリホルニウム
99
Es
アインスタニウム
100
Fm
フェルミウム
101
Md
メンデレビウム
102
No
ノーベリウム
103
Lr
ローレンシウム

※ 元素記号をクリックすると元素の詳細が表示されます。

1
H
水素
原子番号
元素記号
元素名
番号
元素を記号で表したもの
元素の名前

周期律表は、性質や特徴を考慮して元素を並べたものです。それぞれの記号は元素記号と呼ばれおり、それぞれの元素を表現しやすく記号にしたものです。原子番号は、元素を順番に並べたものを左上から数字をつけたものです。表の縦の列である族番号が同じ元素は性質が似ているといった特徴があります。

   周期番号
   族番号
A, B  族番号(非正式)
   典型金属元素
   典型非金属元素
   遷移金属元素
   超ウラン元素
   未発見