中国がレアアースを外交の道具に利用するようになって、国際的に安定調達を目指す動きが始まった。
銑鉄鋳造では、溶湯に使う接種材としてミッシュメタルと呼ばれる軽レアアース混合物(セリウム(Se)、ランタン(La)、プラセオジム (Pr)・ネオジム (Nd))を利用している。
日本は、太平洋深海底の泥に含まれるレアアースに着目し、資源化を検討開始し2026年1月末に6000mの深さからの採取テストに初めて成功した。
今後、含有量の分析や採泥方法と精製方法の研究・改善や産業化を目指す。

日経が、双日が行っている調達の動きを報じているので、部分引用で紹介する。

双日、豪州からレアアース輸入拡大 中国にほぼ全量依存の中重希土類

2026年2月16日 18:00[有料会員限定記事]

双日の調達は日本の経済安保にも寄与する

双日は2027年半ばに希少性の高い中重希土類でオーストラリア産の輸入を現状の2品目から最大6品目に増やす。中重希土類の生産は中国が独占する。自国で精製に動くフランスとの共同事業も動き出し、中重希土類で脱中国依存の動きが広がっている。

双日は4月、豪州産の「サマリウム」の輸入を始める。出資先の豪レアアース最大手のライナスが豪州西部で採掘し、マレーシアの分離精製施設で近く生産を始めるものを調達する。サマリウムは航空機向けの永久磁石や原子炉に使われ、中国外で商業生産されるのは初めて。日本の年間需要は80トン程度だが、双日の輸入量は未定。

マレーシアの精製施設ではサマリウムに加え、医療画像診断や原子炉の制御棒などに使われる「ガドリニウム」の生産も新たに始まる予定だ。既存設備での生産・輸入が始まっている電気自動車(EV)モーターなどに不可欠な「ジスプロシウム」と「テルビウム」の重希土類2品目の生産能力も増やす。

精製設備の処理能力や生産品目を順次拡張し、2年以内にマレーシアの新設備で原料ベースで年間5000トン規模の処理を目指す。双日は27年半ばごろに輸入品目で2〜3種類を追加できるとみる。ガドリニウムや医療機器向け超電導材料に使う「イットリウム」などが対象となる見込みだ。

双日は11年、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でライナスに約200億円出資し、軽希土類の「ランタン」、「セリウム」、「プラセオジム」、「ネオジム」の4種類の調達を始めた。23年には180億円を追加出資し、重希土類のジスプロシウムとテルビウムの供給契約を結び、25年10月に日本に輸入を始めた。

世界に分布する軽希土類に対し、中重希土類は中国南部に産地が偏り、世界全体で調達のほぼ100%を中国に依存している。中国政府は1月にデュアルユース(軍民両用)レアアースの輸出規制を強める中、供給網の多角化は喫緊の課題だ。

JOGMECと岩谷産業の共同出資会社は25年、仏企業のカレマグに出資した。カレマグは現在、同国でレアアースの精製工場を建設中で、27年から商業生産開始をめざす。EVなどに使われる重希土類のジスプロシウムとテルビウムを日本に輸出する。

中国外からの中重希土類の調達で課題となるのが採算性だ。ライナスが採掘する西オーストラリア州のマウント・ウェルド鉱山は中重希土類の含有率が5%程度にとどまる。JOGMECによると、中国南部では含有率が約5割に上る鉱床もある。現状では豪州産は中国産の製造コストを大幅に上回るとみられる。

レアアースの分離・精製は元素番号の小さい軽希土類から順に行うため、元素番号の大きい中重希土ほど製錬の手間とコストがかかる。副産物としてセリウムなど元素番号の小さい軽希土が需要を上回って生産され、その販売や処理が負担となる。目的の元素の含有率が低いほど副産物の比率が高くなり、採算の確保が難しい。

ライナスはマレーシアなどで中重希土類の含有率が高い鉱床の探索を進めるほか、精製効率の改善でも中重希土類の生産を増やす考えだ。ライナスが分離精製できる品目が増えれば採算の改善につながる可能性がある。

採算性の担保に向けては国際的な連携が加速している。米政府は2月、日本や欧州連合(EU)とともにレアアースの輸入時に関税を設けるなどして安価な中国製品の流入を防ぐ「最低価格制度」をつくることを提案した。市場の安定性を担保することで、各国の重要鉱物開発の投資を促す。

(佐藤優衣)

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引用終わり

参考:中重希土類の一覧(By Gemini)

分類 原子番号 元素記号 元素名
中希土類 62 Sm サマリウム
  63 Eu ユウロピウム
  64 Gd ガドリニウム
重希土類 65 Tb テルビウム
  66 Dy ジスプロシウム
  67 Ho ホルミウム
  68 Er エルビウム
  69 Tm ツリウム
  70 Yb イッテルビウム
  71 Lu ルテチウム
(参考) 39 Y イットリウム

補足:イットリウムについて

イットリウム(Y, 原子番号39)は原子番号こそ小さいですが、化学的性質が重希土類に非常に似ているため、実務上は重希土類のグループに含めて扱われるのが一般的です。