アフリカ諸国が、レアアースで日本と連携の動き。中国独占に反発も。
日経記事 レアアース「中国支配」崩せるか 目覚めるアフリカ、日本と開発連携
編集委員 下田敏
2026年2月19日 5:00
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中国がアフリカで資源を抑え、手作業で掘らせて中国へ運ばせ精錬する。
その構造を崩して、アフリカで精錬し産業として国を富ませようという動きに日本が協力する構図だ。
中国のレアアース資源
中重希土類がなぜ中国南部に偏在するのか?また、太平洋深海底泥のレアアースの特徴は?
Geminiに聞いた結果を紹介
陸上・海底・中国鉱床の比較
| 特徴 | 陸上(オーストラリア等) | 中国(イオン吸着型) | 深海底(レアアース泥) |
| 主な成分 | 軽希土類(Nd, Pr等) | 中重希土類 | 中重希土類 |
| 放射性物質 | 多い(処理が困難) | 少ない | 極めて少ない |
| 資源量 | 限定的 | 枯渇の懸念あり | 膨大 |
| 最大の課題 | 採掘コスト | 環境汚染 | 大水深からの揚泥技術 |
なぜ中国に「中重希土類」が偏在しているのか?
中国(特に華南地方)の中重希土類が有名なのは、**「イオン吸着型鉱床」という世界でも極めて特殊な成因の鉱床があるからです。
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風化の奇跡: もともとレアアースをわずかに含む花崗岩が、温暖多湿な気候下で数百万年かけて激しく風化しました。
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イオン状での吸着: 岩石中のレアアースが溶け出し、粘土鉱物(カオリナイトなど)の表面に「イオン」の状態でゆるく付着しました。
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中重希土類の濃縮: このプロセスでは、通常の鉱石(バストネサイトなど)では取り込みにくい、原子半径の小さい中重希土類(Dy, Tbなど)**が選択的に濃縮されやすい性質があります。
なぜ中国だけ?
「適切な母岩(花崗岩)」「温暖多湿な気候(風化を促進)」「強酸性にならない土壌環境」という条件が奇跡的に揃ったのが中国南部でした。他の地域でも探査されていますが、これほどの規模と品位を持つ場所は稀です。
2. なぜ中国は「高品位」なのか?
ここで言う「高品位」には2つの意味があります。
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含有比率が高い: 前述の通り、粘土に吸着される過程で中重希土類の割合が自然に高まっています。
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取り出しやすさ(経済的品位): 通常のレアアース鉱石はカチカチの岩石を砕き、高温で化学処理する必要があります。しかし、イオン吸着型は溶液を流し込むだけでレアアースが溶け出してくるため、抽出コストが圧倒的に低く、実質的な「高品位」資源となります。
3. 他の地域(オーストラリアなど)には存在しないの?
レアアース自体は、実は金や銀よりも地殻中に多く存在します。しかし、**「採算が合う濃度」で固まっている場所が少ないのです。
オーストラリアの鉱山(マウント・ウェルドなど)
オーストラリアにあるのは、主に「カーボナタイト鉱床」です。
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成因: 火山活動に伴う特殊な火成岩(炭酸塩マグマ)から形成されます。
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特徴: レアアースの含有量(総量)は非常に多いですが、そのほとんどが軽希土類(La, Ce, Pr, Nd)です。
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なぜ鉱山がある?: 中重希土類は少ないものの、電気自動車の磁石に不可欠なネオジム(Nd)やプラセオジム(Pr)が大量に採れるため、経済的に非常に価値が高いからです。
4. 世界の分布まとめ
| 鉱床タイプ | 主な所在地 | 特徴 |
| イオン吸着型 | 中国南部、ミャンマー | 中重希土類に富む。抽出が容易。 |
| カーボナタイト型 | オーストラリア、米国、中国北部 | 軽希土類に富む。埋蔵量が巨大。 |
| 堆積型(モノサイト砂) | インド、ブラジル、ベトナム | 海岸の砂などに堆積。放射性物質の処理が課題。 |
結論
中重希土類が中国に偏っているのは、「特異な風化プロセスによって中重希土類だけが粘土に吸着された」という地質学的な偶然によるものです。一方、オーストラリアなどは「マグマ由来の巨大な塊」を持っているため、軽希土類の供給源として機能しています。
最近では、ベトナムやブラジルでもイオン吸着型の調査が進んでいますが、中国ほどの規模とインフラを兼ね備えた場所はまだ見つかっていません。
アフリカのレアアース
1. アフリカのレアアース鉱床:主な3タイプ
アフリカで見つかるレアアース鉱床は、主に以下の3つのタイプに分類されます。
① カーボナタイト型(火成岩)
アフリカで最も一般的かつ重要なタイプです。火成岩の一種である「カーボナタイト」という岩石にレアアースが含まれています。
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特徴: 埋蔵規模が大きく、高品位なものが多いです。
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主な鉱物: バストネサイト、モナザイトなど。
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代表的な場所: マラウイ(カングンクンデ)、アンゴラ(ロンゴンジョ)、タンザニア、ナミビアなど。
② モナザイト砂(砂鉱床)
海岸の砂などに、比重の重いレアアース鉱物(モナザイト)が濃集したものです。
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特徴: 採掘が容易ですが、モナザイトには放射性物質(トリウムやウラン)が含まれるため、その処理が課題となります。
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主な鉱物: モナザイト。
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代表的な場所: 南アフリカ(スティーンカンプスクラール:世界最高級の品位で知られる)、ケニア、マダガスカルなど。
③ イオン吸着型(風化残留鉱床)
花崗岩などが熱帯の雨で風化し、粘土層にレアアースが吸着したものです。
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特徴: 重レアアース(ジスプロシウムなど)が多く含まれるのが最大の特徴です。もともと中国南部が主要産地でしたが、近年アフリカでも発見が相次いでいます。
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代表的な場所: マダガスカル、ウガンダ。
2. 精錬(抽出)方法
レアアースは鉱石の中に他の不純物と混ざって存在しているため、それを取り出すには複雑な工程が必要です。
1. 選鉱(Physical Beneficiation)
まずは岩石を砕き、物理的にレアアース濃度の高い「精鉱」を作ります。
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磁力選別: 磁石にくっつく性質を利用。
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浮遊選別: 薬剤を使って泡に鉱物を付着させ、浮かせて回収。
2. 分解・浸出(Cracking and Leaching)
精鉱を化学的に分解し、液状(溶液)にします。
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硫酸法: 濃硫酸を加えて加熱(ロースト)し、水に溶けやすくします。
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アルカリ法: 水酸化ナトリウムなどを用いて分解します。
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※アフリカの鉱石(特にモナザイト)はトリウムを含むため、ここで放射性廃棄物を適切に分離・保管する工程が非常に重要になります。
3. 溶媒抽出(Solvent Extraction)
溶液になったレアアースは、17種類の元素が混ざった状態です。これらを1つずつの元素(ネオジム、プラセオジムなど)に分けるために、特殊な油(溶媒)を使って、何度も繰り返し抽出を行います。
3. 現状と課題:アフリカでの精錬
現在、アフリカで採掘された鉱石の多くは、精錬工程を中国や欧州に依存しています。
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現地化の動き: 最近では、アンゴラや南アフリカなどで、自国内で精錬まで行う「垂直統合型」のプロジェクトが進んでいます。
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環境規制: 精錬には大量の水と化学薬品が必要で、放射性副産物の管理も厳格さが求められるため、環境負荷をどう抑えるかが最大の焦点です。
太平洋深海底泥のレアアース
太平洋の深海底(水深3,000〜6,000m付近)に広がる「レアアース泥(でい)」は、2011年に日本の研究グループによって発見され、次世代の資源として大きな注目を集めています。
陸上の鉱床とは全く異なる、その「存在理由」と「特徴」**を地学的な視点から解説します。
1. なぜ深海底にレアアースが存在するのか?(存在理由)
深海底にレアアースが濃縮されるプロセスは、数千万年という膨大な時間をかけた「海底の掃除機」のような仕組みによるものです。
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鉄・マンガン酸化物による吸着:
海水中にわずかに溶け込んでいるレアアースは、海水中の鉄やマンガンの水酸化物(微細な粒子)に吸着されやすい性質を持っています。
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リン酸塩(魚の骨など)の役割:
海底に堆積した魚の鱗や骨(リン酸カルシウム)は、レアアースを強力に取り込む性質があります。これが「運び屋」となり、泥の中にレアアースを固定します。
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超低速の堆積:
深海底では陸からの土砂がほとんど届きません。1,000年で数ミリ程度しか積もらないため、海水から沈殿したレアアースが薄まらずに「高濃度」で蓄積されました。
2. 深海底レアアース泥の4つの大きな特徴
陸上の鉱山と比較して、深海底のレアアース泥には極めてユニークな特徴があります。
① 中重希土類(HREE)の比率が非常に高い
中国のイオン吸着型鉱床に匹敵、あるいはそれを上回るほど中重希土類を豊富に含んでいます。特に、ハイテク産業に不可欠なジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)の含有率が高いのが最大のメリットです。
② 資源量が文字通り「桁違い」
日本の排他的経済水域(EEZ)内である南鳥島周辺だけでも、世界の消費量の数百年分に相当するレアアースが眠っていると推定されています。
③ 放射性元素(トリウム・ウラン)をほとんど含まない
陸上のレアアース鉱石(モノサイトなど)は、放射性物質を伴うことが多く、精錬時の環境負荷が課題となります。しかし、深海底の泥はこれらを殆ど含まないため、**「クリーンなレアアース」**として期待されています。
④ 抽出が極めて容易
レアアースがリン酸塩などに緩く結合しているため、希硫酸などの酸に浸すだけで簡単に溶け出します。 固い岩石を砕く必要がないため、回収プロセスのエネルギー効率が良いとされています。
参考:中重希土類の一覧(By Gemini)
| 分類 | 原子番号 | 元素記号 | 元素名 |
| 中希土類 | 62 | Sm | サマリウム |
| 63 | Eu | ユウロピウム | |
| 64 | Gd | ガドリニウム | |
| 重希土類 | 65 | Tb | テルビウム |
| 66 | Dy | ジスプロシウム | |
| 67 | Ho | ホルミウム | |
| 68 | Er | エルビウム | |
| 69 | Tm | ツリウム | |
| 70 | Yb | イッテルビウム | |
| 71 | Lu | ルテチウム | |
| (参考) | 39 | Y | イットリウム |
補足:イットリウムについて
イットリウム(Y, 原子番号39)は原子番号こそ小さいですが、化学的性質が重希土類に非常に似ているため、実務上は重希土類のグループに含めて扱われるのが一般的です。


