第38期 日本鋳造工学会中国四国支部長を務めさせて頂く事になりました、中尾でございます。第37期から2期連続で支部長を務めさせて頂く事になりました。自動車業界のEV化への過渡期であり、カーボンニュートラル対応の真只中、また3年後に開催予定の中国四国支部主催の全国講演大会に向けて、学会活動を活性化させ、夢のある鋳造産業に導いていきたいと考えております。
さて、2025年に入りましても、ウクライナ・パレスチナ問題は解決する見通しはなく、諸原料・エネルギー・物価は高騰の一途を辿っており、産業・生活を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。加えてトランプ関税で益々、見通しの付かない状況になっております。
そんな中ですが、日本鋳造工学会ではトヨタ出身の岡田政道・トヨタバッテリー社長が清水一道・函館工業高等専門学校校長(元室蘭工大教授)の後、会長に就任され、2年目を迎えられました。清水前会長が方針として挙げられました「風を吹かせる」を岡田新会長はさらなるシンカ、シンカとは深める深化、新しくする新化、そして進展させていく進化を提唱され、「新しい風」として、各種活動を推し進められております。
新しい風には2つあり、1つ目は「新しい分野や製品を生み出していく風」、そして2つ目は「これまで培った技術を時代の変化に順応させていく風」です。「新しい分野や製品を生み出していく風」は電動化、航空機、医療の新しい分野・製品に対し、鋳造の持ち味・良さを生かし、トレードオフの関係を創意工夫により克服・具現化する挑戦です。
また「これまで培った技術を時代の変化に順応させていく風」は省エネ・カーボンニュートラル等への時代要請への対応であり、効率化やエネルギー転換等の挑戦と捉えています。しかし最も重要なのは、それらを実行するのは「人」であり、まさに鋳造に関係されている人に光を当てる事が重要と思っています。これから鋳造を志す若い人を育てていかなくてはいけませんし、これまで鋳造を極めてこられたベテランにおかれましてもさらに能力を伸ばして頂きたいですし、働き甲斐を感じる環境整備も必要と考えています。まさに人の成長こそが、各種活動を加速していく土台であり大切な資産だと考えております。
私は発明王のエジソンが発した数多くの言葉の中でも「天才は1%のひらめきと99%の汗」という言葉が大好きです。1%と言うのは固有技術です。工学的なものは原理原則で成立しており、技術開発には固有技術を知っていなければいけません。しかしそれ以上に大切なのは99%の汗、つまり成功するまで絶対に最後まであきらめない執念・精神力の事を言っており、私自身身に沁みて感じております。目標が高ければ高い程、開発者はプレッシャーを感じ、上手くいかない時こそ、絶望感を感じるものと思います。だからこそ、開発者の上司・先輩が、常にサポートして応援し続ける事が重要と考えています。これからの鋳造の未来を担っている、開発者・研究者に光を当てるべく、活き活きと開発・研究に没頭出来る環境を整備してあげる事も重要だと考えています。
中国四国支部におきましては今年、理事会・常任理事会の改選を行いました。本支部も新しい風を吹かせながら、会員が抱えている課題を一緒に克服・解決していきたいと思っております。これから解決すべき課題はとても目標レベルが高く、困難が付きまとうものと予測出来ますが、まさに産官学のオールJAPANの取組みで、一致団結して進めていきたいと考えています。日本鋳造工学会中国四国支部はその一助となるべく、ともに汗を流し解決に向けて邁進したいと思っています。
今後ともどうかよろしくお願い致します。
2025年5月就任公益社団法人
日本鋳造工学会中国四国支部支部長
中尾 和浩