2025年10月3日に北海道札幌で開催された日本鋳造協会の秋の講演大会で、鋳造工学会前会長の清水一道先生(室蘭工大・島根大学教授退官され函館高専校長就任)が講演されました。
函館高専の「校長より」
日本の産業の再生と再生に必須の鋳造を元気づけ活性化させる提言の数々と、日本の各地から若者が集まれる高専作り活動開始の紹介などを、先生製作の熱気あふれる短編プロモートビデオ含め語りました。
あたらめて清水先生が、日本の素晴らしいリーダーの一人であると痛感。工学会会長と大学を転身し国立の高専の校長としてますます日本への貢献の意気盛ん!
講演後に清水先生と懇親する場があり、そこで奇しくも「微分と積分の話」になり、私の認識間違いを指摘いただきました。
私: 微分は細かく分けて、積分はそれを集めて再現すること。会計なら明細書が微分で、財務諸表が積分結果。
清水:積分はそれでよいけど、微分は細かく見たときの「変化率」です。
私: なるほど、変化率の意味を明確にとらえていなかった。山の斜面にいるとき、見る方向・歩く方向により標高の変化率は異なる。
その位置から、山の頂上方向を見れば変化率は+だし、険しい崖なら変化率はプラスで大きい。逆に下り方向を見ると変化率はーで、崖ならマイナスが大きくなる。変化率がゼロなら水平だ。
それで電磁気のマックスウェル方程式の疑問の一部が納得できた。
右辺の時間微分は、時間経過による変化率。左辺のROTは位置による変化率、その意味は渦巻きの特性を持つ磁界や電界を生じるということ。
渦巻き現象は、竜巻や鳴門の渦潮がその典型例で、外側はゆっくりだが渦の中心に近づくほど高速。中心を囲む一周の線積分の値が同じだから発生する物理量の大きさは中心からの距離に反比例する。
右辺の時間微分と左辺の位置のrot微分とが同じということは、電界の時間微分とそれで発生する磁界の位置微分の変化率が同じだから電界がsinなら磁界も「同相」のsinになるということ。
波の場合は、y(x,t)=f(x-ωt)+g(x+ωt) の形になってるんだと。時間の進行と位置の変化が同じ次元でつながってる。だから磁界と電界の時間変化で発生する電磁波は位置でも同相で変化する。
電界と磁界の時間変化は、右ねじの法則で相手を発生させるから相互に直角で同相なのだ。
微分が、単に小さく分けるのではなく、微小な部分の変化の傾向だ、というのは重要なんですね。
蛇足: アルキメデスの原理では、水中に沈んだ物体は、その体積分の水の浮力を受ける。これは物体を細かく垂直柱に分割して、左右の水圧はバランスするけど上端と下端に働く水圧差だけ浮力が働き、その合計が浮力(船を浮かせる力)になる。これも積分計算の考え方の一部になります。
補足 ROTの意味
これは、ベクトルの大きさが、半径に反比例するということです。竜巻も同じですね。中心から遠ざかると弱くなり、中心に近づくと流速が急上昇。
電流の周囲にrotでできる磁界や、磁界の時間変化で発生する電解の発生源からの大きさの分布は下記の図がモデルです。
コマの回転では半径増加に比例して速度が増えるのとは違い、rotでは速度が半径に反比例する海の渦巻きや大気の竜巻の動きになります。
なお、電流は太さのない数学の線ではなく、電線など直径がありその中で均等に電流が流れるために、最大の磁界は電線の表面になるということです(証明は省略)。