IoTは、製造現場の様々なものや状況をインターネットで共有すること、らしい。
英語では、Internet of Things
これまで、製造業では5現主義(原理・原則:現場・現物・現人)が大事だと。
しかし現場に行かなければものを見ることができないのでは、困ります。
製造する現場の状況、作ったものの製造条件、作ったものが今どこにあるのか?、作ったものがどこでどのように使われているのか、などを情報としてつなげて利用できるようにできたらすばらしい。
常時人がいない場所・高温暑熱や粉塵環境などでのものの状況などを、その状況を必要とし見たい人に届けることもIoTの役割の一つになってる。
工場の中で、事務所の中で、展示会の場所で、今の現場の姿を表示することもIoTを使うと実現できる。
工場の仲間や見学者や管理者や、展示会の参加者や、学生の見学者にも、案内用にも使える。
それを録画すれば、作業分析や不良発生時や設備故障の原因調査にも使えるようになる。
それがIoTの効果の一つのようだ。
日本鋳造工学会は、IoT研究部会を立ち上げて検討を進めている。
https://jfs.or.jp/workshop/iot-bukai/
日本鋳造協会も、IoT委員会を設置して研究・交流を進めている。
IoT委員会は、鋳造とIT業界や様々な分野の人が垣根を越えて情報を交流し発表しあうライトニングトークセッションを何度もネット公開で開催している。ここで見られたものは、異様に速い速度での情報拡散や、世界で次々に発表される無償の新しいアイデアやアプリの迅速なテスト導入で、従来の保守的・職人的な鋳造の世界に新しい文化を持ち込む衝撃的な姿だった。
紹介例には、1万円以下のごく小さな組み立て型パッケージCPUであるラズベリーパイ(オープンソフトのpythonとOSにはlinuxを使う)や最近続々と出てきた安価なセンサーを利用して、ITには無縁だった現場の人が指導受けながらも自ら開発したアプリで、現場状況をネットにつなげて現場で活用する事例などもあったという。ITが専門家だけのものだった時代から、利用する人も参加して開発し利用する新しい時代が始まったようだ。
ラズベリーパイとは? https://www.internetacademy.jp/it/programming/programming-basic/how-to-use-raspberry-pi.html
IoTで表彰された例を紹介しよう。下記は、
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2010/20/news051.html
から、その一部を引用したもので、現代におけるIoTの重要ポイントを指し示していると思われる。
IoTによる人とモノの定量化や鋳造工程の品質定量化を実証、IVIのWG活動スマートファクトリー
インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)は2020年10月8日、「IVI公開シンポジウム2020-Autumn-」をオンライン開催した。
その中で「2019年度業務シナリオWG(ワーキンググループ)優秀事例紹介」を実施し、最優秀賞1件、優秀賞3件、敢闘賞1件の活動内容を紹介した。
IoTを活用した人とモノの定量化とIEとの融合
最優秀賞に選ばれた「人・モノの実績可視化/分析と最適化-II(次世代IEの追求)」はマツダ、パナソニック、トヨタ、いすゞなどの各企業から参加した10人のメンバーで行われた。
最近では生産工程の高度化や複雑化が進み、ストップウォッチレベルでの作業の定量化は困難となっていたが、IoT(モノのインターネット)技術の進化により、測定(ロスの定量化)が大幅に行いやすくなっている。最優秀賞に選ばれたWG活動では、IoTを活用することで人とモノの動きの定量化(自動収集)とIE(インダストリアルエンジニアリング)手法を活用したロス分析を融合し、属人化された作業から編成効率を最大化する標準作業の設計および定量化された動きのパターン化を行った。これにより、ロスのルール定義と可視化を目指した。
活動対象は、多数の企業で共通している物流職場のフォークリフト作業の改善である。業種を問わず、フォークリフトなどの物流機器を使っている現場は非常に多いが、これらの環境では情報取得用の仕組みも複雑なものは入れられない。WG活動では、さまざまな現場で安価に簡単に設置することを目指した。データの取得は、フォークリフト単体で行えるようにし、その機器を持ち回ることで大きな投資なしに活用できるようにしたという。
また、フォークリフトの動きを可視化(動線・荷重のデータ化)し、ゾーン作業内容を分析、最適レイアウトと最適編成などの検討を行った。これらを改善の着眼点として標準作業設計に織り込み、現場では現在3人態勢で行っている作業を2人で対応できるような改善に結び付けていく。
今回の実証実験では、人とモノの動きを定量化することにより、長い時間をかけて個別の環境を分析していたものが、短時間でかつ多数の人の知恵を含めて分析できることを明らかにした。これにより改善のPDCAを早く回すことが可能になるとみている。また、今後はフォークリフトにとどまらず、生産現場での人とロボットとの協調に関しても、発展可能だとしている。実証実験を行ったチームでは「引き続き次世代のIEの追求という活動を続けていきたい」(マツダ 吉岡新氏)と意欲を示していた。
鋳造工程の品質の定量データ化や周辺設備の見える化を実施
「素材製造ラインにおける品質向上/シリンダヘッド(鋳造)編」は、自動車エンジンのシリンダヘッド鋳造工場での品質向上をテーマにした活動である。現場の技量や経験に頼っていたものを、新たなセンシング技術を採用し、収拾したデータの分析を行うことで、新たな知見を見つけることを目指した。
実証実験の結果では、溶湯成分に着目して因果関係を調査し、従来は思いもよらなかった特定成分の含有量の違いが品質影響因子であることを特定し検証を行った。また、製品冷却用のプレート個体差が製造物の良否に偏りを生むことを分析により確認することができた点など、鋳造工程には科学的分析による「定量化」がさまざまな領域でまだ可能で、それが品質向上に有効であることを明らかにした。