こんな話をよく聞く
日本の文系大学では、科学の基礎知識を教えない。
法学部・経済学部・文学部卒業した日本の指導層の人たちには科学の基礎素養が決定的に欠けているため、専門家の説明を聞いてもその意味や意義を理解できないと。
事実かどうかは不明だが、東日本大震災の時に与党だった民主党の有力政治家が「ガソリンタンク不足なら小学校のプールがあるぞ」と進言したとの笑話がネットで広まった。政治家の科学無知を皮肉ったデマだとも。
福島の原発事故では、放射線医学専門家が「現地のほとんどの地域で、実際の放射線レベルは長期住民疎開や過剰に恐怖は不要なレベルだと解説」していたのに、民主党政権は恐怖に駆られて過剰対策を実行、小説家や漫画家がそれを助長風評加害しマスコミが便乗報道して、放射線で死んだ人はいなかったのに高齢者などが住環境変化で多数死亡という二次被害が発生した。今もなお、この状態は継続している。
国連の放射線研究部会は、日本の政府の対応は過剰で、そのために不要な人的損害(2次被害)多数発生させたと結論を出している。
医学研究からは、岡山大学の永年のラドン温泉調査から、低レベル放射線は健康に有益だと、論文報告されている。東大医学部の専門家が、放射線恐怖は迷信だと解説する講演を行ったが、先輩が「真実を語ると学界からは干される」とたしなめられたという。真実は、社会的風潮で抹殺されてしまった。今なお、マスコミが放射線医学者の見解を正確に報ずることはなく、放射線恐怖をあおる記事ばかりが並ぶ。
指導層やマスコミの「サイエンスリテラシー欠乏」は、既に日本や世界に大きな損失を招いているのだ。
東日本大震災での福島原発事故で、ドイツやイタリアでは、原発を廃止し電気代の高騰が産業活力に影響している。
福島原発処理水の海洋放出を非難する中国は、国内原発建設と稼働に邁進しはるかに大量の放射性物質を海洋放出にためらいがなく、中国の産業界は低廉な電力で競争力を強化できている。日本とは反対に、共産主義国中国は大学の理系を多数育成し工業研究者を社会指導層として厚遇して産業強化による富国強兵に邁進し、最高指導者習近平主席は清華大学化工学部卒業していて、彼が推薦する者たちは理系が多く、政府要職は多くが理系卒業者が占めている。中国の独裁の可否は別として、その指導層は地球と宇宙で普遍性のある科学知識の素養があるのだ。中国が世界の製造業の中心的存在に浮上できた原因の一つだろう。
youtubeでこの問題の一端を経験した話が紹介されていた。紹介する動画では、筆者が日本で経験した大誤解報道と、是正すべくとった行動で判明したのは科学無知の現実だったと。
下記に紹介する短い動画では、ASME(米国機械学会)でも、この科学者の説明を文系の一般社会の科学無知による理解困難や誤解に至る深い亀裂を大きな問題だと取りあげられていたという。
技術情報を伝える難しさ
日本では、著名な社会学者・文系学者までが、「0か100か、あるかないか」議論で、1例でもあると社会の風潮だと断定する論調を展開することがよくある。
これは、統計的な現象理解ができていないためで、統計学の基礎を学ぶことがなかったのかもしれない。
机上の計算モデルだけで論文書けて教授になれるのが日本の経済学会だと大学教授に聞いたことがあるが、哲学やマルクス経済学・現代経済学・社会学・憲法学などで、その片鱗を感じることがままある。
挙句の果てに、現政権が行うことはすべて悪だと決めつけて民主的ではないと論難しながら、独裁国家が行っているもっとひどいことには目をつぶるどころか、中国の官民一体の軍事研究開発や中国軍人の研究室招請や交流事業に積極的に協力する人が日本学術会議の議員には多いと、内部事情に詳しい人にぼやかれたこともある。
米国では、MIT・ハーバード・スタンフォード大学の文系でも科学の基礎が必修になっていると聞き、その日本語翻訳教科書を取り寄せて内容のレベルの高さに驚愕したことがある。
アマゾンでも販売されているから、だれもその一端を読むことができる。
目次を見れば一目瞭然、日本の大学なら医学部や農学部・理学部の専門課程で学ぶレベルの最新のDNAの改造まで理解できてしまう内容になっている。
最初に原子の構造から始まり、原子核物理学の基礎理解から分子・化学反応の原理・水の重要性、高分子とタンパク質と進む。
日本の理系の学生でも、これほどまでに最新の核物理学・分子化学・生物学・医学・DNAの理解まで学んではいないのではないか?
これが、米国の大学では文系でも必修というから、米国の大学生は、日本のように大学入試終わった、さあ遊ぶぞと麻雀やスポーツやアルバイトする暇などないだろう。
中国でも事情は同様とも聞く。
全学生必修科目の筆頭に挙げられている「生物学」を紹介(アマゾン販売)
『LIFE」第11版は全58章からなる教科書で、生物学で用いられる基本的な研究方法からエコロジーまで幅広く網羅している。世界的に名高い執筆陣を誇り、アメリカの大学教養課程における生物学の教科書として、最も信頼されていて人気が高いものである。例えばスタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学などで、教科書として採用されている。MITでは、一般教養の生物学入門の教科書に指定されており、授業はこの教科書に沿って行われているという。
MITでは生物学を専門としない学生も全てこの教科書の内容を学ばなければならない。生物学を専門としない学生が生物学を学ぶ理由は何であろうか?
1つは一般教養を高めて人間としての奥行きを拡げるということがあろう。また、その学生が専門とする学問に生物学の考え方·知識を導入して発展させるということもある。さらには、文系の学生が生物学の考え方·知識を学んでおけば、その学生が将来官界·財界のトップに立ったときに、最先端のバイオテクノロジー研究者との意思疎通が容易になり、バイオテクノロジー分野の発展が大いに促進されることも期待できる。すなわち技術立国の重要な礎となる可能性がある。また、一般社会常識として、様々な研究や新薬を冷静に評価できるようになるだろう。
本シリーズは以下の構成となっている。
●第1巻(細胞生物学):生物学とは何か、生命を作る分子、細胞の基本構造、情報伝達
●第2巻(分子遺伝学):細胞分裂、遺伝子の構造と機能
●第3巻(生化学·分子生物学):細胞の代謝、遺伝子工学、発生と進化
各巻の全目次が記載されているので、概要を引用で紹介する。
これだけサイエンスの基礎知識差が日米の指導層に発生しているなら、文系が支配する財務省・文科省・大企業幹部がサイエンスを理解し経営資源を与えるなど夢物語かもしれない。

MIT,ハーバード、Stanford必修の生物学教科書 目次
第1章 生命を学ぶ…… 13
- 1.1 生物は共通の特性と起源を持つ …… 15
- 1.2 生物学者は仮説の検証によって生命を研究する ·…42
- 1.3生物学の理解は健康、福祉と社会政策の決定に欠かせない …… 54
- 第1章 学んだことを応用してみよう …… 67
第2章 生命を作る低分子とその化学…69
- 2.1 原子の構造が物質の特性を説明する …… 71
- 2.2原子は結合して分子を形づくる …… 87
- 2.3原子は化学反応で結合相手を変える…… 102
- 2.4水は生命にとってきわめて重要である …… 105
- 第2章学んだことを応用してみよう…122
第3章 タンパク質、糖質、脂質…… 124
- 3.1 生物の特徴は高分子によって決まる …… 126
- 3.2 タンパク質の機能は三次元構造に依存する -… 137
- 3.3単糖が糖質の基本構造単位である …… 163
- 3.4 脂質は化学構造ではなく水への溶解度によって分類される – 176
- 第3章 学んだことを応用してみよう…187
第4章 核酸と生命の起源…………………….. 190
- 4.1 核酸の構造は機能を反映する …… 192
- 4.2生命の低分子が原始の地球に現れた …… 207
- 4.3生命の高分子は低分子から生じた…222
- 4.4細胞は構成成分となる分子から生じた …… 227
- 第4章 学んだことを応用してみよう …… 235
細胞:生命の機能単位……………………..237
- 5.1 細胞は生命の基本単位である …… 239
- 5.2 原核細胞は最も単純な細胞である … 251
- 5.3真核細胞には細胞小器官が存在する …… 256
- 5.4細胞外構造には重要な役割がある …… 300
- 5.5真核細胞はいくつかの段階を経て進化した …… 304
- 第5章 学んだことを応用してみよう -… 310
第6章 細胞膜……………………..313
- 6.1 生体膜は脂質––タンパク質二重層である …… 314
- 6.2細胞膜は細胞接着·細胞認識で重要である …… 327
- 6.3物質は受動的過程により膜を通過することができる…… 336
- 6.4 膜を越える能動輸送にはエネルギーが必要である.…. 350
- 6.5高分子は小胞を介して細胞に出入りする…360
- 第6章 学んだことを応用してみよう …… 369
第7章 細胞の情報伝達と多細胞性……………………..371
- 7.1 信号と信号伝達は細胞機能に影響を与える …… 373
- 7.2 受容体は信号を結合して細胞応答を開始する…… 378
- 7.3信号への応答は細胞内に拡がる …… 391
- 7.4 細胞は信号に応答していくつかの様式で変化する…… 405
- 7.5 多細胞生物の隣り合う細胞は直接情報伝達できる…… 413
- 第7章 学んだことを応用してみよう …… 421
Geminiに米国大学の文系理系共通のサイエンス必修科目を質問した結果をご紹介する。
この回答を米国留学経験のない筆者は検証できないことは残念である。
1. Scientific Method and Analysis(科学的手法と分析)
文系の学生であっても、自然科学の思考プロセスを学ぶために最低1コースの履修が必須です。
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よく選ばれるコース: “The Biology of Humans”(人間生物学)
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教科書: 前述のロバート・サポルスキー教授などの講義資料や、『Campbell Biology』(キャンベル生物学)のダイジェスト版などが使われることが一般的です。
2. Quantitative Reasoning(量的推論)
データサイエンスや統計学の基礎を学ぶ必修枠です。現代のスタンフォードでは「文系であってもデータの裏付けなしに議論はできない」という方針が徹底されています。
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よく使われるテキスト: 統計学の基礎的な考え方を説くテキストや、Pythonなどを用いたデータ分析の入門資料が指定されます。
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名称例: 『Introductory Statistics』(統計学入門)などが標準的です。
文系学生が「教養」として手に取る代表的な書籍
スタンフォードの教養課程で、特に「科学的視点を持つ文系」を育てるために頻繁に引用・参照される名著があります。
| 分野 | 代表的な書籍・著者 | 教養としての位置づけ |
| 人間行動学 | 『Behave』 (Robert Sapolsky) | なぜ人間は残酷な行動や慈悲深い行動をとるのかを、生物学的・心理学的に解き明かす。 |
| 科学史・哲学 | 『科学革命の構造』 (Thomas Kuhn) | 科学がどのように進歩するか(パラダイムシフト)を学ぶ、文理共通の古典。 |
| デザイン思考 | 『Designing Your Life』 (Bill Burnett 他) | スタンフォード・デザイン・スクール(d.school)発の、科学的手法を人生設計に応用する必修級の人気講座。 |
結論として
スタンフォードの文系必修において「科学の教科書」と呼べるものは、単なる知識の暗記用ではなく、「科学的なエビデンス(証拠)をどう読み解き、社会課題にどう適応するか」を説いた論文集や学際的な専門書であることが特徴です。

