塗型用シンナー(塗型剤用希釈剤)は、鋳造プロセスにおいて「塗型剤(とけいざい)」の粘度を調整し、砂型への塗布を容易にするために欠かせない副資材です。

塗型剤とは、溶融金属(湯)の熱から砂型を保護し、鋳物の表面を滑らかにするためのコーティング剤ですが、そのままでは濃度が高すぎるため、シンナーで適切に希釈して使用します。

1. 塗型用シンナーの主な種類

シンナーの種類は、使用する塗型剤の「溶媒(ベース)」に合わせて選択されます。主に以下の3つのタイプに大別されます。

アルコール系シンナー(主流)

現在、最も一般的に使用されているタイプです。

  • 特徴: 揮発性が高く、塗布後の乾燥が非常に速いのがメリットです。また、着火して強制乾燥させる「燃焼乾燥」が可能です。

  • 主成分: イソプロピルアルコール(IPA)やメタノール、エタノールなどがブレンドされます。

水系希釈剤(水)

環境負荷や火災リスクを低減するために使用されます。

  • 特徴: 引火の危険がなく安全ですが、乾燥に時間がかかるため、乾燥炉などの設備が必要になります。

  • 成分: 基本的には工業用水が使われますが、浸透性を高めるための界面活性剤が含まれることもあります。

特殊溶剤系シンナー

特定の樹脂や特殊なプロセスを用いる場合に使用されます。

  • 特徴: 塗型剤の結合剤(バインダー)との相性を重視して設計されます。

  • 成分: 芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)やエステル類、ケトン類が配合されます。


2. 塗型用シンナーの役割と機能

単に薄めるだけでなく、鋳造品質を左右する重要な役割を担っています。

  1. 粘度調整: スプレー、刷毛塗り、浸漬(ディッピング)など、作業方法に最適な流動性を与えます。

  2. 浸透性の制御: 砂型の表面にどこまで染み込ませるかを調整し、塗膜の密着性を高めます。

  3. 乾燥速度の制御: 季節や気温に応じて成分比率を変え、液だれやクラック(ひび割れ)を防ぎます。


3. 製造法と工程

鋳造の塗型では、乾燥時間短縮のためにアルコール系の溶剤(シンナー)が利用され、メタノールとエタノール,IPAが代表的。

原油やLPGから製造されるアルコールがあります。ホルムズ海峡封鎖で日本では品薄発生し困った事態となりました。
工業的な製造法は下記ということです。

一般的に「合成アルコール」と呼ばれ、LPG(液化石油ガス)の主成分であるエタンやプロパンと同様に、石油精製の過程で得られる「エチレン」などを原料として製造されます。

石油からアルコールができる仕組みと、LPG由来との違いを整理して解説します。


1. LPGや石油(原油)からアルコールができる仕組み

 LPGや天然ガスの主成分であるメタンからメタノール(メチルアルコール)が作られます。高温高圧でNiを触媒としてLPG(メタン)と水蒸気を高温で反応させ、一酸化炭素と水素に分解。一酸化炭素と水素を、銅・亜鉛系の触媒の存在下で反応させてメタノールを合成
 CH4 + H2O => CO + 3H2
 CO + 2H2 => CH3OH

 原油を蒸留・精製する過程で、ナフサ(粗製ガソリン)が抽出されます。このナフサをさらに高温で分解(クラッキング)することで、エチレンやプロピレンというガスが発生します。
 このエチレンに水を反応させる(水和法)ことで、合成エタノールが作られ、プロピレンからはIPAが作られます。
 CH2=CH2 + H2O => CH3CH2OH     エタノール
 CH3CH=CH2 + H2O => CH3CH(OH)CH3 IPA(イソプロピルアルコール)

2. LPG由来のアルコールとの関係

ご質問にある「LPG由来」も、広い意味では石油・ガス資源由来のアルコールに含まれます。

  • LPG由来: 主に随伴ガスや天然ガスから分離されるエタンなどを原料にします。

  • 原油由来: ナフサの分解によって得られるエチレンを原料にします。

どちらも最終的には「エチレン」を経由してエタノールを合成するため、化学的な構造は、トウモロコシやサトウキビから作る「発酵アルコール(バイオエタノール)」と全く同じです。

3. 合成アルコールの用途と規制

石油から作られたアルコールは、主に工業用として利用されています。

  • 主な用途: 有機溶剤、洗剤、化粧品、医薬品、インクの原料など。

  • 飲用への制限: 日本では、酒税法やアルコール事業法に基づき、石油由来の合成アルコールをお酒(飲料)として使用することは禁止されています。私たちが口にするお酒や、食品添加物としてのアルコールは、すべて植物原料の発酵アルコールです。


補足:メタノールとの違い

メタノールは非常に毒性が強く、燃料や化学原料として使われますが、エタノールとは用途が明確に区別されています。

まとめると、ナフサ(原油)を原料とするルートと、LPG(ガス)を原料とするルートのどちらも確立されており、用途に応じて使い分けられています。

 

 

塗型用シンナーの製造は、化学溶剤の「精密なブレンディング(混合)」が中心となります。

ステップ1:配合設計(フォーミュレーション)

用途に合わせて溶剤を組み合わせます。例えば、速乾性を高めるために低沸点溶剤を増やしたり、塗膜の平滑性を出すために高沸点溶剤を少量加えたりします。

ステップ2:混合工程

爆発防止対策(防爆設備)が施されたミキシングタンクに、原料となる各溶剤を投入します。

  • 静電気対策: 溶剤の流動による静電気火花を防ぐため、接地(アース)を徹底し、窒素パージ(酸素の除去)を行う場合もあります。

ステップ3:撹拌・均一化

プロペラ式の撹拌機などで十分に混合します。溶剤同士は互いに混ざりやすいため、固形物を含む塗型剤本体の製造に比べると工程はシンプルです。

ステップ4:ろ過・充填

混入した微細なゴミを取り除くためのフィルタリングを行い、ドラム缶や一斗缶に充填して出荷されます。


4. 使用上の留意点

塗型用シンナーは**「労働安全衛生法(有機溶剤中毒予防規則)」「消防法(危険物)」**の対象となるものがほとんどです。

  • 換気: 蒸気を吸い込まないよう、局所排気装置のある場所で使用します。

  • 火気厳禁: アルコール系は引火点が低いため、静電気を含めた火気管理が必須です。

  • 成分の最適化: 塗型剤メーカーが指定する純正シンナーを使用するのが最も安全です。安価な汎用シンナーでは、バインダーを析出(分離)させてしまい、塗膜剥がれの原因になることがあるため注意が必要です。

 

三共化学が解説記事掲載

2026.04.17

イラン情勢による塗料用シンナー不足の原因と代替品を解説

※引き合いが集中しており、大変申し訳ございませんが、 一時新規販売を停止しております※

米国とイスラエルによる2026年2月28日のイラン攻撃から、イラン情勢は急速に悪化し、日本が使う原油の大半が通過するホルムズ海峡が事実上封鎖された影響で、製造大手の日本ペイントは、シンナー類全般を対象に、3月19日発注分から75%の値上げを実施した他、市中の店舗では塗料用シンナーが品薄で入手困難になっています。その背景と代替品であるエコ塗料用シンナー1000を解説します。

目次

塗料用シンナーとは

塗料用シンナー解説

塗料用シンナーは、ミネラルスピリット(ミネラルターペン)という脂肪族炭化水素を主成分としています。溶解力や揮発性は比較的弱いですが、臭いも穏やかなことが特徴です。弱溶剤で溶ける塗料を薄めて塗りやすくしたり、塗装道具の洗浄などに使われます。

※ラッカー系塗料に対しては、溶解力が足りないため使えません。ラッカー用シンナーをご利用ください。

シンナーについては、別記事「シンナーとは?わかりやすく解説します」で詳しく解説しております。

品薄の背景はホルムズ海峡の事実上の封鎖

塗料用シンナーの供給不安の仕組み

塗料用シンナーの主成分のミネラルスピリットは、原油を精製してつくります。日本は、原油の99.5%を輸入に頼り、そのうちの約90%がホルムズ海峡を経由しています。そのため同海峡の封鎖で、原油を積んだタンカーが通行できず、日本に入る原油の供給が滞りつつあることが、塗料用シンナーの供給不安と品薄、値上げを引き起こしているのです。

ホルムズ海峡の封鎖については、別記事「イラン情勢悪化による石油化学品への影響は?ガソリン、日用品も値上げ、品薄に」で詳しく解説しております。

代替品はエコ塗料用シンナー1000

弊社のエコ塗料用シンナーは、塗料用シンナーの代替としてご使用いただけます。特徴は下記の通りです。

SCROLL

商品名 特長
エコ塗料用シンナー1000
  • 有機則、特定化学物質障害予防規則(特化則)非該当
  • 引火点が40℃以上のため防爆設備不要(引火点以下で使用する場合に限る。40℃以上に加温する場合は要防爆設備)
  • 臭気が穏やか

【動画】エコ塗料用シンナー1000による希釈【必見】

エコ塗料シンナー1000で、下記ページの動画のように、実際に塗料を希釈できました。

https://www.sankyo-chem.com/news/post-15089/

疑問・質問はお気軽にお問い合わせください

エコ塗料シンナー1000をはじめ、その他の有機溶剤の代替品についてもお気軽にお問い合わせください。

 

洋上積み替え原油が再び日本に、中東緊迫化で異例の調達続く

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-04-16/TDKI35KK3NY900#gsc.tab=0 Weilun Soon、稲島剛史 2026年4月16日 at 17:31 JST 中東のオマーンから出荷された原油がインド西海岸沖で超大型タンカー(VLCC)に積み替えられ、その後日本へ向かっていることが分かった。イラン戦争の影響で中東産原油の供給が滞る中、異例の手法で調達する動きが続いている。

  ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、オマーンのミナ・アル・ファハル港で、中型サイズのタンカー「Shenlong」に積まれていた原油が、16日までにムンバイ沖でVLCCの「Bright Horizon」に積み替えられた。VLCCは約200万バレルの原油を積載できるが、中型タンカーからの積み替えであるため、Bright Horizonには約75万バレルしか積まれていない。鹿児島県の喜入港に29日に到着する予定だ。

Bright Horizon インド西海岸沖で原油を受け取ったBright Horizon(白)は日本に向かっている 国内最大の石油元売り会社ENEOSホールディングスの海運子会社ENEOSオーシャンのウェブサイトによると、Bright Horizonは同社が所有するタンカーの一つだ。同社は喜入に世界最大級の原油の中継備蓄基地を保有している。

  ENEOSホールディングスの広報担当者はコメントを控えるとした。

  イラン戦争の影響で、石油や液化天然ガス(LNG)輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上封鎖された状態が続いており、世界的なエネルギー危機が深刻化する懸念が高まっている。日本は比較的潤沢な石油備蓄を抱えるものの、原油の95%超を中東に依存していることから代替調達が急務となっている。

  中東原油を巡ってはホルムズ海峡を経由しない代替ルートとしてアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港や紅海沿岸のヤンブー港が注目を集めているが、中東情勢が緊迫化する中でいずれの海域も安全とは言い切れない状況だ。そのため危険海域への航行に慎重な買い手の間では、今回のような積み替え手法の活用が広がる可能性がある。

海事コンサルティング会社シッピング・ストラテジーのマネージング・ディレクターを務めるマーク・ウィリアムズ氏は、「他の買い手も同様の回避策を試みられない理由はない」と話す。「ある国の製油所が主に中東産原油を処理している場合、ホルムズ海峡が再開されるまでの間、これは実行可能な短期的な解決策となり得る」と続けた。

  同様の動きでは、今月初旬にUAEのアブダビ国営石油会社が生産する「マーバン原油」がマレーシア沖で積み替えられ、現在北海道に向かっている。そのほか、3月下旬に同原油をインド西海岸沖で受け取った別のタンカーもまもなく喜入港に到着する見通しとなっている。

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