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Vol.90 No.7 YFE北陸支部の活動報告

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Vol.90 No.7 YFE北陸支部の活動報告

YFE北陸支部は委員数が少ないことから,年間を通じた活動の多くは北陸支部本体との共同開催という形をとっています.今回は,昨年開催した工場見学会について報告致します.

 

○開催日時:2017年10月18日(水)9:00~18:00
○見学先:ナブテスコ(株) 垂井工場様
     鍋屋バイテック会社 美濃ファウンドリ様
○参加人数: 34名
○概  要:
1.ナブテスコ(株) 垂井工場 様
 7:40分に金沢駅に集合し,途中の休憩を入れて約3時間の移動の後,ナブテスコ(株)垂井工場様に到着しました.最初に会社概要の説明を頂き,工場見学をさせて頂きました.ナブテスコ様は,鉄道車両用機器,精密減速機,自動車用機器,舶用機器の開発・製造を行っています.垂井工場様では,油圧機器やモーター,ウインチモータ,コントロールバルブなど鋳鉄鋳物を沢山使用する精密機器を製造しておられ,その加工や組み立てラインを見学させて頂きました.

 鋳鉄部品の機械加工では,一人の作業者が4台の機械をマルチで操作するなど,非常に生産性の高いライン構成となっています.機械加工後のバリ取りは,加工サイクルタイムと手扱い時間のバランスを見て,機械内で取るか,手で除去するかを決めているとのこと.また,加工時にバリが出ない鋳物形状や加工条件を設定しています.近年,市場からの増産の要求に対して人手不足が深刻化していることから,加工機への製品の脱着に,ロボットを積極的に導入しているとのことで,ビジョンカメラで形状,位置を確認し,取付位置の微調整を行っていました.今後は鋳物工場においてもロボットの積極的な活用を検討していかなければいけないと感じました.

 工場見学の後,技術部の矢田部参事より,“鋳物メーカに期待すること”と題して,ご講演を頂きました.鋳物材料の機能向上として,摩擦による凝着防止(摺動特性の向上),強度と伸びが両立する鋳物,鋳包み技術による高機能化(FCD+銅合金,FCD450+FCD700,FCV+FCDなど),熱処理後に変形の少ない鋳物,高強度だが切削性の良い鋳物など,今後,我々鋳物メーカが製品付加価値を向上させるためのアイデアを多く頂きました.

2.鍋屋バイテック会社 美濃ファウンドリ様

 昼食の準備が遅れたため予定より,到着が遅れたにも関わらず気持ちよくお出迎えを頂きました.最初に谷口常務,長江工場長様からご挨拶と会社概要を説明頂きました.鍋屋バイテック様は,伝動・制御・位置決めなどの部品を多品種少量生産されておられ,商品点数は約19万点,出荷先は500件/日にのぼります.このような多品種少量の商売で,99.8%と非常に高い確率で顧客要求納期を遵守していくためには,従業員の高いモチベーションが必要であると感じました.『良い製品は,良い環境から』という経営者の考えから,従業員満足度を上げるため資格手当を手厚くし,社員のスキルアップを給料に反映するようにしたとのことです.定期的な海外研修の実施,全社を挙げてのお花見やパーティの開催など非常に羨ましいと感じる催しが沢山あるとのことで,人手不足が叫ばれる中でも,入社希望者が沢山来て頂ける会社なのだろうと推察されました.

 美濃ファウンドリ様は,2015年12月に操業を開始した鋳造工場で,プーリーや滑車などの社内製品向けの標準品と鋳物単体部品(別品鋳物)を生産しています.枠サイズ800×800×200の造型ラインで,多品種少量生産に対応するため,一枠に3~4型を合い込めするなど,工夫をこらして対応しています.鋳造工場は2階建てで,天井には採光のための透明なパネルが設置されていて,工場内は非常に明るくなっています.敷地内の地盤が岩盤で,ピットを掘るのに費用がかかること,設備メンテナンスを容易にするために極力ピットレスの工場を目指しました.また,作業環境を良くするため,粉塵対策には力を入れておられました.回収砂の残水分値は2.5%程度となるように制御して解枠後の粉塵の発生を極力押さえ,溶解・砂処理・ショットには,強力な集塵機が設置されていました.また,2次冷却ラインを屋外に出すなどの対策の効果もあり,鋳造工場内は非常に綺麗でした.これから若い世代に鋳物工場で働いて貰うためには,このような綺麗な工場にしなければならないと感じた工場見学となりました.

 もう一つの若手技術者向けの研修として,去る4月19日に小樽市の(株)光合金製作所を会場に工場見学と研修会を開催しました.例年以上の30名を超える参加者が集まり,関心の高さを伺わせました.見学では寒冷地特有の水栓についての解説とともに,注湯ラインや検査・梱包ラインなど,製造の流れを見学しました.水栓は地方の気候により異なり,数十センチから3メートルにもなるものまで様々で,鋳造から出荷までの効率化の工夫などで対応しているとのことでした.鋳造の技術のみならず,販売・管理に至るまでの話を聞く機会となりました.続く研修では,電気炉や取鍋に使う耐火材について,その採掘から特性の違い,溶損の生じるメカニズムと炉の補修について,耐火材メーカーの方にご講義いただきました.今後も若手技術者支援とともに鋳造の広報に努めていきたいと思います.

 

連絡先

(公社)日本鋳造工学会 北海道支部YFE 
明石 隆史
〒924-0011 石川県白山市横江町1484
 (株)明石合銅
TEL: 076-276-5533
 E-mail: takafumi(a)akashigo.com *(a)を@に変えてください.

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