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Vol.89 No.2 関東支部YFE活動の紹介

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Vol.89 No.2 関東支部YFE活動の紹介

関東支部YFEでは,中学生以下を対象とした「子供いもの教室」,高校生を対象とした「鋳物体験教室」,ならびに大学生と大学院生を対象とした「学生講演会」などを企画し,鋳物に関する啓蒙活動をさまざまな若手世代に対して行っています.

以下では,「鋳物体験教室」と「学生講演会」について紹介致します.

鋳物体験教室

 高校生を対象とした第4回鋳物体験教室が10月から12月にかけて行われました.佐藤健二さま(関東支部顧問,本部監事)にお世話頂く中で,今回は千葉県内の3つの高等学校の生徒さんにご参加頂きました.各高等学校においてワックスモデルの作成を行い,最大のイベントである溶解と鋳造は千葉県佐倉市郊外にある鋳金作家の本山ひろ子様の工房で,様々な設備を借用して行われました.鋳造後に石膏鋳型から取り出された作品には洗浄が施され,湯道などの不要部分が切り離されました.時間の制約から,鋳造当日の作業は湯道を除去した段階で終了となりましたが,それぞれの作品は各高等学校に持ち帰られ,最終の仕上げが行われて完成に至る運びとなっています.以下では,11月26日に実施された溶解と鋳造の概要について報告させて頂きます.

 石炭を燃焼すること約2時間,ドロドロに溶けた青銅が坩堝の中に現れると,生徒さんたちは何かに取り憑かれたようにただ呆然と覗き込んでいました.危険回避のため鋳型への注湯は各校の先生方にご担当頂きましたが,無事に出来上がることを願いつ不安そうに眺めていた生徒さんたちの姿はとても印象的でした.作品が冷えるまでの時間を利用しての昼食はまだ見ぬ作品に想いを馳せ大いに盛り上がり,いよいよハンマーや金属棒で石膏鋳型を壊し作品を取り出す瞬間には,至る所から歓喜や失望の声が上がりました.石膏まみれの服装も気にせず一心不乱に作品を取り出す生徒さんたちの姿に接し,いつの間にか作品の無事な完成を願っている自分に気付きました.湯回り不足で一部が欠損した作品も見られましたが,ウロコの形が精密に再現された龍など,それぞれの作品はユーモアに溢れ,独特な感性も感じられ,とても素晴らしいものでした.参加頂いた生徒のみなさんには,今回の鋳物体験教室を十分に堪能して頂けたように感じられました.

 今回は3つの高等学校から参加して頂きましたが,体験教室を終える頃には,来年の参加をお互いに約束していたようです.鋳物でつながった友情も素晴らしいものですね.

学生講演会

 今回で2回目の学生講演会が,12月9日に日立金属株式会社高輪和彊館で開催されました.修士課程に在籍する大学院生により,凝固時の組織形成や注湯時における取鍋位置制御などに関する3件の講演が行われましたが,いずれも自信に満ち溢れ,質疑応答も臆することなく堂々としていて大変頼もしく感じられました.中でも女子大学院生の研究発表は,特に印象に残っています.指導教員の先生に伺ったところによると,大変残念なことにこの大学院生の就職先は鋳物製造企業ではないとのことでしたが,鋳造に関連する研究活動ならびに女性が少ない技術分野における様々な経験や苦労は,今後のキャリアアップを図る上で必ず役に立つのではないでしょうか.近年,女性の職場進出が一段と注目されていますが,鋳物関連分野にも女性技術者が増えることを期待するとともに,女性ならではの斬新な発想ならびに製品開発が行われることを願いつつ,女子大学院生の講演を興味深く拝聴させて頂きました.

連絡先

(公社)日本鋳造工学会 関東支部YFE 中山栄浩
〒400-8511山梨県甲府市武田4−3−11 山梨大学大学院総合研究部 TEL: 055-220-8424 E-Mail: nakayama@yamanashi.ac.jp

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