ねずみ鋳鉄の鋳物内で,A型黒鉛にD型黒鉛が混在していますが,なぜですか?

図1に,A型黒鉛にD型黒鉛が混在する組織写真の一例を示します.このような組織になる要因として,以下のことが考えられます.

  • 接種が効かなかった可能性があります.接種剤がうまく溶けなければ,黒鉛の核が少なくなってすぐフェーディングするために,D型黒鉛になると考えられます.
  • D型黒鉛は過冷された溶湯に表れやすいと言われています.一方,(a)硫黄/マンガン(S/Mn)の比率,(b)燐(P)の含有量,(c) R/G(冷却速度/凝固速度),等が増加すると,過冷度が大きくなります.その結果,D型黒鉛が現れ,A型と混在するようになると考えられます1)
  • 最終凝固部に低沸点元素(例えば,アンチモン・鉛・テルル等)が逆偏析すると,溶湯が過冷されやすくなり,よってD型黒鉛になる可能性があります2)

1)Recent Research on Cast Iron:American Society for Metals(1964)438-445

2)米国鋳物協会編,日本鋳物協会訳:鋳物不良の原因と対策,丸善(1955)140-141

図1 A型黒鉛にD型黒鉛が混在する組織写真

(『鋳造工学』92巻1号掲載)