アルミニウム合金中の成分がそれぞれ機械的性質に及ぼす影響はなんですか?

 軽合金鋳物,ダイカストの生産技術(素形材センター)に詳しく書いてありますので参考にしてください.

 ・AC1A,AC1B(Al-Cu,Al-Cu-Mg系):銅とマグネシウムの固溶硬化とGPゾーン及び中間相θ’(準安定Al2Cu)並びに中間相S’(準安定Al2CuMg)の析出硬化により強さと硬さが向上する.

・AC2A,AC2B,AC4B(Al-Cu-Si系):Al-Cu系にけい素を加えた合金系で,熱処理によりAl2Cuの中間相θ’と微量のマグネシウムの含有によるMg2Siの中間相が析出して機械的性質が向上する.

・AC4A,AC4C,AC4CH(Al-Si-Mg系):マグネシウム添加によるMg2Siの中間相析出による強度・靱性を高めた合金である.鉄は靱性を低下させる不純物である.

・AC5A(Al-Cu-Ni-Mg系):銅,ニッケル,マグネシウムを添加成分とし,S’相(Al2CuMgの中間相)とY相(Al5NiCu)の析出により強化され,高温での強度に優れる.

・AC7A(Al-Mg系):マグネシウムを添加した固溶強化合金である.

・アルミニウム合金共通:TiやTi-Bによる微細化処理(組織の微細化)により強度向上させる.

・Al-Si系合金の共通:ナトリウムやストロンチウム添加による共晶けい素の改良処理で強度・靱性を向上させる.

(『鋳造工学』90巻1号掲載)