マグネシウム合金の溶解作業で注意すべき点はなんでしょうか? カバーガスなどは何を利用すればよいのでしょうか?

まずはいつでも消火できる準備をすることが第一だと思います.溶解量にあった砂やフラックスなどの消火剤を準備してください.坩堝と炉蓋には隙間がないようにし,カバーガスによって炉内が常に正圧である事を確認してください.溶湯表面積を少なくするために,坩堝は胴長のものを使用し,坩堝の内面は酸化チタン等でコーティングして,坩堝から鉄分の溶出を抑えると良いでしょう.坩堝の加熱面は湯面より低くするとカバーガスの分解抑制と坩堝壁の燃焼を抑えられます.

 湯を激しく撹拌すると,湯面の酸化被膜を溶湯中に巻き込んで容易に汚染されるので,必要時以外,溶湯には触れないこと.溶湯は容易に水素を吸収するので,鋳造直前にガスバブリングにより脱ガスするのが好ましいです.連続溶解の場合にはインゴットの表面を酸化させないことも重要です.重力偏析する合金も多々あるので,坩堝側面を加熱して自然対流を促進することも重要です.

 カバーガスについては,経験の少ない人はSF6+CO2混合ガスが一番扱い易いのでお勧めです.温暖化効果ガスですが少量であれば問題ないでしょう.馴れてきたら温暖化係数の低いガスを試してください.

(『鋳造工学』90巻12号)