ロストワックス法では,鋳型を作る際に熱でワックスを溶かす工程がありますが,加熱するだけでワックスが残ることなく完全に除去できるのですか.またそのための工夫があれば教えてください.

 ロストワックス法では,残存ワックスが介在物欠陥などの原因となるため,ワックスの除去は必須技術となります.ワックス除去方法(以降脱ろう)には3種類あります.

①900度から1100度の炉内に鋳型を投入しワックスを溶かし出す,ショックヒート脱ろう法.

②マイクロ波が鋳型を加熱せずにワックスのみ加熱する特性を利用した,マイクロ波加熱脱ろう法.

③鋳型をオートクレーブ内に入れ,高圧蒸気を圧力容器内に充填することで,ワックスを溶かし出すオートクレーブ脱ろう法.

 取り扱いの容易さなどから現在は③の方法が主流です.ワックスは流動性が良くなく,鋳造方案や製品形状の問題で溶けたワックスが流出しない構造の場合もあり,これらどの脱ろう方法でも熱で溶かし出すだけでは,ワックスを100%除去することはできません.そこで精密鋳造の場合は鋳造前に鋳型を高温で予熱することを利用し,その工程において残存ワックスを燃焼・除去させます.またこの燃焼時のワックスの残りを限りなく少なくするために,ワックス残渣(灰分)の少ないワックスを選定したり,燃焼炉内の酸素濃度が下がらないような燃焼プログラムを用いたり,さらには予熱工程の前に予備焼成工程を追加し,予備焼成後の鋳型内部をクリーニングして灰分を除去するなど,ワックス残りをゼロとするためにいろいろな工夫がされる場合もあります.

(『鋳造工学』93巻5号)