生型砂の混練機は,マラーホイール式とアジテーター式がありますが,どのような観点から選定を行えばよいでしょうか?

 生砂の混錬工程のポイントは,ライン内を循環している生砂粒子表面に活性ベントナイトを均一に引き延ばしながらコーティングすること,そして活性ベントナイトの結晶層間に水を十分浸透させ,ベントナイトの粘結力を最大限引き出すことにあると考えられます.マラーホイール式は,一対の垂直保持されたローラーで混錬砂を踏みつけながら混錬を行います.ローラーで単純に踏みつけているのではなく,内輪差でローラー面は砂に対して滑り運動しています.へら押しのイメージで大きな剪断力を混錬砂に与えているといえます.一方,アジテーター式では,回転主軸に角状の撹拌子が多数取り付けられたアジテーターが混錬砂の中で高速回転して非常に強い攪拌をします.活性ベントナイトを細かく砕きながら砂粒子表面に均一に付着させると同時に,ミクロ的に大きな剪断力を与えてベントナイトの膨潤を促進していると考えられます.ベントナイトの特性を活かすという面では,マラーホイール式に優位性があると考えられますが,短時間で大エネルギーを混錬砂に与えるアジテーター式は,単位装置当たりの処理量が多く確保できるというメリットがあります.混錬機構には差があるということを理解した上で,工場毎の設備事情を勘案して選定することが大切だと言えます.

(『鋳造工学』92巻7号掲載)