Zn-Al合金で室温まで冷えた鋳物が後になって熱くなっていることがあります.どうしてそんなことが起こるのでしょうか?

「鋳物」を大きな意味での鋳造品と考えると表面温度上昇の原因として次のことが考えられます.

熱が溜まりやすい部分がある鋳物,例えば,厚肉部分がある,中子がある,大きな湯口や押し湯が付けられている場合には,表面が冷えても内部は充分冷えておりません.このため,内部の熱でゆっくりと表面が熱くなることが考えられます.ダイカストでも同じようなことが起こります.

ダイカストでの特徴的な現象として,使用量が多いZn-4%Al合金では,急冷凝固されると平衡状態に近い組織,α-ZnとZnの固溶度の低いβ-Alの組織とならず,α-ZnとZnの固溶度の高いβ’-Alの組織になります.β’-Alは室温で,β’-Al →β-Al+α-Zn のゆっくりとした発熱反応を起こし,最終的に安定なβ-Alに変化します.凝固から室温までの冷却時にもこの反応が起こるため,全てがβ’-Alになるわけではありませんが,急冷ほどβ’-Alが多く残るため,発熱量が多くなります.この自然時効によって寸法変化が起こるため,寸法公差が厳しいダイカストに対して「安定化処理」と呼ばれる焼なまし処理を行います.

もう一度,鋳物の構造と,どの段階でどの程度温度が上がるのか,現場の鋳造品の状況を丁寧に調べ直すと答えが見つかります.

(『鋳造工学』91巻11号掲載)