ハイエントロピー材料は,どのような特徴があり,どのような利用方法が考えられるのでしょうか?

 ハイエントロピー材料とは,一般に5成分以上の超多成分合金で,かつ組成比が等原子組成比に近い固溶体合金のことです.代表的な合金は,CoCrFeMnNi,HfNbTaTiZr合金などです.大きな特徴として,(1)溶解・鋳造が試料作製の主要ルート,(2) 優れた力学特性:高強度と高延性の両立,(3)特異な機能特性:生体適合性,耐食性,拡散が非常に遅い現象,などがあげられます.耐熱材料,低温構造材料,生体材料,高耐食材料などの利用が検討されており,かつこれらの金属製品が,鋳造法・積層造形法などにより得られることが特徴です.

(『鋳造工学』94巻10号掲載)