冬になると造型機のブロータンクがよく棚吊を起こして困っています.原因と対処方法を教えてください
冬場,砂温よりもタンク内面温度が低下すると,生砂が持つ水分がタンク内面で結露し,それが原因で砂が染み着き,最終的には棚吊となります.
遊離水分低減による対策
砂の遊離水分を低減させることが最も効果的な対策です.ただし,これには時間がかかるため,即効性のある方法ではありません,遊離水分を低減させる具体的な方法として,以下を挙げることができます:
・熟成効果を利用してベントナイトなどに水分を吸収させる.
・立ち上がりの早いベントナイト(例:Ca系ベントナイト)をミックスする.
・水分の吸収が速い添加剤(例:αでんぷん)を使用する.
シートヒーターによる温度管理
一般的な対策として,タンク内面にシートヒーターを設置し,タンク内面の温度を砂温より少しだけ高く(目安:砂温+5℃程度)設定する方法があります.これにより結露を防ぎ,棚吊を解消することが可能です.ただし,ヒーター温度が高すぎると砂が乾燥しやすくなるため,設定温度には注意が必要です.
その他の対策
タンク内面を摩擦の少ないウレタンフォームで覆うことも効果的です.この方法は,砂の流動性を高めることで棚吊を防止する効果があります.
(『鋳造工学』97巻8号掲載)