片状黒鉛鋳鉄におけるK-FGIや肥痩度(DDT)とはどういう意味ですか.これらがどのような特性に影響するのでしょうか.

画素数150万画素数以上のCCDカメラを用いて,倍率×200の黒鉛組織画像を表示し,黒鉛組織画像の1mm×1mm枠内の平均径5μm以上かつ黒鉛面積率が54%以下の黒鉛の数をK-FGIとして定義されています.これは片状黒鉛の個数の目安となります.さらに,長さ100μmの黒鉛を仮定し,その面積を求め,得られた仮定黒鉛面積を仮定黒鉛長さである100μmで割り,その値を黒鉛組織における黒鉛の肥痩度と定義されています.これは片状黒鉛の太さの目安となります.
 鋳鉄の引張強さは黒鉛の分布による基地の連続性に依存します.そのため肥痩度が増加すると,引張強さは減少します.さらに,肥痩度と硬さ,熱伝導率にも相関性があります.肥痩度が増加すると,ブリネル硬さは減少し,熱伝導率は増加します.
参考文献:特集 鋳鉄における黒鉛形状の定量化,鋳造工学93巻5号(2021)235-272

(『鋳造工学』97巻9号掲載)