ダイカストのプランジャーチップ潤滑剤にはどんなものがあるのでしょうか?
プランジャーチップ潤滑剤の目的は摩擦抵抗の低減ですが,断熱による溶湯温度の低下防止を目的にする場合もあります.ダイカストには必要不可欠なものですが,潤滑剤からのガス発生によるダイカストの品質低下や射出部周辺の汚れなどのデメリットもあります.
大別すると,油性,水溶性,ペレット,粉体の4タイプがあります.潤滑成分である油脂分で構成された油性とその油脂分を乳化して水に分散させた水 溶性が一般的に使用され,それぞれに固体潤滑剤である黒鉛を添加したタイプがあります. 射出時の摺動が過酷な大型マシンでは油性が主流で黒鉛入りが多く 使用され,水溶性は小型マシンに使われることが多いようです.
ペレットタイプはワックスや低融点樹脂を主成分にした顆粒状で,給湯口からスリーブ内に投 入されるため,射出部周辺の汚れが少なく,近年の使用が増えてきています.
粉体はタルク,雲母などの無機粉と潤滑成分とから構成された微粉状で,スリー ブ内面に吹き付けて使用され,無機粉の断熱性と無機粉間に内包された空気層の構造的断熱性とで溶湯の温度低下,破断チル層の発生を抑制する効果がありま す.同様な効果を狙って無機粉を添加分散させた水溶性もあります.
これらの潤滑剤を目的,使用環境などにより最適に使い分けることが重要です.