熱ボリュームが少ない,中子ピンや駒は,焼きつきやすく,離型剤が乾燥せずに水残りが出やすいですが,良い対応方法はないでしょうか

細い中子ピンなどは,熱ボリュームが少ないため加熱されやすく,冷やされやすい.そのため溶湯充填時に,中子ピン温度が高くなりすぎ,表面で鉄とア ルミの反応をともなう焼付きが発生することがあります.また離型剤のスプレーにより冷やされすぎ,表面に付着した離型剤の水分が残ることがあります.

これが溶湯と反応すると水残り不良となります.さらに離型剤が乾燥しないために離型皮膜が形成されず,離型時の摩擦抵抗が高くなり,アルミが一部中子ピン表面 に残る,反応をともなわない焼付きが発生することもあります.このように細い中子ピンの使用には,焼付きや水残りなどの不具合が生じやすい問題がありま す.

この問題を無くすには,中子ピン温度が高くなりすぎないように,かつ冷えすぎないように中子ピンを冷却管理する必要があります.そのためには,市 販の冷却制御装置を使用するのが有効です.この装置を使えば例えば冷却孔がφ2で冷却パイプがφ1.2と細いものも冷却できます.

細い冷却パイプでも通水 できるように冷却水圧を高くし,冷えすぎを防ぐために冷却水をエアーパージする制御を行ないます.通水タイミング,エアーパージタイミングが遅れるのを防 ぐために,制御弁を金型近くに設置する工夫がされています.

このような冷却管理をしても離型剤の塗布により水残りが発生する場合があります.ミストを細かくして離型剤の跳ね返りを減らし,適切な量を塗布す る管理が必要です.最近では水を使わない油性少量スプレー法が実用化されています.この方法では,内冷強化した金型が必要になりますが,細い中子ピンの水 残り防止には効果的です.