チップ,スリーブの寿命はどのように判定するのでしょうか?

プランジャーチップ,スリーブが摺動によって磨耗すると,増大した隙間にバリが差し込むことで,射出動作時の速度変動(速度の乱れ)や,バックフ ラッシュといった不具合が発生し,最悪の場合スタックに至ってしまいます.これが交換寿命を迎える最大の理由でしょう.

したがって,こういった不具合が生 じる隙間量に至る前に,各々の磨耗量の管理限界値を設けて交換基準とすることが必要になります.磨耗量の管理限界は,部材の形,冷却条件,鋳造条件などに よって異なりますので,使用環境に応じて設定します.

磨耗量を管理するには,

  • 定期的にチップ外径,スリーブ内径を測定する.
  • ショット数と磨耗量の関係を算出して,ショット数から磨耗量を推定する.

といった方法があります.

また,射出速度変動や抵抗油圧を直接監視するのも有効です.計測モニターで射出波形を確認したり,低速変動度と呼ばれるような演算値を確認したりし て,設定した管理限界値で交換するような基準を設ける方法です.この時注意が必要なのは,チップ,スリーブのどちらを交換すべきか,です.

まだ寿命に至っ ていない方を交換してしまうと無駄なコストが発生してしまいますので,チップ外径,スリーブ内径を測定し,磨耗の進行を確認した上で交換する部材を決める ことが重要です.