アルミニウム合金ダイカストADC12は,なぜアルマイトが難しいのでしょうか.

アルマイト(陽極酸化)処理は,硫酸,しゅう酸などの溶液中で金属を+極にして電流を流すことにより発生する発生期の酸素と金属イオンを直接結合し て金属の表面に酸化アルミニウム皮膜を多孔質状に形成させることです.そのため,被処理材料の化学組成の影響を強く影響します.

アルミニウム合金ダイカストのADC12は,流動性向上のためにけい素が9.6~12.0%と多量に含まれています.このけい素は半導体であるこ とから,金属組織中に微細に形成される共晶のけい素が陽極酸化処理の際に酸化しない,または成長量が少ないために,非処理材料の表面に酸化アルミニウム皮 膜が均一に生成しにくくなります.また,表面の色も灰黒色となってしまいます.

一部のメーカーでは前処理工程(ダイカスト表面層のけい素を取り除く)を工夫して陽極酸化を行っているところもあります.