アルミ鋳物を作っているのですが,厚肉部で圧漏れ不良が起こっております.何か対策方法はないのでしょうか? 合金はAC4B合金です.

実際の漏れ部位の観察結果から原因を特定し,対策方法を検討することが基本なので,原因特定と合わせて説明します.

 多くの場合は内部にポロシティが存在し,それが3次元的に繋がって漏れるのですから,そのポロシティの主原因がひけ巣であるか,ガスであるかを見分けることです.すなわち,デンドライトが明確に認められればひけ巣,そうでなければガス,と仮定するのです.

 しかし,実際の欠陥は明確にどちらとは言えないことがしばしばですし,現場の状況も原因追求の有力な手がかりですから,製品形状からひけ巣が発生しやすいか? 溶湯のガス量は? 中子からのガス発生が疑われるか? なども考慮してより優勢な原因に向けた対策を試みてください.

 ところで,漏れ部位を拡大して詳細に観察し,ポロシティの内壁に酸化物が多く認められたら,溶湯の汚れが主原因である可能性があります.今回は溶湯の汚れとガスポロシティの関係を詳しくは説明しませんが,酸化物・介在物はひけ巣やガスポロシティを連結させる作用があるのです.したがって,漏れ不良に「きれいな溶湯」は基本対策です.もし製品に実害が無い程度にポロシティが存在しても構わない場合は,きれいな溶湯にすることで個々のポロシティが繋がらないようになり,気密が保たれる可能性があります.